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「負けず嫌いでムキになってしまう」――中谷潤人が明かす自身の”弱さ”と、井上尚弥に勝つための複数の勝ち筋

「負けず嫌いでムキになってしまう」――中谷潤人が明かす自身の”弱さ”と、井上尚弥に勝つための複数の勝ち筋

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

プロボクシング世界3階級制覇の中谷潤人(28)=M.T=が、5月2日の井上尚弥戦を前にNewsPicks「舞台裏」のインタビューに応じた。自身の”弱さ”として「負けず嫌いでムキになってしまう」と明かし、井上戦に向け複数の勝ち筋を共有している状態だと語った。東京ドーム決戦まで1週間を切った。

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“弱さ”を自ら口にした王者

プロボクシング前WBC・IBF世界バンタム級統一王者の中谷潤人(28)=M.T、32勝24KO=が、動画メディアのインタビューで自身の”弱さ”について語った。NewsPicksが4月下旬に配信した独占企画「舞台裏」のシリーズで、聞き手はノンフィクションライターの泉秀一。5月2日に東京ドームで行われる世界スーパーバンタム級4団体統一戦、王者・井上尚弥(33)=大橋、32勝27KO=との一戦を約1週間後に控えたタイミングでの発言だった。

中谷は5つのテーマの4つ目として「自身の弱さ」を問われ、動画内でこう答えている。「強みでもあり弱みでもあるが、負けず嫌いなところがある。たまにムキになってしまうのが弱さ」。日本ボクシング界で最も注目される一戦の直前、無敗の挑戦者が自ら”死角”を口にする異例の展開となった。

エルナンデス戦で露呈した”ムキになる”危うさ

中谷が具体例に挙げたのは、2025年12月27日にサウジアラビア・リヤドで行われたセバスチャン・エルナンデス(25)=メキシコ=との一戦だった。スーパーバンタム級への転向初戦。中谷は3-0の判定勝ちを収めたものの、右目がふさがる接戦を強いられた。プロ32連勝目を挙げたが、内容は辛勝に近い。

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動画内で中谷は「気持ちが出ていた部分があった」と振り返り、具体的な反省点を挙げている。正面からぶつかり合いすぎた。まっすぐ下がりすぎた。ガードの位置やパンチの角度といった繊細な部分にもほころびが出た。「自分のバランスの中心を通り越して前に出てしまい、ディフェンスが甘くなって一発もらう可能性が出る」と動画内で自己分析している。

一方で、バンタム級からスーパーバンタム級への階級アップ(約1.8kg増)の壁については否定的だ。「対セバスチャン・エルナンデスとしての考え方なので、現段階でアジャストできていないと言われればそれまでだが、パンチの強さなどで階級の壁を感じることはなかった」と動画内で述べている。エルナンデス戦については「反省点がたくさん出た試合。あの経験ができてプラスしかない」とも語った。

アメリカで鍛えられた価値観

世界王者になって注目度が高まり、背負う役割も変わる。その問いに対して中谷は動画で明快に答えた。「自分自身がどうありたいかというところが一番大事」「自分が伝えたい、共感するというところを発信していきたい」。周囲の評価を気にしない姿勢は「アメリカで鍛えられた」という。

中谷は中学卒業と同時に渡米し、厳しい環境で修行を積んだことで知られる。自身の判断軸について動画内で「ワクワクする方、自分の心が踊る方に舵を切ってきた」「後ろを振り向かずまっすぐ行くことを意識していた」と明かした。中学生という早い段階で進路を決めた背景には「両親の教えが大きく、サポートしてくれる環境があったことも一つ大きい」という家族の存在もあった。

アメリカ修行から帰国してプロになるタイミングで、出身地の三重県東員町から家族全員が所属ジムのある神奈川県相模原市に移住したエピソードも、動画内で改めて語られた。「家族がそれまでの職を変えて神奈川に来てくれた。やるしかないという気持ちと、感謝の念から、自分にできるボクシングで恩返しするしかないと思った」。家族の思いを背負って戦ってきたという原点だ。

村野健会長と背負う”人生”

中谷は所属ジムM.Tボクシングジムの村野健会長についても動画内で触れている。「数年前、ちょうどチャンピオンになる前くらいに、ジムの経営状態が苦しく、借金の返済も大変だった」と明かし、それでも所属選手を支え続けた会長の姿勢に謝意を示した。

動画での発言はリング外の重みに及ぶ。「ボクシングはリング上で戦うのは2人だけだが、それぞれの後ろ側に大きなものを抱えながら戦っている」「いろんな人の人生を背負って戦っていると感じる。周りの人がハッピーになれるように戦っていきたいというのが自分のモチベーション」。王者の言葉には実感がこもっていた。

変わった”イメージ”と、複数の勝ち筋

半年ほど前のインタビューで、中谷は井上戦について「今は勝てるイメージが湧かない」と答えていた。ところが今回の動画では、明らかに手応えがにじむ。「たくさんイメージしている。勝ち筋を見出していくポイントをいくつか持っている状態。あとは質を高めていく作業をするだけ」。

注目すべきは、勝ち筋が一つではない点だ。「一つの武器だけで勝てる選手ではないので、いくつもチームと共有して持っている状態。そこに勝ちを見出してしっかり体現したい」と動画内で明言した。チーム全体で複数の攻略法を共有し、井上という難敵を崩すシナリオを描いている。

井上の印象については「全てにおいてレベルが高い選手で、なかなか崩しづらい選手というイメージ」と語った。ただ、そこで止まらない。「しかし、そこを超えないと目標にしているP4P 1位はない」。世界王者になれるのか、P4Pの頂点に立てるのか。そうした根本的な自信への疑問は「あまりなかった」と動画内で振り返り、「今も(P4P 1位を)取るという気持ち。決めたことはそこに向かっていく」と力強く語った。

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バンタム級4団体統一を選ばなかった理由

スーパーバンタム級への転向は、井上戦を見据えた判断だった。「バンタム級でやりたかった統一戦をクリアし、自分自身納得できた。次にやりたいことは井上選手。井上選手が一階級上にいるので、上げる一つのモチベーションになっていた」と動画で説明している。

バンタム級4団体統一にこだわらなかった理由は明快だ。「体重がきつかった。そこに費やすよりも、自分自身がより成長できる方に行きたかった」。エルナンデス戦のみを経て井上戦に臨むことへの迷いも、すでに払拭されている。「タイミングなので、やるべき時。自信を持ってスーパーバンタム級で戦っていけると思っているし、井上選手に勝つ準備をしていくだけ」。

メンタルとファンへのメッセージ

メンタル面についても中谷は動画で持論を述べた。「体が動きづらい日や本調子ではない日は誰にでもある。そこを悲観的に受け取るか、こういう時はこういうことができるなと考えてアクションを起こすかの切り替えを大事にしている」。自分自身と向き合い、視点を変えて前に進む。王者の自己管理術だ。

勝ち方へのこだわりについては「全てで上回るというイメージ。KOのためにアクションを起こしていくが、結果はお任せ。やってきたことを出せればいい」と語った。試合直前にはアメリカで仕上げの調整に入るという。

最後にファンへ届けたいものを問われ、動画内でこう締めくくった。「本当に心を揺さぶるようなファイトをしたい。次の日からの活力にしてもらえたら嬉しい」「全てをかけて勝ちに行きます」。

5月2日、東京ドーム決戦へ

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中谷と井上が激突する「NTTドコモ presents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ」は、5月2日に東京ドームで行われる。チケットはドコモ会員向け先行先着販売および一般抽選販売(一次・二次)を経て完売し、一般先着販売は実施されなかった。最高額33万円、最安1万1000円という価格設定。大橋ジムの大橋秀行会長は「5・2のチケットは、予定枚数終了となりました」「今後チケットの追加発売予定はございません」とコメントしている。

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中谷は4月23日、相模原市のM.Tジムで公開練習を実施。報道陣約100人が集結した。動画内で見せた自己分析と複数の勝ち筋。「ムキになってしまう」と自らの弱さを口にした王者が、どう修正を加え、どう井上を攻略するのか。決戦までは1週間を切った。

[文/構成 by 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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