亀田興毅がキルギス大会中止に「悔恨の念」と声明 LUSH提携解消で揺れる興行運営の現在

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亀田興毅(39)がファウンダーを務める興行「SAIKOULUSH」のキルギス大会が中止となった。亀田氏は18日に声明を出し「悔恨の念」と謝罪。22日には共同運営の株式会社LUSHが提携解消とボクシング興行事業からの撤退を発表した。6月6日の愛知大会は亀田氏中心で開催に向け調整が進む。
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キルギス2大会が直前中止、亀田氏は18日に声明
ボクシング元世界3階級制覇王者の亀田興毅(39)がファウンダーを務めるイベント「SAIKOULUSH」のキルギス大会が中止になった。5月23、24日に首都ビシケクで予定されていた「SAIKOULUSH Vol.5、6」について、運営会社の株式会社LUSHが17日に中止を発表した。
主催者は中止理由を「昨今の急激な経済情勢の変化や、現地における興行・設営コストの想定以上の高騰により、当初の事業計画を維持することが極めて困難な状況となりました」と説明した。「選手への適切なファイトマネーの支払い、お客様への安全かつ質の高いイベント運営を担保できないと判断し、苦渋の決断に至りました」とも続けた。
24日にはWBA暫定王座戦2試合を予定していた(23日のVol.5は日本人選手中心のアンダーカード興行)。WBA世界フェザー級5位・亀田京之介(27)=MR=が同級4位ルイス・ヌネス(26)=ドミニカ共和国=と暫定王座決定戦を行い、WBA世界スーパーフライ級6位・佐野遥渉(23)=LUSH=が同級暫定王者デビッド・ヒメネス(34)=コスタリカ=に挑む予定だった。中止により2試合とも消滅。
亀田氏は18日、自身のXと公式チャネルで声明文を発表した。「やむを得ず開催を中止する決断を下しました。本大会を楽しみに待ってくださっていたボクシングファンの皆様、多大なるご支援をいただいておりますスポンサーおよび関係者の皆様に、心より深くお詫び申し上げます」と謝罪。「お互いの得意分野を活かして最高の舞台を創り上げるはずが、このような結果を招いてしまったこと、悔恨の念に駆られるばかりです」と無念さを綴った。
3150FIGHTとLUSHBOMUが2024年8月合体、これまで10興行
声明では「SAIKOULUSH」の成り立ちにも踏み込んだ。亀田氏率いる「3150FIGHT」と、エンタメ集団「LUSHBOMU」を運営する株式会社LUSHが2024年8月に合体し、「3150×LUSHBOMU」(現在のSAIKOULUSH)として新たなスタートを切った。音楽やグルメを取り入れたエンターテインメント色の強い興行で新たなファン層を開拓してきたLUSH側と、ボクシング業界に根を張る3150FIGHTが手を組む形だ。
役割分担は明確だった。オーナーである株式会社LUSHが資金面の管理と大会全体の運営を担い、亀田氏側がマッチメイクなどボクシング業務を担当。提携以降、これまでに10回の興行を共催し、うち世界戦は7試合を組んできた。第1弾は2024年8月の大阪大会で、亀田和毅(TMK)とレラト・ドラミニ(南アフリカ)のIBF世界フェザー級挑戦者決定戦をメインに据えた。矢吹正道のIBF世界ライトフライ級・フライ級2階級制覇や、亀田和毅の世界挑戦などもこの座組みから生まれている。
しかし運営面の課題は根深かった。原田萌子代表は中止発表時のコメントで「運営・財務を統括する弊社において、海外での大規模興行におけるリスク想定や資金計画に甘さがあったことは否めず、その全責任は私共にあります」と認めた。海外興行のコスト管理が想定を超え、最終局面で資金が回らなくなった。
5月22日、LUSH社が提携解消と興行事業撤退を発表
事態はさらに動いた。5月22日深夜、株式会社LUSHは新たな声明を出した。代表取締役・原田萌子の名前で公表されたリリースは、まずキルギス大会中止と6月6日愛知大会をめぐる混乱について「人生を懸けてリングに上がる準備をしていた選手の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、心より深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
そのうえで踏み込んだ。「本件に対する責任は極めて重いと痛感しております。この状況下におきまして、弊社はボクシング興行の運営主体に資さないと考え、ボクシング興行の運営事業から退くことを決定いたしました」。亀田プロモーションとの共同プロジェクトである「SAIKOULUSH」も終了し、提携関係を解消することを明らかにした。
LUSH側は最後にこう綴った。「エンターテインメントやグルメとボクシングの融合を目指し、新たなファン層に魅力を届けるべくスタートした挑戦でしたが、このような結果となり、応援してくださった全ての方々の期待を裏切る形となりましたこと、痛恨の極みでございます」。発足からわずか1年9カ月、世界戦7試合を含む10興行を支えた共同事業に幕が下りた。
亀田氏自身も18日の声明で苦境を率直に明かしていた。6月6日の愛知大会について「楽しみにしてくださっているファンの方々や日々研鑽を重ねる選手たちに対し、今この場で『間違いなく開催します』と言い切れない現状が、ファウンダーとして非常に心苦しいです」「現状は決して楽観視できる状況ではございません」。LUSHが運営から退くことで、興行の屋台骨を組み直す必要に迫られた。
6月6日愛知大会は亀田氏中心、ABEMA配信で開催方針
メインの矢吹正道(33)=緑=の2度目防衛戦が組まれた6月6日の「SAIKOULUSH 8」(愛知県国際展示場=AICHI SKY EXPO)は、開催に向けて急ピッチで動く。LUSH側は撤退を表明したうえで「楽しみにしてくださっているファンの皆様と出場選手のために、亀田興毅氏を中心に開催に向けて尽力されております。弊社といたしましては、運営からは退くものの、本大会が実現できるよう、亀田氏の活動に対して最大限の協力を惜しまない所存です」とコメントした。
矢吹陣営の関係者は21日までに「亀田君は責任を持って絶対にやる。できなければ今後ボクシング界で生きていけないことをわかっている」とRONSPOの取材に明かした。亀田氏は不安な立場に置かれた矢吹本人とも直接連絡を取り合い、開催に目途が立ったことを伝えているという。資金面の難題はABEMAの配信決定が後押しとなり、ほぼ全カードが実施される方向で25日にも正式発表される運びだ。
愛知大会は世界戦2試合と指名挑戦者決定戦が並ぶ豪華な構成だ。メインはIBF世界フライ級王者・矢吹が同級3位レネ・カリスト(31)=メキシコ=の挑戦を受ける2度目防衛戦。IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチでは王者ウィリバルド・ガルシア(36)=メキシコ=が同級3位アンドリュー・モロニー(35)=オーストラリア=の挑戦を受ける指名戦が組まれる。元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(31)=メキシコ=と元世界3階級制覇王者ジョンリエル・カシメロ(37)=フィリピン=の悪童対決、「パッキャオ2世」と呼ばれるIBF世界バンタム級3位ケネス・ラバー(24)=フィリピン=が同級5位マイケル・アンジェレッティ(米国)と争うIBF世界バンタム級指名挑戦者決定戦も並ぶ。
JBC(日本ボクシングコミッション)は厳しい姿勢を示している。日刊スポーツによると、JBCは矢吹のV2戦が直前中止になった場合は処分対象になり得るとの考えを示した。矢吹は昨年12月、元IBF世界ライトフライ級王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)を12回1分59秒KOで下し、IBF世界フライ級初防衛に成功している。世界王座を背負う選手の試合を直前で吹き飛ばすわけにはいかないという、業界としての警告だった。
ファウンダーの責務、興行運営の現在地
亀田氏側がマッチメイクや選手交渉の実務を担い、株式会社LUSHが資金と全体運営を握る。役割分担は明確だったが、海外興行の財務リスクという最も重い部分が想定を超えた。提携の片翼が折れた今、出場予定だった選手たちへの新たな試合提供と、6月6日の興行を確実に成立させることが亀田氏の当面の責務になる。
亀田氏は18日の声明で「今回出場を予定していた選手たちに対しては、これまでの努力が報われるよう、新たな舞台を早急に用意すべく全力で調整を進めております」と表明した。キルギスで世界戦を予定していた亀田京之介と佐野遥渉の処遇、そしてLUSH撤退後の新たな運営体制をどう描くかが問われる。
愛知大会の正式発表は25日にも見込まれる。そこで6月6日の開催可否、運営主体、配信スキームが固まる。亀田氏が「ファウンダー」として2024年8月に始めた共同事業は1年9カ月で形を変え、再び自身の手に運営の重心が戻ろうとしている。
[文/構成 by 久遠(KUON)]
































































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