玉鷲、41歳で十両勝ち越し 通算914勝で若の里に並ぶ歴代7位、「場所はまだ終わっていない」

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大相撲秋場所12日目の9月24日、東十両3枚目の玉鷲(41)=片男波=が佐田の海を押し出し、8勝4敗で勝ち越しを決めた。この白星で通算914勝となり、元関脇若の里(現西岩親方)に並ぶ歴代7位に浮上。13年ぶりに十両へ落ちてから2場所目で、九州場所での再入幕へ大きく前進した。それでも取組後は「場所はまだ終わっていない」と表情を崩さなかった。
佐田の海を押し出し7連勝で8勝目
東京・両国国技館での12日目、玉鷲は東十両5枚目の佐田の海(39)=境川=と顔を合わせた。立ち合いで頭から当たると、そのまま圧力をかけて一気に押し出す。6日目から続く連勝を7に伸ばし、勝ち越しを手にした。
関取の最年長と2番目の年長者による取組で、2人の年齢を足すと80歳になる。佐田の海とは幕内で8勝15敗と負け越しており、十両での対戦はこれが初めてだった。玉鷲は取材に対し、対戦成績を考えれば苦手な相手だったと認めたうえで、前に出られた相撲の内容に手応えを口にした。長く同じ時代を戦ってきた39歳の佐田の海には「幕内に早く上がってやるぞ」と声をかけているといい、「お互い励みになっている」と話す。
序盤は苦しかった。初日から3連敗を喫し、4日目にようやく初白星。5日目にも土がつき、1勝4敗まで追い込まれた。流れが変わったのは6日目からだ。9日目の北の若戦では両足を俵にかけて残し、最後は突き落としで逆転。国技館が大歓声に包まれたこの一番のあとも、白星は途切れていない。
それでも本人は満足していなかった。館内が沸いた9日目の取組後も、自分の相撲に「甘い!」と喝を入れ、疲れについて聞かれても「あっても言わないですよ」と返した。41歳になっても、勝った内容にまで厳しい目を向ける。
通算914勝、歴代7位までの道のり
通算勝利数は、秋場所の番付発表時点で906勝。4日目の初白星で907勝の安美錦に並び、6日目の出羽ノ龍戦に勝って908勝とし、単独8位に上がった。そして12日目、8勝目がそのまま若の里の914勝に届いた。
歴代の上位は以下のとおり(9月24日時点)。
| 順位 | 力士 | 最高位 | 通算勝利数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 白鵬 | 横綱 | 1187勝 |
| 2 | 魁皇 | 大関 | 1047勝 |
| 3 | 千代の富士 | 横綱 | 1045勝 |
| 4 | 大潮 | 小結 | 964勝 |
| 5 | 北の湖 | 横綱 | 951勝 |
| 6 | 旭天鵬 | 関脇 | 927勝 |
| 7 | 若の里 | 関脇 | 914勝 |
| 7 | 玉鷲(現役) | 関脇 | 914勝 |
| 9 | 安美錦 | 関脇 | 907勝 |
上位9人のうち現役は玉鷲だけだ。次の目標となる6位の旭天鵬は同じモンゴル出身の先輩で、927勝まではあと13勝。14勝すれば単独6位に上がる。
若の里について聞かれると、玉鷲は何度も胸を合わせた相手だったと明かし、「力がハンパじゃなかった」と語った。6日目に安美錦を抜いたときも「自分は数だけ」と話し、相撲の中身ではまだ追いついていないという姿勢を崩していない。
13年ぶりの十両陥落から2場所
始まりは5月の夏場所だ。玉鷲は幕内で2勝13敗と大きく負け越した。幕内在位は100場所目。2013年名古屋場所から13年間守り続けた幕内の座を、ここで手放した。
千秋楽の取材では、記者に「何年ぶりですかね? 十両」と逆に尋ね、「腐らない」と言い切った。師匠の片男波親方も、十両に落ちても力を出し切るまで続けたいという本人の意思を尊重し、土俵に上がり続けることを後押しした。
7月の名古屋場所は東十両7枚目。5日目に史上9人目の通算900勝に到達し、9勝6敗で勝ち越して秋場所は東十両3枚目まで番付を戻した。このときも「場所中なので、喜んでいる場合ではない」と話しており、喜ぶのは場所が終わってからという姿勢は2場所続けて変わらない。
遅咲きの鉄人が積み上げた記録
玉鷲はモンゴル・ウランバートル出身で、1984年11月16日生まれ。相撲経験のないまま来日し、2004年1月場所で初土俵を踏んだ。2008年秋場所で新入幕を果たすと、最高位の関脇まで上がり、2019年初場所で初の幕内優勝を遂げている。
2度目の優勝は2022年秋場所。37歳10カ月での賜杯は、1958年に年6場所制が定着して以降の最年長優勝記録となった。
休まない力士としても知られる。初土俵からの通算連続出場は2026年初場所の千秋楽で1763回に達した。2022年名古屋場所では部屋に新型コロナウイルスの陽性者が出て休場したが、本人の意向によるものではないため記録は途切れていない。この記録は大相撲の最多連続出場としてギネス世界記録に認定され、1月26日に国技館で認定証を受け取った。3月の春場所では3日目に幕内出場が1470回となって旭天鵬の史上最多に並び、4日目に単独1位となった。幕内出場は十両に落ちる前の夏場所までに1497回を数え、歴代1位の記録として残っている。
昭和以降最年長の再入幕へ、残り3日
九州場所は11月8日に初日を迎える。玉鷲は場所中の11月16日に42歳の誕生日を迎えるため、再入幕を果たせば番付発表時点で41歳11カ月となる。昭和以降の最年長再入幕は、安美錦が2018年夏場所で記録した39歳6カ月で、実現すれば2年以上更新する。
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幕内では大の里が優勝争いの先頭を走り、幕下では旭富士が新十両をうかがう。上を目指す力士が各段で星を競うなか、玉鷲は十両から幕内への復帰を狙う立場にいる。
白星を重ねれば、記録の上積みにもつながる。13日目以降の3番で1勝でも挙げれば、若の里を抜いて単独7位になる。千秋楽は9月27日。番付の上がり幅は、残り3日の星勘定で決まる。
勝ち越しを決めた直後、報道陣に向けた言葉は短かった。
「安心している場合じゃない。本当はすごく喜びたいけど。場所はまだ終わっていない」
41歳の関取最年長は、そう自分に言い聞かせて13日目の土俵へ向かう。
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[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]










































































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