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堀口恭司「ロッタンも倒れるんだ、と思った」武尊引退試合のKO劇を語る 勝利を呼んだ作戦とは

堀口恭司「ロッタンも倒れるんだ、と思った」武尊引退試合のKO劇を語る 勝利を呼んだ作戦とは

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

総合格闘家の堀口恭司(35)=アメリカン・トップチーム=が4月30日、武尊(34)=team VASILEUS=の引退試合を自身のYouTubeチャンネルで分析した。宿敵ロッタンを5回TKOで下したリベンジ劇について”ロッタンも倒れるんだ、と思った”と驚きを口にし、勝利を呼んだ作戦を読み解いた。

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堀口恭司が武尊vsロッタン戦を絶賛

堀口恭司が4月30日、自身のYouTubeチャンネル”Kyoji Horiguchi”に試合感想動画を公開した。題材となったのは前日29日、東京・有明アリーナで開催された”ONE SAMURAI 1″のメインイベント、フライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦だ。

K-1史上初の3階級制覇王者・武尊が、現役最後の一戦で宿敵ロッタン・ジットムアンノン(28)=タイ=に挑み、5ラウンド2分22秒にレフェリーストップによるTKO勝ち。昨年3月の初戦で1回KO負けした因縁の相手にリベンジを果たし、プロキャリア5331日を有終の美で締めくくった。

堀口自身が試合直後に感想動画を投稿するのは珍しい。それだけ心を動かされた一戦だったと話す。”俺が言うまでもなく、いい試合だった”と冒頭で振り返り、1ラウンドからお互いの動きが噛み合っていたと分析を始めた。

カーフキックで足を崩す戦略を読み解く

武尊は試合序盤、ローキックを多用してロッタンの足を執拗に狙いにいった。堀口はこの組み立てに武尊陣営の狙いを見た。”ロッタン選手は顔が打たれ強いから、足から崩していくような試合運びに見えた”。

打たれ強さに定評のあるロッタン相手に、正面から頭部を狙うのではなく、まず土台を削る。堀口はそう読み解いた。カーフキックで踏ん張りを奪い、パンチで仕留める二段構えの作戦だ。

試合が動いたのは2ラウンドだった。武尊の左フックがカウンターでヒット。ロッタンはスリップを主張したものの、レフェリーはダウンと判定。さらに1分後、武尊は前に出てパンチを連打し2度目のダウンを奪う。

堀口はこの瞬間、目を見張ったと話す。”おお、ロッタンも倒れるんだ、と思った”。打たれ強さで知られる”アイアンマン”をぐらつかせた要因を、堀口はこう説明する。”カーフキックで先に足を効かせて踏ん張りを効かなくした上で、パンチを当てていく作戦面が良かった”。

1度対戦した経験が研究に生きた

堀口の読みはさらに踏み込む。前年3月にロッタンと一度対戦している経験が、今回の戦術設計に生きたのではないかという見立てだ。”1度対戦している経験から、ロッタン選手の弱点や入りやすいパンチを研究で把握していたのではないか”。

武尊の得意技である”ストレートからのフック”の組み立ても、今回はうまく機能していたと評した。

3〜4ラウンドにかけての展開も堀口は冷静に分析する。ダウンを奪われ焦ったロッタンが前に出てくる場面でも、武尊はガードを固めて落ち着いて対応した。そして5ラウンド、堀口は”武尊選手が勝負どころと見てガンガン攻めにいった”と語る。いいストレートからのフックでさらに2度のダウンを重ね(合計4度)、最後はラッシュで仕留め、レフェリーストップによるTKO勝ちを収めた。

“武尊選手にとって最後の試合で本当にいいところを見せられた、最高の引退試合になったんじゃないか”。堀口はそう締めくくった。

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格闘技の火を次世代へ託す

武尊とは雑誌の表紙で共演した記憶が残っていると堀口は振り返る。それ以外では、日本で行われた武尊の試合を観戦に訪れた程度で、直接的な交流は多くはない。

格闘家としての武尊像を問われた堀口は、三つの要素を挙げた。勝負どころで勝負にいける姿勢、気持ちの強さ、そして自分が口にしたことを曲げない一貫性だ。技術面については”インファイトでガチャガチャ前に出て倒すタイプ”と表現し、細かいフックの精度がある一方で”どちらかというと根性タイプの印象”と語った。

試合後、マイクが切れた後も武尊が肉声でファンへメッセージを伝え続けた場面も印象的だったと堀口は話す。”生の声で気持ちが通じた感じがした”。

今回の一戦がフジテレビ系列で地上波放送されたことを、堀口は当初知らなかった様子で驚いていた。”地上波復活やん、すごいやん”。その上で、武尊が地上波で現役生活を締めくくれた意義に触れた。”武尊選手が地上波で最後を終えられたのは、本人の中でも意味があったんじゃないか。夢を持たせられたんじゃないか”。

そこから話は自身の立ち位置にも及ぶ。格闘技から夢をもらってきた世代として、次に託す責任があるという思いだ。”俺もいつかいなくなるから、託していかないといけない。格闘技がなくなった時期に頑張ってやっていて、どこに行けばいいんだろう、何を目指せばいいんだろうと思っていたから、格闘技の火を消したくない。スポーツとしてずっと残していきたい”。

“もう少し続けてほしかった” 堀口の本音

武尊の引退そのものについては、”本人が決めたことだから”と尊重する姿勢を示しつつ、堀口個人の本音ものぞかせた。”もう少し続けてほしかった”。

“有名になっていろいろなスポンサーがついて、応援団も増えて、好きな試合ができてお金も稼げるようになってからの引退はもったいないんじゃないか、というのが俺の考え方”。勝った時の刺激はほかで得がたいものだと堀口は言う。”こんなに刺激的なことはないからまたやりたくなると思う”。

それでも、武尊の性格を踏まえて堀口は受け止めた。”武尊選手は中途半端な姿で出てこられないという思いがあったから引退を決めたのだろう。決めたことはやる、という性格なんじゃないか”。

関連記事:武尊、引退試合で”次を考えない”覚悟 ―「HPがあと50残っていたら全部使い切る」 フジテレビ地上波中継実現に「デビューからずっと言い続けてきた」

動画の最後、堀口は武尊へのメッセージで締めくくった。”武尊選手おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。長らく格闘技を引っ張っていってくれて本当にありがとうございます。自分の方が年上ですが、まだ格闘技を続けたいと思っています。第二の人生頑張ってください”。

王者を下して去った男と、まだリングに残る先輩。世代を超えたエールが、格闘技の火を次にどう繋ぐかという問いを投げかける。

[文/構成 by 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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