小説家・首藤瓜於さん死去 「脳男」で江戸川乱歩賞、寡作ながら本格ミステリーに名を刻んだその経歴

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小説家の首藤瓜於(しゅどう・うりお)さんが亡くなった。2000年に「脳男」で江戸川乱歩賞を受賞し、感情を持たない男・鈴木一郎を描いた本格ミステリーで知られる。同作は生田斗真さん主演で映画化され、脳男シリーズは20年以上にわたって書き継がれた。
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「脳男」の首藤瓜於さんが逝去 講談社文庫が哀悼の意
小説家の首藤瓜於さんが亡くなった。講談社文庫の公式Xが8月27日に伝えた。2000年に「脳男」で江戸川乱歩賞を受賞し、本格ミステリーの書き手として長く読者に親しまれた作家だ。
講談社文庫は「小説家の首藤瓜於さんが逝去されました」と発表し、哀悼の意を示した。亡くなった日や死因、年齢は明らかにされていない。
派手に作品を量産するタイプではなかった。それでも一冊ごとに濃い読み味を残し、熱心なミステリーファンを離さなかった。デビューから四半世紀、その筆はぶれることがなかった。
会社勤めを経て乱歩賞へ 異色の経歴からの文壇デビュー
栃木県宇都宮市の出身。上智大学法学部を卒業し、会社勤めを経てから小説の世界に入った。作家として世に出たのは2000年、「脳男」で第46回江戸川乱歩賞を射止めたときだった。
乱歩賞は、江戸川乱歩の遺志をくんで設けられた新人の登竜門として知られる。東野圭吾さんもこの賞から世に出た。会社員生活の後に大賞をつかんだ経歴は、当時から異色として受け止められた。若くしてデビューした書き手ではなく、遅れてきた新人が、いきなり大きな評価を得た形だった。
しかも「脳男」は、初めて世に出した作品でありながら、その年の話題を独占した。新人が最初の一作でこれだけの評価を受ける例は多くない。首藤さんの登場は鮮烈だった。
感情を持たない男・鈴木一郎 全選考委員をうならせた「脳男」
受賞作「脳男」は、感情を持たない一人の男をめぐる物語だ。連続爆破事件の現場で捕らえられた鈴木一郎という青年は、痛みも恐れも顔に出さない。逮捕された後、次の爆弾のありかを自ら警察に告げる。担当した精神科医・鷲谷真梨子は、その本性をつかもうとするが、男は最後まで底が見えない。
見たものを瞬時に記憶する一方で、人の心の動きからは切り離されている。そんな主人公の造形が、選考の場で高く評価された。全選考委員がそろって推し、その年の「週刊文春ミステリーベスト10」でも1位に選ばれている。新人の受賞作が、その年を代表する一冊として扱われた。
物語の芯にあるのは、恐怖も良心も持たない一人の男だ。その男が事件の中でどう動くのか。読者は答えの出ない問いを抱えたまま、最後のページへ運ばれていく。男が入院する病院に爆弾が仕掛けられる終盤の緊迫は、多くの人の記憶に刻まれた。感情を描かないことで、かえって人間とは何かを問う。その手つきが、この作品を長く読み継がれる一冊にした。
20年以上をかけて書き継いだ脳男シリーズ
首藤さんは、この鈴木一郎を長く手放さなかった。2007年には続編「指し手の顔 脳男」を発表し、翌年に吉川英治文学新人賞の候補へ挙がった。さらに2021年、「ブックキーパー 脳男」でシリーズを重ねている。
デビュー作から三作目まで、20年あまり。一年に何冊も出すことはなく、間隔を置きながら、練り上げた作品を届ける書き手だった。ほかにも「事故係 生稲昇太の多感」「刑事の墓場」など、読者を選ぶ骨太な作品を残している。一人の主人公をこれほど長く見つめ続けた作家は珍しい。寡作でありながら、その一作を待ちわびるファンがいた。数より質にこだわる姿勢は、最後まで変わらなかった。
長い間隔を置いても、新作が出れば必ず話題になった。それだけ、脳男という主人公が読者の中に強く残っていたということだ。時間をかけるからこそ、一冊の重みがあった。
生田斗真さん主演で映画化 累計60万部が残したもの
「脳男」は2013年2月、生田斗真さん主演で映画になった。監督は瀧本智行さん、脚本には「八日目の蝉」の成島出さんが加わった。共演は松雪泰子さん、二階堂ふみさん、江口洋介さんら。生田さんが感情の読めない主人公を演じ、原作の張り詰めた空気が東宝配給のスクリーンでも再現された。講談社文庫によると、原作は累計60万部に達している。
受賞から四半世紀がたっても、「脳男」は新装版で読み継がれている。時代を越えて手に取られる作品を残したことは、作家としての大きな足跡だ。
訃報を受け、ミステリーを愛する読者からは、その仕事を惜しむ受け止めが広がった。感情を持たない男という難しい題材を、一級のエンターテインメントへ仕上げた筆は、これからも本として手に取ることができる。首藤さんが残した謎と緊張は、ページの中で生き続ける。
[文/構成 by 小川 そら]






























































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