琴勝峰、脳しんとうで秋場所12日目から休場 11日目の取組で顎に相手の頭が当たる

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
大相撲秋場所で東前頭筆頭の琴勝峰(27)=佐渡ケ嶽=が、脳しんとうのため12日目の9月24日から休場した。前日の11日目、美ノ海に押し倒しで敗れた一番で相手の頭が顎に当たり、背中から土俵に崩れ落ちていた。成績は11日目を終えて5勝6敗。師匠の佐渡ケ嶽親方は、今場所の再出場はしない方向だと説明している。
11日目の美ノ海戦で何が起きたか
琴勝峰は9月24日、日本相撲協会に休場を届け出た。協会の休場力士情報には同日付で「十二日目から休場いたします。」と掲載された。12日目に対戦予定だった西前頭4枚目の藤凌駕(23)=藤島=は不戦勝となり、琴勝峰の星取表には不戦敗が付いた。
問題の一番は9月23日、両国国技館での11日目だった。相手は西前頭3枚目の美ノ海(33)=木瀬=。押し込まれた土俵際で琴勝峰がいなし、美ノ海の体を泳がせる。ところが美ノ海はすぐに向き直り、振り向きざまに前へ出た。その頭が琴勝峰の顎に直撃し、琴勝峰は背中から土俵へ倒れ込んだ。決まり手は押し倒し。
勝った美ノ海はこの白星で勝ち越しを決めた。取組後は「いなされた後もしっかり前に出ようと思った。ちょっと危ない倒れ方をした。心配です」と、相手の状態を気にかけている。
琴勝峰の休場は2025年夏場所以来で、これが6度目となった。
検査で異常なしも「記憶が飛んでる」と休場を決断
休場に至った経緯は、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)が9月24日に報道陣へ説明した。
琴勝峰は取組後、国技館内の相撲診療所で診察を受け、その後に脳外科でも検査を受けた。検査の結果に異常はなかった。ただ脳しんとうの症状があり、本人も支度部屋で記憶が抜けている部分があると話していたという。
佐渡ケ嶽親方は「取組後に相撲診療所で診てもらった後に、脳外科の方でも検査をしてもらって、異常はなかった。ただ脳しんとうで、本人も支度部屋の方で『記憶が飛んでる部分がある』とも言っていたので、休場することに決めた」と経緯を明かした。続けて「まだまだ将来があって、長く相撲を取ってもらわないといけないので」と、先を見た判断だったことを強調している。
琴勝峰は大事を取って千葉県内の病院に入院し、早ければ9月24日中に退院する見通しとされた。休場の決定は本人へ9月24日にメールで伝えたという。親方は「本人には昨日言っても分からないだろうから、今日メールで伝えました」と語り、取組直後の本人の状態をうかがわせた。
倒れた際のひざの状態も心配されたが、親方は「大丈夫。体が柔らかいから。そこはよかった」と説明。「早く治してまた頑張らせます」と、復帰に向けた言葉も口にした。
相撲界では、取組中の頭部の衝撃への対応が以前から課題になってきた。協会は2021年1月28日の理事会で、立ち合いが成立する前に脳振とうなどで相撲を取れる状態ではないと審判委員が判断した場合、その力士を不戦敗にできる項目を審判規則に加えている。きっかけは同年初場所の幕下の一番で、立ち合い不成立の際に頭同士がぶつかり、湘南乃海が一時もうろうとなった後に取組が行われた出来事だった。琴勝峰のケースは立ち合い後、取組の途中に頭が当たったもので、この規定の対象場面とは異なる。
前頭筆頭で迎えた秋場所、3連敗から立て直した矢先
琴勝峰は千葉県柏市出身で、本名は手計富士紀。2017年九州場所で初土俵を踏み、2019年九州場所で新十両、2020年7月場所で新入幕を果たした。
大きな転機は2025年の名古屋場所だった。会場が愛知県体育館からIGアリーナへ移って最初の本場所で、東前頭15枚目の琴勝峰は千秋楽に安青錦を突き落としで破り、13勝2敗で幕内初優勝。新会場で最初に賜杯を抱いた力士となり、殊勲賞と敢闘賞も手にした。
その後は波があった。翌2025年秋場所は3勝12敗と大きく負け越したものの、2026年春場所で11勝4敗の成績を残して敢闘賞を受賞し、同年夏場所で新三役の関脇に昇進。9勝6敗で勝ち越した。関脇2場所目の名古屋場所は6勝9敗で、今場所は東前頭筆頭に番付を下げていた。
前頭筆頭は、横綱・大関ら上位陣と序盤から顔を合わせる番付だ。秋場所は初日から霧島、大の里、安青錦に3連敗と苦しい出だしだった。4日目に藤ノ川から初白星を挙げると、5日目は高安、7日目は伯乃富士に勝ち、9日目の豪ノ山、10日目の大栄翔と連勝して、11日目を前に5勝5敗の五分に戻していた。勝ち越しへ向けて星を並べ直した、その直後のけがだった。
| 日 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|
| 初日 | 霧島 | ●(琴勝峰の負け) |
| 2日目 | 大の里 | ●(琴勝峰の負け) |
| 3日目 | 安青錦 | ●(琴勝峰の負け) |
| 4日目 | 藤ノ川 | ○(琴勝峰の勝ち) |
| 5日目 | 高安 | ○(琴勝峰の勝ち) |
| 6日目 | 熱海富士 | ●(琴勝峰の負け) |
| 7日目 | 伯乃富士 | ○(琴勝峰の勝ち) |
| 8日目 | 義ノ富士 | ●(琴勝峰の負け) |
| 9日目 | 豪ノ山 | ○(琴勝峰の勝ち) |
| 10日目 | 大栄翔 | ○(琴勝峰の勝ち) |
| 11日目 | 美ノ海 | ●(美ノ海の押し倒し) |
| 12日目 | 藤凌駕 | 不戦敗(藤凌駕の不戦勝) |
| 13日目以降 | - | 休場 |
関連記事:大の里、熱海富士を下して11勝1敗の単独首位 最短13日目に優勝決定の可能性
秋場所の関取の休場は5人目
秋場所は初日を前に、横綱・豊昇龍(立浪)と、幕内の若隆景(荒汐)、若ノ勝(湊川)の休場が決まっていた。十両では東十両10枚目の生田目(二子山)が5日目から休場し、6日目から再出場している。琴勝峰は、生田目を含めて数えると今場所5人目の関取の休場者となった。
11日目を終えた時点で5勝6敗だった琴勝峰は、12日目の不戦敗で5勝7敗に後退した。親方の説明どおり再出場しなければ、成績は5勝7敗3休で負け越しとなり、九州場所は前頭筆頭から番付を下げる見込みだ。
一方の美ノ海は、琴勝峰を破った一番で勝ち越しを決め、残り4日間で白星の上積みを狙う立場になった。
関連記事:玉鷲、41歳で十両勝ち越し 通算914勝で若の里に並ぶ歴代7位、「場所はまだ終わっていない」
幕内優勝から1年あまり。関脇まで番付を上げた27歳にとって、九州場所への準備は体調の回復から始まる。親方の言葉どおり、まずは長く土俵に立つための休場だ。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]










































































コメントはこちら