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工藤泰成、9回に逆転打を許し涙「このことは絶対に忘れないように」 阪神はCSファイナルで敗退

工藤泰成、9回に逆転打を許し涙「このことは絶対に忘れないように」 阪神はCSファイナルで敗退

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

阪神の守護神・工藤泰成(24)が10月17日、甲子園で行われたセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦のDeNA戦で、5-4の9回2死二、三塁から三森大貴に逆転の中前2点適時打を浴びた。阪神は5-8で敗れ、アドバンテージの1勝を含めて1勝4敗で敗退。試合後の工藤は涙が止まらず、「このことは絶対に忘れないように」と声を絞り出した。

8回途中から登板、あと1球で逆転打

工藤がマウンドに上がったのは9回ではなく、8回の途中だった。

5-3と2点をリードした8回、7回から2イニング目に入った木下が牧に死球、佐野に四球を与え、宮﨑に右前適時打を浴びて1点差。なおも無死一、二塁の場面で、藤川球児監督は工藤を送り出した。工藤は井上朋をフルカウントから見逃し三振、代打・筒香を空振り三振に仕留め、成瀬も一塁へのフライに打ち取る。一度はピンチを無失点で切り抜けた。

暗転したのは、続投した9回だった。1死から松尾に四球を与え、度会の打球は二塁への内野安打となって一、三塁。牧の一ゴロで2死二、三塁となり、打席には途中出場の三森が入る。2ストライクと追い込み、甲子園のスタンドから「あと1球」のコールが響く中、3球目を中前へはじき返された。走者2人が生還し、6-5と逆転。工藤は宮﨑を申告敬遠で歩かせたところで降板した。

代わったドリスも井上朋と代打・林に適時打を許し、この回だけで4失点。工藤は1回3分の2を投げ、2安打2四球4失点で敗戦投手となった。投球数は36球だった。

9回裏の阪神は森下の四球、大山の左前打、伏見の四球で1死満塁まで攻め立てた。だが、DeNAのレイノルズの前に髙寺が空振り三振、代打・木浪が見逃し三振。4万2648人が詰めかけたスタンドの願いもむなしく、反撃は届かなかった。試合時間は3時間54分に及んだ。

28イニング目の初得点から一時は逆転

阪神は第1戦から3試合連続の零封負けで、後がない状態で第4戦を迎えていた。第1戦は0-2、第2戦は0-1、第3戦は0-4。ポストシーズンの打線は沈黙が続いた。

第4戦は、けがで第3戦をベンチスタートしていた森下と佐藤輝明が先発に戻った。1回に宮﨑の犠牲フライで先制されたが、その裏2死一、二塁から大山が左前適時打を放って同点に追いつく。シリーズ4試合目、28イニング目で、ようやく阪神に初得点が入った。

4回に成瀬の2ランで勝ち越されても、阪神は粘る。5回に森下が左翼へソロを放って1点差に迫り、6回には相手の失策で同点。7回は森下がこの日2本目のソロで勝ち越し、伏見の犠牲フライで5-3とした。シリーズで初めてリードを奪った展開だっただけに、9回の逆転打が重くのしかかった。

大山はこの日4安打、森下は2本塁打を含む3安打と気を吐いた。阪神の安打数は14本で、DeNAの12本を上回っている。

投手陣は、先発の大竹が4回を投げて3失点。2番手の神宮は5、6回を無失点でつなぎ、7回からは木下が受け継いだ。一方のDeNAは8回を馬場、9回をレイノルズが締めた。馬場は第2戦に続いてこのシリーズ2勝目、レイノルズは3セーブ目を挙げている。

関連記事:佐藤輝明、メジャー挑戦問われ「何も言えない」 阪神はポスティング容認を検討、海外FAは最短2029年

降板後はベンチで動けず、主将の坂本が寄り添う

ベンチに戻った工藤は、うつむいたまましばらく顔を上げられなかった。ベンチに腰を下ろしてから1分半ほど、その場から動けなかったという。

試合後も涙は止まらない。言葉に詰まり、沈黙が40秒ほど続いた。やがて「巻き戻したくても巻き戻せない」と口にし、「このことは絶対に忘れないように」と続けた。今後に生かすしかない、と自分に言い聞かせるように言葉をつないだ。

報道によると、工藤は「経験というのが、自分を一番強くするなと」とも語り、来季へ向けた進化を誓った。

試合終了後、阪神ナインは右翼付近に整列してスタンドへあいさつした。ファンはねぎらいの拍手で選手を迎える。工藤はあいさつの場で涙を流して座り込み、しばらく立ち上がれなかった。主将の坂本誠志郎が肩に手を置き、寄り添いながら一緒にベンチへ引き揚げた。

育成出身の剛腕、2年目で守護神に

工藤は2001年11月19日生まれの右投げ左打ち。秋田の明桜高から東京国際大を経て、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスでプレーした。2024年の育成ドラフト1位で阪神に入団し、1年目の2025年3月に支配下登録をつかんでいる。

1年目は18試合に登板して0勝2敗、防御率3.31。制球に苦しむ場面もあった。

流れが変わったのは2年目の2026年だ。160キロを超える直球を武器に登板を重ね、シーズン途中から抑えを任された。NPBの記録では、今季は57試合に登板して3勝1敗12セーブ13ホールド。60回を投げて80三振を奪い、被本塁打0、防御率1.05という数字を残した。球団初のセ・リーグ連覇を支えたリリーフの柱だった。

CSでも第2戦の9回を三者凡退に抑えていた。第4戦では、この日最速となる162キロの直球で筒香から空振り三振を奪っている。それでも、9回2死からの1球を三森に捉えられた。

藤川監督「本当にこちらの責任」

藤川監督は試合後、「選手はよく頑張ってくれました」とナインをねぎらい、「ファンの方には本当に申し訳ない」と頭を下げた。

終盤の継投については、レギュラーシーズンで「神宮や木下、工藤も時にはイニングをまたいで勝ち星を拾っていくというやり方をしていました」と説明した。そのうえで「形が最後まで苦しかったというのは事実ではあります」と認め、「これはもう本当にこちらの責任ですね。申し訳ない」と自らに矢印を向けた。

5回から1年目の神宮、7回から2年目の木下、8回途中から同じく2年目の工藤と、阪神は若い救援陣にイニングをまたがせてリードを守りにいった。シーズン中に勝ちを重ねた形を、短期決戦の最後まで貫いた采配だった。

DeNAは日本シリーズへ、阪神は3位相手に初の4連敗

DeNAはこの勝利で、ファーストステージの巨人戦2連勝に続いてファイナルステージでも4連勝し、日本シリーズ進出を決めた。日本シリーズはソフトバンクと対戦し、10月24日に横浜スタジアムで開幕する。

一方の阪神は、リーグ優勝チームとしてアドバンテージを持ちながら、3位のDeNAに初戦から4連敗した。CSファイナルステージで、優勝チームが3位チーム相手に4連敗で敗退したのは初めてとなった。

2年目で守護神の座をつかんだ24歳にとって、悔しさの残る幕切れになった。甲子園で流した涙を、工藤は来季のマウンドへ持ち込む。

[文/構成 by スポーツライター TAKU]

寄稿者

TAKU
ボールを使う競技なら何でも観ます、TAKUです。学生時代はずっとバスケ部、いまは週末にフットサル。スポーツを中心に書くWebライターになって5年です。Bリーグ、バレーボール、ラグビー、テニスを中心に、野球やサッカーも書きます。試合の流れが変わった瞬間を、スコアと一緒に伝えるのが得意です。

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