川尻啓人、東都1部で22年ぶりノーヒットノーラン 亜大のドラフト上位候補、高岡商出身

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亜細亜大の川尻啓人投手(21)が10月13日、東都大学野球秋季1部リーグの国学院大1回戦(神宮球場)でノーヒットノーランを成し遂げた。120球、11奪三振、3四死球で4-0の完封勝ち。東都1部での達成は2004年秋の亜大・山木正博以来22年ぶりで、10月22日のドラフト会議を前に、プロのスカウトから高い評価が相次いだ。
国学院大を9回無安打、120球で11奪三振
試合は10月13日の第4週1回戦で、11時53分に始まった。川尻は1回と2回を三者凡退で立ち上がると、3回に初めて四球で走者を出したが、併殺で切り抜けた。
最大のピンチは1点リードの5回に来る。先頭打者への四球に自身の失策と犠打が重なり、1死二、三塁。ここで次打者を空振り三振に仕留め、最後は二塁へのライナーで無失点にとどめた。
7回には3者連続三振。9回は先頭を三ゴロ、次打者を右飛に抑え、最後の打者を遊撃へのフライに仕留めて試合を締めた。国学院大の打者31人に対し、許した走者は3四死球と2失策の計5人だけだった。
東都大学野球連盟が公表したスコアでは、国学院大の安打は0。亜大は4回に1点を先制し、5回に1点、6回に2ランで2点を加えた。打線は10安打を放ち、試合は14時33分に終わっている。マウンドは最後まで川尻ひとりで、マスクをかぶったのは前嶋藍捕手だった。
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この日の最速は153キロで、8回にも152キロを計測した。自己最速は158キロ。それまでの自己最長は10月1日の青学大戦で投げた6回1/3だった。9回を投げ切ったのはリーグ戦で初めてで、初完投を初完封で飾り、今季無傷の4勝目を手にした。
22年ぶり、12度目の記録
東都1部のノーヒットノーランは、完全試合2度を含めて通算12度目、達成者は11人目となる。前回は2004年秋、同じ亜大の山木正博が東洋大戦で記録した。同じ大学の投手が22年の間を空けて記録をつないだ。
令和に入ってからは初めての達成だ。2025年5月27日には亜大が日大戦で斉藤汰直、山城京平、井上悠の3投手による継投で無安打無得点に抑えたが、1人の投手が9回を投げ切っての達成は山木以来となった。
本人は記録にしばらく気づいていなかった。試合後は「8回が終わるまで気づきませんでした」と明かし、「あんま実感ないですけど、うれしいっちゃうれしい」と笑った。完投は未知の領域で、「体力的にはちょっときつかったんですけど、最後は気持ちで投げ抜いた」と語っている。
国学院大の鳥山泰孝監督は「完璧にやられました」と脱帽した。
相手の国学院大は、2026年春のリーグを全カードで勝ち点を挙げて制し、7季ぶり5度目の優勝を果たしたチームだ。川尻はその春、5月6日の国学院大戦に先発し、5回2/3を5安打2失点。6回2死から2者連続のソロ本塁打を浴びて同点とされ、チームは2-3で敗れて連勝が5で止まった。本人は当時「本塁打を打たれたのは反省するところ」と話している。
5か月後、同じ神宮で同じ相手から1本の安打も許さなかった。
けがを越えた4年目、スカウトは「上位に入る」
ここまで順調だったわけではない。2年時から中継ぎとしてベンチに入ったが、結果は残せなかった。3年秋はリーグ戦の開幕前に右ひじを痛め、登板の機会はないまま終わる。ドラフトの年を迎えた心境を問われ、「不安はやっぱりあります」と率直に口にしている。座右の銘は「不撓不屈(ふとうふくつ)」だ。
正村公弘監督(63)がこの夏に掲げたテーマは「投げ込み、走り込みをする夏」。川尻は地道な練習を重ね、秋は先発の柱になった。10月1日の青学大戦では7回途中まで3安打1失点に抑え、チームの開幕5連勝に貢献している。ノーヒットノーランの試合後、監督は尻上がりによく投げたと話し、後半は3ボールのカウントになりながらも粘った点を評価した。前日に監督から「エース」と呼ばれた川尻はそれを否定したといい、監督は試合後、今日はエースになったと伝えて帰るつもりだと明かした。
ネット裏の評価も上がる。巨人の木佐貫洋スカウトは「前の試合から、打者の方に向かってくるようになり、打者に圧がかかるようになってきた」と変化を口にした。西武の秋元宏作副本部長は「今年の大学生の中でも、このアベレージで投げられる投手はいない」と球の力を評し、DeNAの八馬幹典アマスカウティンググループリーダーは「上位に入る選手ですね」と語った。
身長189センチの右腕は、終始150キロを超える直球で押した。変化球はツーシームとスライダーがよかったと本人は話す。「ピンチが少しずつ楽しめるようになってきた。打者に対して逃げずに立ち向かう部分が一番成長した」。4年目の秋、本人が口にした手応えだ。
富山市出身、高岡商で甲子園に
川尻は2004年10月23日生まれ、富山市の出身だ。富山市立桜谷小学校1年のときに桜谷ファイターズで野球を始め、中学時代は富山ヤングベースボールクラブでプレーした。
進んだのは富山県立高岡商業高等学校。3年夏の2022年、富山大会を勝ち抜いて第104回全国高校野球選手権大会に出場した。甲子園では8月8日の1回戦で敦賀気比(福井)と対戦し、3-13で敗れている。高校3年の夏に甲子園へ出た高岡商の卒業生が、4年後の秋、東都で22年ぶりの記録を残した。
亜大では2年春に公式戦デビューを果たした。右投げ左打ちで、50メートル走は6秒4、遠投は110メートル。目標の選手にはドジャースの山本由伸を挙げている。
14日に勝てば優勝、22日はドラフト会議
亜大はこの勝利で開幕から7連勝とした。10月14日の国学院大2回戦(神宮球場、11時30分開始予定)に勝てば勝ち点4となり、2022年春以来、9季ぶり28度目の優勝が決まる。
川尻はすでにプロ志望届を出している。ドラフト会議は10月22日で、翌23日が22歳の誕生日だ。指名順位について問われると「優勝したら順位も上がるかなと思う」と答え、「去年の春もここまで連勝して、次の試合で負けてしまった」と2025年春を思い返し、「しっかり勝ち切るために全員で必死にやる」と2回戦を見据えた。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]











































































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