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前田悠伍、開幕からの連勝12でストップ 楽天戦で5失点、今季初黒星で13勝目ならず

前田悠伍、開幕からの連勝12でストップ 楽天戦で5失点、今季初黒星で13勝目ならず

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

ソフトバンクの前田悠伍(21)が9月19日の楽天戦に先発し、4回3分の2を6安打5失点で降板した。開幕から続いた連勝は12で止まり、今季初めての黒星がついた。チームは今季最多の4失策で前田の背後を乱し、2-5で敗戦。13勝目が消え、12勝で並んでいたパ・リーグの最多勝争いでも先行を許した。

5回途中103球、無敗のまま走ってきた左腕が初めて崩れた

楽天モバイル 最強パーク宮城で行われた一戦で、前田は2回につかまる。村林一輝に先制の適時打を浴びると、3回にも同じ村林の犠飛で1点を失った。

流れが完全に傾いたのは5回だ。1死満塁から村林にこの日2本目となる適時打を許すと、2死後に繁永晟の遊ゴロを遊撃の庄子雄大が、太田光の二ゴロを二塁の牧原大成が続けて処理できなかった。2死からの連続失策で走者が2人生還し、前田はここでマウンドを降りた。

最終的な投球内容は4回3分の2、被安打6、奪三振5、与四球2、5失点。球数は103を数えた。ただし自責点は2にとどまる。失点5のうち3つは味方の失策が絡んだもので、記録上は前田の責任から外れている。

自責点2の裏側 チーム10年ぶりとなる1試合4失策

この日のソフトバンクは守備が崩れた。2回に庄子、3回に牧原大が失策を記録し、5回の連続失策でさらに2つ。1試合4失策は今季最多で、球団としては2016年8月11日のオリックス戦(京セラドーム大阪)以来、10年ぶりになる。

二遊間の2人がそれぞれ2失策。前田の投球そのものは、被安打6で奪三振5と大きく乱れた数字ではない。防御率1.99という今季の数字を大きく動かさずに済んだのも、自責点が2で止まったからだ。

打線は楽天先発・早川隆久の前に7回まで5安打2得点と抑え込まれた。4回に山本祐大の犠飛で1点を返し、7回には山川穂高が早川の初球を左翼席中段へ運び11号ソロ。

飛距離131メートル、打球速度181キロの一発だったが、反撃はそこまで。9回は藤平尚真に締められ、今季26セーブ目を献上した。

早川は7回5安打2失点で今季7勝目。楽天はこれで7月以来の4連勝となり、ソフトバンクの連勝は9で途切れた。

関連記事:周東佑京、左膝裏痛で出場選手登録を抹消 小久保監督「CSで100の方がいい」、CSへ向けて治療

最多勝争いはエスピノーザが13勝 12勝で並走していた前田が一歩後退

同じ9月19日、オリックスのエスピノーザが日本ハム戦で13勝目を挙げた。前田が黒星を喫した一方で、9月12日から12勝で並んでいたもう一人が先に抜け出した。タイトル争いの構図は一日で入れ替わった。

9月19日終了時点のパ・リーグ勝利数上位は次の通り。

順位投手球団勝利数
1エスピノーザオリックス13
2前田悠伍ソフトバンク12
3松本晴ソフトバンク11
3北山亘基日本ハム11
3加藤貴之日本ハム11
3大津亮介ソフトバンク11
3平良海馬西武11
3武内夏暉西武11

前田の今季成績は18試合に登板して12勝1敗、104投球回で86奪三振、防御率1.99(NPB公式の9月19日時点)。11勝で並ぶ6人のうち2人がチームメートで、ソフトバンク投手陣の層の厚さがそのまま数字に出ている。

勝率第1位のタイトルも、この敗戦で様相が変わった。13勝目を無敗のまま挙げていれば勝率10割での戴冠が見えていたが、1敗を喫したことでその可能性は消える。

「テンポが悪すぎた」 守備には触れず自分に矢を向けた

試合後、前田は守備の乱れを理由にしなかった。

「テンポが悪すぎたと思います。攻撃につながるリズムで投げることができなかった。次はチームが勝てる投球ができるようにしたい」

前田はそう振り返った。「今までがうまくいきすぎていた部分がある」とも話し、無敗で走り続けた半年を自分なりに整理してみせる。「(野手には)ずっといいプレーで助けてもらっているし、攻撃で点を取ってもらっている。僕が抑えなければ」。失策で崩れた展開を、自分の責任として引き取った。

小久保裕紀監督(54)は、失策を重ねた庄子について「(エラーを)2つもすると、その後がガチガチになる。絶対に今日は最後まで代えてやらんどこうと思った」と述べ、2年目の遊撃手を最後までフル出場させた。ミスをした選手をベンチに下げない。その判断が、クライマックスシリーズ(CS)を前にした指揮官の姿勢を表す。

「1回抹消します」 登録抹消を明言、最終登板は会議で決める

その小久保監督は試合後、前田の出場選手登録を抹消すると明言した。

「1回抹消します。フロントを含めて会議をして詰めなあかん」

小久保監督はそう説明している。ほぼ中6日の間隔で5週続けて先発マウンドに上がっており、疲労を考えた判断だ。プロ入り後初めて経験する連続ローテーションについて、指揮官は成長につながる過程だと評価した。

シーズン中にもう一度投げるかどうかは、イニング数の管理も含めてフロントを交えた会議で決める。CS前の調整登板が必要だという見方は示しており、今後の起用法は球団としての判断待ちになる。

大阪桐蔭からドラフト1位 高卒3年目の開幕12連勝は60年ぶりの領域

前田は2005年8月4日生まれ、滋賀県出身の左腕。大阪桐蔭高で世代屈指の投手として名前を売り、2023年10月のドラフト会議で3球団の競合の末にソフトバンクが交渉権を引き当てた。契約金1億円、年俸1000万円で入団している。

高卒3年目の今季、先発の柱として一気に開花した。開幕から白星を積み上げ、9月11日には自己最多の9奪三振を含む7回105球5安打1失点で12連勝に到達。開幕から12連勝以上は2020年に13連勝した巨人・菅野智之以来6年ぶりで、ソフトバンクでは2005年に15連勝した斉藤和巳以来21年ぶり5人目になる。

2リーグ制以降、高卒3年目以内で開幕12連勝以上を記録したのは、1965年の南海・林(3年目・12連勝)、1966年の巨人・堀内恒夫(新人・13連勝)に次いで前田が3人目だ。パ・リーグに限れば、林に並ぶ。60年前の記録と肩を並べる位置まで来ていた。

そして12で止まった。

優勝決定後の初戦でつまずいたチーム、視線はCSへ

ソフトバンクは9月17日、京セラドーム大阪でオリックスに7-1で勝ち、同日に2位・西武が日本ハムに敗れたため3年連続のパ・リーグ優勝を決めた。球団としてのリーグ3連覇は南海ホークス時代の1966年以来60年ぶり、1989年の福岡移転後では初になる。

この楽天戦は、優勝を決めてから最初の試合だった。守備が崩れ、エースに黒星がつき、連勝も9で止まる。祝勝ムードの翌戦としては引き締まらない内容だった。

もっとも、リーグ戦の結果が順位に響く状況ではない。焦点はすでにCSへ移っている。前田がレギュラーシーズン中にもう一度投げるのか、それともCS初戦に照準を合わせて調整に入るのか。答えは球団の会議で出る。

今季初黒星を喫した21歳は、タイトルよりも短期決戦を見る。開幕から半年、負けを知らずに来た左腕が、初めて負けから何を持ち帰るか。ポストシーズンで試される。

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[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]

寄稿者

高瀬翔吾
Webメディアでスポーツ、エンタメ、時事ニュースなど、累計数千本の記事制作に携わってきたスポーツ系ライター。野球分野では、プロ野球の試合結果や選手の記録をはじめ、MLB、高校野球、ドラフト、移籍、契約更改などの記事を継続的に担当。数字や公式記録を基に情報を整理する記事を得意としており、結果を伝えるだけでなく、その記録が持つ意味や、選手・球団を取り巻く背景までわかりやすく解説することを心がけている。主な執筆分野は、プロ野球、MLB、高校野球、侍ジャパン、ドラフト、移籍情報。

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