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武部新農水相、受注企業からの献金30万円を返金し報告書を訂正 就任から6日、父は元自民党幹事長の武部勤氏

武部新農水相、受注企業からの献金30万円を返金し報告書を訂正 就任から6日、父は元自民党幹事長の武部勤氏

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武部新農林水産相(56)が10月21日、国の公共事業を受注していた地元企業から受けた30万円の寄付を返金し、政治資金収支報告書を訂正したと明らかにした。寄付は2024年の衆院選の期間中で、本人は、寄付を受けた当時は会社の受注を知らなかったと説明している。就任からわずか6日での陳謝となった。違法性について、捜査機関などの判断は確認できた範囲では示されていない。

30万円の寄付を返金、就任6日目の陳謝

問題の発端は10月20日の週刊誌報道だった。武部氏が代表を務める政党支部が、2024年の衆院選の公示日にあたる同年10月15日に、選挙区内の紋別市にある海運会社から30万円の寄付を受けていたと伝え、公職選挙法に違反する疑いを指摘した。この会社は国の公共事業を受注していたとされる。

武部氏は21日午前、記者団の取材に応じて陳謝した。「当該会社がそのような事業を受注していたということは、寄付をいただいた当時、承知しておりませんでした」と述べ、事実関係を確認したうえで返金や報告書の訂正を行うよう指示したと明かした。高市早苗首相にも報告し、「しっかりと事実関係を確認して、適切に対応してください」と言われたという。

同じ日のうちに、対応は一段進む。武部氏は記者団に、資金をすでに返し、政治資金収支報告書も訂正したと説明した。寄付は選挙運動ではなく「平時の政治活動」に向けたものだったとしつつ、「確認に漏れが発生した」と認め、「二度と起こさないようにする」と話した。

武部氏が農相に就任したのは10月15日。21日の時点で、在任はまだ1週間に満たなかった。

何が問題視されているのか

公職選挙法は、国と請負契約などを結んでいる企業が、国政選挙に関して寄付をすることを禁じている。受け取る側にも、そうした寄付を受けてはならないという決まりがある。

指摘の焦点は「選挙に関して」の寄付に当たるかどうかだ。武部氏側は、受注の事実を当時知らなかったこと、寄付は平時の政治活動向けだったことを説明している。本人が認めたのは、受注企業かどうかの確認が漏れていた点と、それを受けて返金・訂正した点にとどまる。公選法違反に当たるかどうかについて、捜査機関や選挙管理委員会の判断は確認できた範囲では示されていない。

別の2つの指摘と「公選法に違反しているとの認識はない」の説明

寄付の件とは別に、21日には週刊誌で、さらに2つの点が報じられた。

1つ目は、同じ2024年の衆院選で、選挙運動員に当たる役割のカメラマンに報酬を支払ったという指摘だ。公選法は、選挙運動員への報酬の支払いを原則として認めていない。これに対し武部氏は、撮影は党活動を記録するためのもので、カメラマンが「運動員として活動したことはない」と否定した。

2つ目は、地元の後援会が毎年夏に開いている「ビールパーティー」で、チケット代を上回る景品が当たる抽選会があったとして、有権者への利益供与に当たるのではないかという指摘である。武部氏は、後援会が政治資金パーティーとして事前に案内したうえで開いたと強調した。景品はホームセンターで買った日用品や雑貨で、利益を与えるようなものではないと認識しているという。

武部氏は、いずれの報道についても公選法に違反しているとの認識はないと言明した。2つの指摘は本人が否定している段階の話で、返金や訂正をした寄付の件とは性質が異なる。

前任の簗氏から続く「2代連続」の疑惑

なぜ就任直後の農相に、ここまで視線が集まるのか。

背景には前任者の辞任がある。簗和生前農相は、自治体向けの道路予算をめぐる「カット」発言を撤回して謝罪し、公選法違反が疑われる事案も報じられたすえ、10月14日に辞表を出した。高市首相は翌15日に武部氏を後任に起用し、農林水産副大臣の経験を挙げて「即戦力として国会対応も含め活躍してもらえる」と期待を語っていた。

武部氏自身も就任時、記者団に「国民から信頼される農林水産行政を進めていきたい」と述べている。その矢先に、農相が2人続けて法令違反の疑いを持たれる事態となった。武部氏は21日、この点についても「大変申し訳なく思う」と謝罪した。

父は元自民党幹事長・元農相の武部勤氏

ニュースで名前を見て、父親が誰なのか気になった人もいるだろう。武部氏の父は、自民党幹事長や農相を務めた武部勤氏だ。勤氏は小泉純一郎政権で農相と党幹事長を歴任し、北海道のオホーツク・宗谷地方を地盤としてきた。

新氏は父の秘書を経て、勤氏の引退に伴い北海道12区の地盤を引き継いだ。2012年の衆院選で初当選し、当選は6回を重ねる。旧二階派に所属し、農林水産副大臣や党の農林部会長を務めるなど、農林水産分野を歩んできた。今回が初入閣で、父と同じ農相のポストに就き、親子2代の農相となった。

地元の海運会社からの寄付が問題になったのも、この父から受け継いだ選挙区の中での話だった。

関連記事:武部新、簗農相の後任に起用へ 父・武部勤元農相に続き親子2代で農水相の見通し

今後の焦点は国会での説明

武部氏は「法令に従って厳正に対応していきたい」と述べている。寄付の件は返金と報告書の訂正で一区切りついたが、カメラマンへの支払いとビールパーティーの2点は、本人の否定と報道の指摘が食い違ったままだ。

国会では20日に食料品の消費税減税関連法案が衆院で審議入りしたばかりで、野党側は21日、武部氏に説明責任を十分に果たすよう求め、国会で追及する考えを示した。新しい農相が国会で各指摘にどう説明するかが、当面の焦点になる。いずれの件も、違法性について捜査機関などの判断は確認できた範囲では示されておらず、事実関係の確認が続く。

[文/構成 by 飯田タツヤ]

寄稿者

飯田タツヤ
時事ニュースを中心に、社会の動きから芸能・スポーツの話題まで幅広く書いているWebライターの飯田です。ライター歴は6年。心がけているのは、発表や報道で確認できたことと、まだ分かっていないことを分けて書くこと。「何が起きて、暮らしにどう関わるのか」を最初に整理しています。休日はラジオを流しながらの散歩とサウナ。

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