平尾誠二さん没後10年を前に神戸で「タグラグビー平尾誠二杯」 28チーム約180人が参加

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
「ミスター・ラグビー」と呼ばれた平尾誠二さんをしのぶタグラグビー大会「平尾誠二杯」が10月17日、神戸市東灘区のKOBELCOスポーツパークで開かれた。報道によると、小学生から80歳までの約180人が年代別の5部門、28チームに分かれて参加。平尾さんが2016年10月20日に53歳で亡くなってから、まもなく10年を迎える。
平尾さんが初代理事長を務めたSCIXが主催
大会を主催したのは、神戸市のNPO法人「スポーツ・コミュニティ・アンド・インテリジェンス機構」(略称SCIX=シックス)だ。2000年7月24日に設立された団体で、平尾さんは初代理事長を務めた。没後10年の節目に、ラグビーを通じた平尾さんの社会的な功績を広く伝えようと、メモリアルイベントとして企画したという。
SCIXの歩みは、平尾さんが描いた地域スポーツの形そのものだ。設立翌年の2001年4月にはSCIXラグビークラブを立ち上げて練習を始め、今は中学生から社会人までの幅広い年齢層が所属する。2003年にはサッカー、アメリカンフットボール、ラグビーのトップ指導者が共通のテーマを語り合う「フットボール・コーチングセミナー」をスタートさせ、空間の感覚や意思疎通の力を養う新しい球技「スペースボール」も開発して、兵庫県内を中心に学校へ出向いた。競技の枠を越えて人を育てる。その考えが、今回のタグラグビー大会にもつながる。
会場は神戸市東灘区御影浜町にあるKOBELCOスポーツパークの人工芝グラウンドで、コベルコ神戸スティーラーズが協力した。日本ラグビーフットボール協会の公式サイトにも、10月17日午前9時から午後4時ごろまでの日程で告知が出ていた。
タグラグビーは、タックルの代わりに腰に付けたタグを取り合う、ぶつからないラグビーだ。体の接触がないため、子どもから大人までが同じコートに立てる。大会は5人制、7分ストレートの試合をリーグ戦形式で行い、参加者は秋晴れの中で汗を流した。
部門は5つ。小学1〜3年生の「U9」と小学4〜6年生の「U12」、50歳以上の「オーバー50」、年齢制限のない「エンジョイカップ」と「チャンピオンカップ」がある。SCIXは友人や職場、家族でのチーム参加を呼びかけ、申し込みは9月30日に締め切られた。参加費は1人500円(保険料込み)で、上限は50チームとしていた。表彰の対象は、「チャンピオンシップカップ」の優勝チームと、各カテゴリーで最も多くトライを挙げたチームだ。勝ち負けだけでなく、トライの数でも競い合える仕組みだ。
「おもろいラグビー」の原点をたどる
大会の案内文で、SCIXは平尾さんのラグビーの原点を紹介している。中学時代、校庭に転がっていた楕円球を手に友人たちと始めた「おもろい遊び」が、やがて神戸製鋼ラグビー部(現コベルコ神戸スティーラーズ)の7年連続日本一を支える、ボールをつなぐ「おもろいラグビー」になった、という内容だ。
京都市出身の平尾さんは、伏見工業高校(京都)3年で全国大会を制し、同志社大学では全国大学選手権で史上初の3連覇を成し遂げた。1986年に神戸製鋼所へ入社すると、チームを日本選手権7連覇に導く。日本代表としてはワールドカップ(W杯)に1987年、1991年、1995年と3大会続けて出場し、1991年大会では主将を務めた。
指導者としての歩みも長い。1997年に日本代表監督に就き、2000年まで指揮を執った。晩年は神戸製鋼ラグビー部のゼネラルマネジャーとしてチーム強化に力を注いでいたが、2016年10月20日、胆管細胞がんのため53歳で亡くなった。
あれから、まもなく10年。神戸の人工芝の上で、小学生から80歳までが同じ楕円球を追いかけた。
長男の昂大は「うれしい限りです」
会場では、ラグビージャーナリストの村上晃一によるトークショーもあった。村上は10月8日に平尾さんの生涯をまとめた「評伝 平尾誠二」を出版したばかりで、トークショーには平尾さんの長男の昂大(32)も登場し、父への思いを語った。
取材に応じた昂大は、10年がたった今もこれだけ大きな会を開いてもらえることに感謝し、父のことを今も覚えてもらっているのは「うれしい限りです」と話した。報道によると、昂大は26歳のとき、父が設立に関わったクラブでラグビーを始め、今も千葉県のクラブでプレーを続けている。この日は、こうした会を通じて多くの人にラグビーの面白さを知ってもらえればという願いも口にしたという。
昂大自身にも1歳の息子がいる。父から教わった言葉を胸に、自分の考えをしっかり持つことを、今度は子どもに伝えていきたいと話した。
選手の側にも、平尾さんの存在は残る。神戸からは5選手が参加し、エキシビションマッチで会場を盛り上げた。本橋拓馬(24)は、チームのロッカーに今も平尾さんの遺影が飾られていると明かし、「神戸の黄金期を築いたレジェンド」と表現して、大会がこれからも続くことを願った。
上ノ坊駿介「憧れられる選手になりたい」
兵庫県三田市出身のFB上ノ坊駿介(23)は、昨季のリーグワンで新人賞に輝き、7月には日本代表デビューを果たした。平尾さんの現役時代のプレーは動画で見たといい、その印象を「キレキレ」と表した。
平尾さんのように記憶に残り、「憧れられる選手になりたい」。そう話した上ノ坊は、平尾さんがよく口にした「おもろいラグビー」という言葉も使って、新シーズンの目標に2連覇を挙げた。報道によると、平尾さんや大畑大介に続く神戸のシンボルを目指すとも語った。神戸は2025-26シーズンのリーグワンで、6月7日の決勝を制して初優勝している。
日本代表は来秋にW杯を控える。上ノ坊は代表でのプレーで世界との差を感じたとして、それを見つめ直しながら挑戦を続ける考えを示した。
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命日の10月20日へ、神戸で続く追悼の催し
平尾さんの命日は10月20日。神戸では10月25日にも、「評伝 平尾誠二」の出版を記念して村上が登壇するイベント「平尾誠二を語る夜」が、神戸市中央区のメゾン・ド・エルミタージュで開かれる予定だ。早駒運輸(神戸市)の渡辺真二社長も登壇する。
SCIXは平尾さんが掲げたラグビー文化とクラブ文化を広げることを大会の目的に挙げており、すべての年代がスポーツに親しむ機会づくりと地域の活性化もうたう。平尾さんが「おもろい」と言い続けたラグビーを、神戸では小学生から80歳までがタグラグビーでつないでいく。
[文/構成 by スポーツライター TAKU]










































































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