SBIとフジHDが資本業務提携 合弁会社を2027年1月に設立へ、アイドルのファン事業を検討 フジテレビとSBIの関係は

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SBIホールディングスなど2社とフジ・メディア・ホールディングスが11月2日、資本業務提携契約の締結を発表した。折半出資の合弁会社を2027年1月に設立する予定で、第一弾はアイドルらとファンをつなぐ事業を検討する。SBI側による新たなフジ株取得は、資料に記載がない。
SBIとフジHDが資本業務提携、11月2日に発表
契約を結んだのは、SBIホールディングス(代表取締役会長兼社長・北尾吉孝氏)、グループでメディア事業を統括するSBIネオメディアホールディングス(代表取締役社長・深澤裕氏)、フジテレビの親会社で認定放送持株会社のフジ・メディア・ホールディングス(代表取締役社長・清水賢治氏)の3社だ。以下、フジ・メディア・ホールディングスをフジHDと記す。
柱は合弁会社の設立だった。ライブやイベントなどの場で顧客と長く関係を築く「リアルメディア」の領域を中心に据え、ここを足場に両グループが複数の事業を進める。
発表資料が挙げた提携内容は、次の5項目となる。
- 合弁会社の設立
- リアルイベントを起点とするファンプラットフォーム事業の創出(第一弾)
- コンテンツファイナンスの共同研究と事業開発(第二弾)
- 広告・マーケティングと地域活性化での協力
- コンテンツやIP(知的財産)の分野での投資と事業開発
両グループはこの提携の先に”感情経済圏”の共同構築を掲げる。コンテンツから生まれた共感や信頼、熱狂を積み重ね、購買や参加といった行動へ結びつける仕組みを指す言葉だ。一度きりの消費で終わらせず、続いていく関係そのものを価値の源にする発想と資料は説明している。
合弁会社の概要、社名は未定で出資は50%ずつ
合弁会社は、将来の複数事業を見据えた持株会社と位置づけられた。事業の領域ごとに子会社を順次置いていく計画だ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 未定 |
| 出資比率 | SBIグループ50%、 |
| 資本金 | 1億円 |
| 設立時期 | 2027年1月 |
| 役員 | 両グループからそれぞれ複数名を派遣 |
資料は、この概要について「全て現時点での予定であり、変更となる可能性があります」と断っている。
第一弾はアイドルのファン事業、「リアルメディア」とは何か
耳慣れない「リアルメディア」は、資料に注釈がある。ライブ・イベント、スポーツ興行、施設など、人が実際に集まって体験を共有する「場」を、コンテンツやIPを届け、顧客とのつながりを深める媒体として捉えた言葉だ。こうした場を共同で主催・運営し、体験の設計から顧客との関係づくりまで一貫して手がけるという。人が集まる場そのものをメディアと見る考え方といえる。
第一弾は、その考え方を形にする事業だ。リアルイベントを起点に、アイドルをはじめとするアーティストとファンが年間を通じてつながるファンプラットフォーム事業を想定し、担当する子会社の設立を検討する。ライブの当日だけで途切れさせず、1年を通じて関係を保つ狙いが読み取れる。
役割分担も示された。フジHDグループは番組やイベントの企画制作力とメディアでの発信力を、SBIグループは「8,800万を超える顧客基盤(2026年9月末時点)」と決済・デジタル分野の技術基盤を持ち寄る。国内で確立したモデルをアジアから海外へ広げる構想だ。
ただし、参加するアーティストの名前やサービスの開始時期は資料に書かれていない。子会社の設立自体も「検討」の段階にある。
第二弾はコンテンツファイナンス、ねらいは大型映像作品
第二弾に置かれたコンテンツファイナンスは、映像作品などを作るための資金をどう集めるかという分野を指す。目的は、海外展開を見据えた大型映像コンテンツ等を続けて生み出すことだ。
フジHDグループのコンテンツ企画力や目利き力、有力なIPの候補に、SBIグループのファンド運用のノウハウ、銀行・証券・信託にまたがる金融機能、投資家とのつながりを合わせる。新たな資金調達の仕組みを検証しながら、合弁会社の傘下でコンテンツファンドの組成や運営を担う子会社の設立も検討する。
広告・マーケティングでは、テレビ、配信、SNS、リアルイベント、金融の顧客接点を横断した施策を目指す。リアルイベントや地域文化の発信を通じた地域活性化への貢献も検討項目に入った。
「資本業務提携」の資本とは何か、フジ株の買い増しは資料に記載なし
「資本業務提携」と聞くと、SBIがフジHDの株をさらに買うように受け取る人もいるだろう。発表資料で資本のやり取りとして確認できるのは、次の2点だ。
1つ目は合弁会社への出資で、先に触れたとおり両グループが50%ずつを持つ。
2つ目がファンドへの出資となる。フジHDは、SBIグループが組成する1,000億円規模の「SBIネオコンテンツ投資事業有限責任組合」(通称SBIネオコンテンツファンド)に出資する。投資先を発掘し、選定する場面でも両グループの知見を生かす。
ここは読み違えやすい。1,000億円はファンド全体の規模で、フジHDが出す金額ではない。フジHDの出資額は資料に書かれていなかった。
SBIグループによるフジHD株の新たな取得や、提携後の保有比率についても、11月2日の資料に記載はない。将来にわたって取得がないと資料が述べているわけでもなく、現時点で言えるのは「書かれていない」というところまでだ。
6月の協議開始から何が変わったのか
両グループは2026年6月26日、提携に向けた協議・検討の開始を発表していた。当時の資料は、具体的な提携内容、対象事業、出資の有無、出資時期、出資金額などについて「決定した事実はありません」としている。それから約4か月で、契約の締結まで進んだ。
| 項目 | 6月26日の資料 | 11月2日の資料 |
|---|---|---|
| 段階 | 協議・ | 契約を締結 |
| 合弁会社 | 記載なし | 2027年1月設立予定 |
| SBIネオコンテンツファンド | 出資の可能性を検討 | フジHDが出資 |
| リアルイベント | 新たな事業機会の可能性を検討 | ファン事業の子会社設立を検討 |
| 広告・ | 施策の可能性を検討 | 施策を推進 |
| SBI金融エージェントとの連携 | 可能性を検討 | 記載なし |
| コンテンツとIPのST化 | 可能性を検討 | 記載なし |
下の2項目は、6月に検討項目として挙がりながら、11月2日の資料には出てこない。SBI金融エージェントはSBIグループが構想するスーパーアプリで、STはセキュリティトークンの略だ。ブロックチェーンなどの技術を使って発行するデジタルの証券を指す。これらをやめるとも続けるとも、資料は述べていない。
フジテレビとSBIの関係は2005年のニッポン放送株騒動にさかのぼる
両者のつながりは今回が初めてではない。報道によると、起点は2005年に起きたニッポン放送株をめぐる買収劇だ。
この年の2月8日、ライブドアがニッポン放送株の35%を取得したと発表した。当時のニッポン放送はフジテレビ株を約22.5%持つ筆頭株主で、ニッポン放送を押さえれば、フジテレビにも影響が及ぶ構図だった。
ここで動いたのが、SBIホールディングスの前身にあたるソフトバンク・インベストメントと、そのトップだった北尾氏だ。3月24日、ニッポン放送が持つフジテレビ株35万3,704株(発行済み株式の13.88%)を借り受けると発表し、議決権も移ったことでフジテレビの筆頭株主となる。貸借の期間は2010年4月1日までとされた。フジテレビ側を支える「ホワイトナイト(白馬の騎士)」と呼ばれたのは、このためだった。もっとも北尾氏は同じ日の会見で、ライブドアの買収を防ぐ意図は「まったくない」と否定している。
同じ日には、3者が関わる200億円のベンチャー投資ファンドも発表された。出資額はフジテレビが160億円、ニッポン放送が20億円、SBI側が20億円となる。
騒動は4月18日、ライブドアとフジテレビの和解で決着した。北尾氏は和解を歓迎するコメントを出し、借り受けた株はファンド運営への支援の確約を条件に、ニッポン放送へ返す予定だと明らかにしている。
SBIグループのフジHD株は4月の報告で約7%
現在の資本関係はどうか。6月の資料にも「現在の資本の関係に加え」とあり、両グループの間にはすでに株式を通じたつながりがある。
報道によると、SBI系は2026年2月5日、フジHDの自社株買いに応じて保有比率を3.44%まで下げた後に買い増し、3月13日提出の大量保有報告書で6.2%の共同保有を報告した。内訳はSBIホールディングスが1.19%、傘下のレオス・キャピタルワークスが4.45%、SBI岡三アセットマネジメントが0.56%で、保有目的はSBIホールディングスが「戦略投資」、ほか2社が「純投資」とした。
4月17日提出の変更報告書では、共同保有者との合計が7.10%に上がっている。6月以降の報道にある、グループ全体で約7%を持つ大株主という説明とも合う。4月より後の比率を、今回の資料で確かめることはできない。
SBIのメディア参入とフジHDの業績
SBIグループは2025年5月にSBIネオメディアホールディングスを設立し、金融とコンテンツを組み合わせる「ネオメディア生態系」づくりを進めてきた。報道によると、2026年9月17日にはポータルサイトを運営するライブドアの全株式を親会社から75億円で取得することで合意したと発表している。2005年の騒動で向き合った「ライブドア」の名を持つ会社を、21年後にSBIが傘下に収める計画だ。
フジHD側は2026年5月、新中期経営計画「Group Vision 2026-2030 Ver. 1.0」で、経営ビジョン「好きでつながる明日をともに」を掲げた。メディアを持つコンテンツカンパニーとして、コンテンツを生み出し、届け、広げるまでを一気通貫で手がける方針だ。
業績の面では、報道によると2026年3月期の連結営業損益が87億円の赤字(前期は182億円の黒字)だった。2008年の認定放送持株会社への移行後で初の営業赤字となる。売上高は5,518億円で前期からほぼ横ばい、純損益は64億円の黒字。発表資料は提携の目的を新たな価値の創造と企業価値の向上と説明しており、この業績との関係には触れていない。
まだ決まっていないこと、次の節目は2027年1月
発表の時点で、資料から確認できない点や、検討の段階にとどまる点は次のとおりだ。
- 合弁会社の社名、派遣される役員の氏名と人数
- ファン事業の子会社を設立するかどうかの最終判断、参加するアーティスト、サービスの開始時期
- ファンド運営を担う子会社を設立するかどうかの最終判断
- フジHDがSBIネオコンテンツファンドに出す金額
- SBIグループによるフジHD株の新たな取得の有無
- ST化と「SBI金融エージェント」との連携の扱い
最初の節目は、2027年1月に予定される合弁会社の設立となる。社名や役員の顔ぶれ、第一弾のファン事業にどのアーティストが関わるのか。これらをいつ公表するかも、資料には書かれていない。
[文/構成 by ライター 凪]







































































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