坂東裕香さん死去 神奈川フィルの首席ホルン奏者、病気療養中だった 婚約者のN響首席チェロ奏者・辻本玲さんが追悼

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神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席ホルン奏者、坂東裕香(ばんどう・ゆか)さんが2026年10月18日に亡くなった。楽団が19日、公式サイトと公式Xで発表した。かねてより病気療養中だったという。NHK交響楽団の首席チェロ奏者・辻本玲さんは自身のXで追悼し、坂東さんと婚約していたことを明かした。
10月18日に死去、楽団が19日に公表
神奈川フィルは10月19日、公式サイトに「訃報」を掲載した。首席ホルン奏者の坂東さんは「かねてより病気療養中でしたが」、10月18日に逝去したとしている。病名や死因は明らかにしていない。
同じ日の午後5時ごろには、楽団の公式Xも訃報を投稿した。生前の功績に敬意を表し、哀悼の意を伝える内容で、葬儀・告別式については遺族の意向を尊重し、詳細が決まり次第あらためて知らせるという。
楽団の発表に年齢の記載はない。報道では、1989年に神戸市で生まれたと伝えられている。
神戸から大阪音大、ドイツ留学を経て神奈川フィルへ
坂東さんは兵庫県神戸市の出身だった。滝川第二高等学校を経て、大阪音楽大学を卒業している。ホルンを伏見浩子、近藤望、池田重一の各氏に学び、元シカゴ交響楽団首席ホルン奏者デール・クレヴェンジャー氏のマスタークラスも受講した。
転機は2015年。ドイツへ渡り、シュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者ヴォルフガング・ヴィプフラー氏のもとで研さんを積んだ。ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団でも演奏を重ねている。
神奈川フィルへの入団は2017年11月1日付で、首席ホルン奏者としての入団だった。オーケストラのホルンは複数の奏者でパートを組み、首席はソロの旋律を受け持つことが多い。以来、約9年にわたり横浜を拠点とする楽団の金管セクションを支えてきた。楽団での活動と並行して、ホルン奏者のアンサンブル「Alexander Horn Ensemble Japan」のメンバーとしても舞台に立っていた。
年表で見る歩み
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1989年 | 兵庫県神戸市に生まれる(報道による) |
| 時期不詳 | 滝川第二高等学校を経て、大阪音楽大学を卒業 |
| 2015年 | ドイツへ渡り、ヴォルフガング・ヴィプフラー氏のもとで研さん |
| 2017年11月 | ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団を経て、神奈川フィルに首席ホルン奏者として入団 |
| 2022年4月 | 兵庫県立芸術文化センターのワンコイン・コンサートに出演 |
| 2022年7月 | 横浜・サルビアホールでホルンリサイタル(完売) |
| 2026年10月18日 | 病気療養中に死去 |
「歌が聴いている人に伝わるように」 楽団員ページに残る言葉
神奈川フィルの楽団員紹介ページには、坂東さん本人の回答が載っている。演奏で心がけていることを問われ、こう答えていた。
「曲や場面によって必要な音色や発音、歌を聴いている人に伝わるように心がけて演奏しています」
ホルンは金管楽器の中でも扱いの難しい楽器として知られる。その楽器で、音色や発音だけでなく「歌」を客席に届けることを意識していた。
使用楽器はアレキサンダーの「103G」。趣味の欄には、休日にドラマやアニメを全話一気に見ることだと書いている。ステージ上の首席奏者とは違う、肩の力の抜けた一面ものぞく。
地元・兵庫と横浜で開いたソロの舞台
オーケストラの外でも、ソロ奏者として舞台に立った。2022年4月12日には、地元・兵庫に戻り、西宮市の兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールでワンコイン・コンサートに出演している。
同年7月2日には、横浜市鶴見区のサルビアホールで「サルビアプレミアムクラシック オーケストラの首席vol.4 坂東裕香ホルンリサイタル」を開き、公演は完売となった。生まれ育った関西と、拠点の横浜。その両方の客席に、ホルンの音を届けた奏者だった。
辻本玲さんがXで婚約を明かし追悼
訃報が伝わると、音楽仲間からも追悼が続いた。報道によると、NHK交響楽団の首席チェロ奏者・辻本玲さんがXに投稿し、坂東さんと婚約していたことを明かした。辻本さんは日本フィルハーモニー交響楽団のソロ・チェロ奏者を経てN響の首席を務めるチェリストで、坂東さんとは室内楽などで共演したこともあったという。
辻本さんは坂東さんの演奏について、次のようにつづった。
「ホルンという楽器の難しさを感じさせない、ホールいっぱいに広がる彼女の音色はいつ聴いても素晴らしかったです」
人柄については、周りを気遣う、思いやりにあふれた温かい人だったと振り返り、笑顔で周りを元気にする人だったと記した。そのうえで、短い期間でも婚約者でいられたことは自分にとって幸せな時間だったと明かしている。
楽団員ページで坂東さんが語っていた「歌が聴いている人に伝わるように」という心がけ。辻本さんの言葉からは、その音がホールの客席まで届いていたことが伝わる。
指揮者の原田慶太楼さんも自身のXで追悼した。報道によると、原田さんは9月5日の神奈川フィル定期演奏会で指揮を務め、終演後に坂東さんと「まだまだ私死ねない!もっと良い演奏するからね!」と涙を流しながら約束したばかりだったと明かしている。関西で活動を始めたころから関西フィルのエキストラで共演してきた指揮者の海老原光さんも、坂東さんの笑顔と温かな音色をしのんだ。
SNSでも、突然の知らせに驚き、別れを惜しむ投稿が相次いだ。
葬儀・告別式は詳細が決まり次第あらためて案内
葬儀・告別式の日程は、10月19日時点で発表されていない。神奈川フィルは、遺族の意向を尊重したうえで、詳細が決まり次第あらためて知らせるとしている。演奏会の予定などの最新情報は、楽団の公式サイトや公式Xで案内される。
2017年の入団から約9年。神戸で生まれ、ドイツで学び、横浜の楽団で首席を務めたホルン奏者が亡くなった。坂東さんが客席に届けた音色は、演奏会に足を運んだ人たちの記憶に残る。
[文/構成 by 小川 そら]







































































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