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川尻啓人、指名あいさつで新人王を目標に 亜細亜大学での経歴、理想は山本由伸

川尻啓人、指名あいさつで新人王を目標に 亜細亜大学での経歴、理想は山本由伸

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

西武からドラフト1位で単独指名された亜細亜大学の川尻啓人投手(22)が10月29日、東京都武蔵野市の同大武蔵野キャンパスで指名あいさつを受けた。訪れたのは広池浩司球団本部長と担当の十亀剣スカウト。川尻は近い目標に「新人王」を挙げ、球団や日本を代表する投手になりたいと語った。理想の投手にはドジャースの山本由伸を挙げている。

武蔵野キャンパスで指名あいさつ、目標は1年目の新人王

あいさつは約30分間だった。面談を終えた川尻は報道陣の取材に応じ、プロ1年目の目標として新人王を掲げた。2桁勝利を挙げて新人王を取りたいという考えだ。その先には、球団や日本を代表するような投手になるという目標がある。

武器はやはり直球だ。189センチ、94キロの体から投げ下ろすボールは最速158キロに達する。指名あいさつでも、持ち味のストレートをアピールしたいと話し、変化球の質と精度も上げていきたい考えを示した。

球団の起用方針もこの日、明らかになった。広池本部長は「入団してからの見極めになると思いますが、最初は先発と考えています」と話している。最速だけでなく平均球速の高さも評価し、来年だけでなく長く活躍してほしいとの期待も口にした。

球団からの指名あいさつは、これが2度目だった。ドラフト会議当日の10月22日夜には西口文也監督がさっそく本人のもとを訪れ、川尻はその場でも「新人王を目指して頑張りたい」と意気込みを語っていた。西口監督はドラフト会議後、川尻を「今年ナンバーワンの剛球投手」と評し、1年目からの開幕ローテーション入りに期待をかけている。

西武は10月22日のドラフト会議で、支配下5人と育成3人の計8人を指名した。日本野球機構(NPB)の選択選手一覧では、1位が川尻、2位が柿本晟弥(パナソニック)、3位が沢山優介(ヤマハ)と、上位3人を投手が占める。即戦力の投手を求めてきた西口監督にとって、川尻はその筆頭だ。

関連記事:川尻啓人、西武が単独1位指名 日本人最速165キロ超えを目標に、高岡商から亜大の経歴

目標は山本由伸、理想に挙げた「一級品」の球

目指す投手像を聞かれると、川尻はドジャースの山本由伸の名前を出した。球速を含めて、すべての球が一級品だという理由だった。10月13日のノーヒットノーランを伝えた報道でも、憧れの選手として山本の名前が紹介されていた。

広池本部長は川尻の理想像を聞き、山本のような器の大きな投手になってほしいとの思いを語った。まずは自信のある直球を軸にする。そのうえで変化球を磨き、すべての球で勝負できる投手に近づく道を描く。

プロでのノーヒットノーランについても質問が出た。川尻は狙いにいくのではなく、いつも通り打者一人一人と対戦する意識で投げたいと控えめに答え、守備のいいチームが後ろにいると安心して投げられるとも話した。現役時代、ノーヒットノーランや完全試合をあと一歩で逃したことが3度ある西口監督のもとで、プロの一歩を踏み出す。

亜細亜大学で「川尻」といえば、もう一人の名前が浮かぶ。同大出身の川尻哲郎は阪神時代の1998年5月26日、倉敷での中日戦でノーヒットノーランを達成した。同じ名字の先輩は横手投げの技巧派で、直球で押す啓人とはタイプが違う。

高岡商業高校から亜細亜大学へ、145キロから158キロまで伸びた4年間

川尻は2004年10月23日生まれ、富山市出身。小学生のときに地元の桜谷ファイターズで野球を始め、中学では富山ヤングベースボールクラブでプレーした。高校は富山県立高岡商業高等学校に進み、3年夏に甲子園の土を踏んでいる。ドラフト会議があった10月22日は、22歳の誕生日の前日だった。

時期所属・出来事
小学生桜谷ファイターズで野球を始める
中学生富山ヤングベースボールクラブでプレー
高校富山県立高岡商業高等学校、3年夏に甲子園出場
大学亜細亜大学、2年春にリーグ戦デビュー(救援)
2026年10月西武がドラフト1位で単独指名

亜細亜大学に入った当初、球速は145、6キロだった。ウエートトレーニングなどで体をつくり、常時150キロを投げられるまでになる。リーグ戦デビューは2年春で、救援での登板だった。50メートル走6秒4、遠投110メートルという数字も、大きな体が持つ運動能力の高さを示す。

大きく評価を上げたのは4年秋の東都大学野球秋季リーグ戦だ。10月13日、神宮球場での國學院大學との1回戦で無安打無得点試合を達成した。120球を投げて11三振を奪い、4対0の勝利。東都1部では2004年秋に亜大の山木正博が東洋大戦で記録して以来22年ぶりで、完全試合を含めて連盟史上11人目(通算12度目)となった。3つの四死球や失策で走者は出したものの、五回と六回のピンチは三振で切り抜けた。チェンジアップなどの変化球も交えての快投で、川尻はこの試合で今季無傷の4勝目を挙げている。

バックネット裏にはNPBの11球団のスカウトが集まり、スピードガンで最速156キロを計測した。八回まで記録に気づいていなかったという川尻は、試合後「うれしいっちゃうれしいです」と照れながら喜んだ。

翌10月14日、亜大は國學院大學に勝って開幕8連勝とし、9季ぶり28度目の優勝を決めた。東都大学野球連盟の発表によると、川尻はこの秋の表彰で次の3部門に選ばれている。いずれも初受賞だ。

表彰備考
最優秀投手初受賞
最優秀防御率防御率1.21、初受賞
ベストナイン(投手)初受賞

優勝、タイトル、そしてドラフト1位。大学最後の秋に、その全部がそろった。

富山出身の先輩・岩城颯空と同じチームへ

西武には同じ富山県出身の先輩がいる。富山商業高校から中央大学を経て、2025年のドラフト2位で入団した岩城颯空投手だ。プロ1年目の今季は18セーブを挙げた。川尻は指名後に連絡を取ったといい、同じ富山出身の投手として活躍をすごいと思って見ていたと話し、一緒にやれるように頑張りたいと語った。

担当の十亀スカウトは、2024年にドラフト1位の武内夏暉が新人王を受賞し、今季は岩城が抑えで結果を残すなど、即戦力の投手を見つけてきた。その十亀スカウトは、新人王を取ってくれればうれしいが、けがなく活躍してくれる方がうれしいと話している。

次は明治神宮大会、11月28日にはファンの前へ

大学での戦いはまだ残っている。東都の代表として、亜大は明治神宮野球大会の大学の部に出場する。大学の部は11月19日から試合が始まり、亜大は11月22日の2回戦から登場する。ノーヒットノーランを達成したエースにとって、4年生として臨む最後の大会になる。

関連記事:川尻啓人、東都1部で22年ぶりノーヒットノーラン 亜大のドラフト上位候補、高岡商出身

西武は11月28日、本拠地のベルーナドームでファン感謝イベント「LIONS THANKS FESTA 2026」を開く。この中で2026年ドラフトの新入団選手お披露目会があり、川尻をはじめとする8人がファンの前に登場する予定だ。

契約や背番号は、これからの交渉で決まる。最速158キロの直球を持つ右腕が、まずは先発として1年目の新人王に挑む。

[文/構成 by スポーツ担当ライター TAKU]

寄稿者

TAKU
ボールを使う競技なら何でも観ます、TAKUです。学生時代はずっとバスケ部、いまは週末にフットサル。スポーツを中心に書くWebライターになって5年です。Bリーグ、バレーボール、ラグビー、テニスを中心に、野球やサッカーも書きます。試合の流れが変わった瞬間を、スコアと一緒に伝えるのが得意です。

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