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田久保真紀前市長の”卒業証書”は誰が作ったのか PCからデータ発見も本人側は「作成していない」

田久保真紀前市長の”卒業証書”は誰が作ったのか PCからデータ発見も本人側は「作成していない」

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静岡県伊東市の田久保真紀前市長(56)の自宅から押収したパソコンに、偽造された卒業証書のデータがあったと8月25日に報じられた。一方、本人側は24日に「本人は作成していない」との書面を裁判所へ提出。偽物なら第三者が作ったとして、公判で無罪を主張する方針だ。争点は「誰が作ったのか」へ移る。

パソコンから見つかったという卒業証書のデータ

静岡朝日テレビが8月25日午前、田久保前市長の自宅から押収されたパソコンから、偽造された卒業証書のデータが見つかっていたと報じた。捜査関係者への取材で分かったもので、データはサイバー捜査の解析で浮かび上がったという。同局は、裁判の重要な証拠になると伝えた。警察は、パソコンで作られた偽の卒業証書に、購入した印鑑が押されたとみているという。

田久保氏が在宅起訴されたのは、2026年3月30日にさかのぼる。罪名は有印私文書偽造・同行使と、地方自治法違反(虚偽陳述)の3つ。

起訴状によると、2025年5月29日ごろから6月4日にかけて東洋大学の卒業証書を偽造し、6月4日に市役所で議会の正副議長らに示したとされる。押されていた学長名と法学部長名の印鑑について、検察側はインターネットで注文した偽物だと指摘した。2025年8月13日の百条委員会で「卒業できていない事実を知ったのは6月28日」と述べた点も、虚偽の陳述にあたると判断されている。

だが、本人側は捜査段階から一貫して否認してきた。

弁護側が示した3つの反論

田久保氏側は8月24日、「本人は(卒業証書を)作成していない」という趣旨の主張を書面で裁判所に提出した。初公判の前に争点と証拠を整理する公判前整理手続きの実施が決まっており、裁判所と検察、弁護人による3者協議が続くさなかの動きになる。

弁護側の主張は、大きく3点だ。1点目は、学長などの印鑑を自ら注文したり受け取ったりした事実はない、という否認。2点目に挙げたのが、印鑑が注文された時期は学歴詐称の疑惑が公になる前で、偽造する動機がないという指摘だった。そして3点目は、この2つから導かれる「卒業証書が偽物だとすれば第三者が作成したものである」という主張。百条委員会での虚偽陳述に問われた地方自治法違反についても、同じく無罪を主張する方針だ。

弁護人は中日新聞の取材に「無罪を主張する」と答え、「(検察側の主張に)どういう戦い方をするかは、これから示す」と続けた。

では、卒業証書は誰が作ったのか。

弁護側は、その第三者が誰なのかについて具体的な人物像を示していない。押収されたパソコンのデータをどう受け止めるのかも、25日の報道時点では伝わってこなかった。

金庫の中の1枚は、今も出てこない

議長らに示されたとされる卒業証書そのものは、事件の物証でありながら、いまだ捜査機関の手に渡っていない。文書は代理人弁護士の事務所の金庫に保管され、静岡県警の任意提出の求めに対して、田久保氏側は「押収拒絶権」を理由に拒み続けてきた。

なぜ、1枚の紙が出てこないのか。

押収拒絶権という法律の壁

刑事訴訟法105条は、医師や弁護士などが仕事上の委託を受けて保管したり所持したりしている物のうち、他人の秘密に関わるものについて、押収を拒めると定める。依頼した人が安心して相談できる環境を守るための仕組みだ。ただし、本人が承諾した場合や、被告人のためだけに使う権利の濫用と認められる場合は、この限りではない。

もっとも、条文はその「権利の濫用」から「被告人が本人である場合」を明文で除いている。秘密の持ち主が被告人自身であるこの件では、濫用を理由とした例外は当てはまらない。壁が厚いのは、そのためだ。

2026年2月14日、静岡県警は田久保氏の自宅を捜索した。捜索は7時間以上に及び、段ボールおよそ5箱分の資料が押収されている。それでも肝心の証書は都内の弁護士事務所にあり、対象から外れていた。

弁護人が告発される事態に

8月19日、市民グループが弁護人の福島正洋弁護士(東京弁護士会)を証拠隠滅の疑いで東京地検に告発し、同日付で弁護士会に懲戒請求も出している。告発人で市民グループ代表の関川永子さん(58)は、同日に都内で開かれた記者会見で「説明責任を回避するアドバイスをし、市民の知る権利を奪った」と批判した。

福島弁護士は、これに反論している。弁護士ドットコムニュースの取材に対する回答で、重要な証拠を捜査機関に差し出さないことは「刑訴法105条に裏付けられた弁護人の正当かつ義務的な職務遂行」だとし、これを証拠隠滅罪と呼ぶのは憲法が保障する弁護人依頼権などを「根本から否定する暴論」だと述べた。

物証が出てこないまま、手続きだけが先に進む。その行き詰まりを破る材料として浮上したのが、押収されたパソコンのデータだった。

「もう言い逃れできない」 説明を求める書き込みが並ぶ

Yahoo!ニュースのコメント欄では、25日の報道の後、書き込みが相次いだ。

共感が1万3000を超えた投稿は「一体、弁護士は何の書類を金庫に保管していたのかな」と疑問を投げ、「今回の証拠を受けて説明責任くらいは果たすべきだよね」と結んでいる。

4000を超える共感を集めた別の投稿は「それでも無罪を主張するというのは、あまりにも理解しがたい」としつつ、「最終的に有罪・無罪を判断するのは裁判所であり、本人には争う権利があります」と冷静に線を引いた。そのうえで、データがなぜパソコンにあったのか、誰がいつ作ったのかを具体的に説明する責任があるのではないか、と求めている。

捜査そのものを評価する書き込みも伸びた。「サイバー捜査GJ。警察も徹底的にやりますね」で始まる投稿は「印鑑注文とセットで、もう言い逃れできないでしょう」と続き、共感は約2000に達している。

弁護方針そのものへ矛先を向けた投稿も、上位に食い込んだ。3700を超える共感を得た書き込みは、無罪を主張すること自体は当然の権利だと認めたうえで、「犯罪の証拠そのものと疑われる物まで同じように保護されるのであれば、押収拒絶権の範囲については、法改正も含めて議論する必要があるのではないでしょうか」と踏み込んでいる。

初公判の日程はまだ決まっていない

静岡地裁は2026年5月18日付で、公判前整理手続きに付すことを決めた。争点と証拠を先に整理する手続きで、初公判は後ろ倒しになる見通しだ。3者協議は今も続く。

6月10日には、静岡地検が公職選挙法違反など追送検された3つの容疑を嫌疑不十分で不起訴とした。法廷で争われるのは、在宅起訴された3つの罪に絞られる。

失職したのは2025年10月31日、2度目の不信任決議を受けてのことだった。12月14日の出直し市長選には9人が立候補し、当選した元市議の杉本憲也氏が1万3522票を集めたのに対し、田久保氏は4131票の3位。市長の座を降りて1カ月半での落選となった。

それから8カ月余り。弁護側が「偽物だとすれば第三者が作成した」と主張する以上、法廷ではその第三者が誰なのかが問われる。押収されたパソコンのデータを検察側がどう位置づけるかも、大きな焦点になった。

金庫の中の1枚は、今も出てこないままだ。

[文/構成 by さとう つづり]

寄稿者

さとう つづり
つづり|ライター・編集者 2018年より個人ブログの運営を開始。アフィリエイトライターとして活動後、Webメディアの運営、記事入稿、編集業務に携わる。7年にわたり「読まれる記事」を追求してきた経験を活かし、現在は日常のでの気になるニュースに対してコラムを執筆中。トレンドから日常の機微まで、幅広いテーマを独自の視点で言語化します。

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