一岡竜司、広島の三軍投手育成コーチ兼アナリストに 「データに偏らない」指導を掲げる

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広島東洋カープは11月3日、球団アナリストの一岡竜司氏(35)が来季から3軍の投手育成コーチを兼任すると発表した。肩書は「三軍投手育成コーチ兼アナリスト」。2016年からのリーグ3連覇を中継ぎで支えた右腕が、引退から3年でユニホームに戻る。会見では「データに偏らない」と語り、数字だけに頼らない指導を掲げた。
11月3日に発表、来季から3軍の投手を指導
広島は11月3日、アナリストとして働いてきた一岡氏とコーチ契約を結ぶと発表した。同じ日には監督付広報の松本高明氏とのコーチ契約も発表され、2人はマツダスタジアムで就任会見に臨んだ。2027年シーズンから3軍の投手育成コーチを務め、アナリストの仕事も続ける。2023年限りで現役を退いてから、裏方としてチームを支えてきた3年間を経ての現場復帰となった。
コーチの話を受けたのは、秋季練習の期間中だった。会見での説明によると、打診は発表の1週間から10日ほど前で、練習の合間に伝えられたという。
再びユニホームを着てグラウンドに立つことについて、一岡氏は「身の引き締まる思い」と口にした。アナリストとして過ごすうちに、データを扱える現場のコーチになれたらと考えていたと明かし、就任を喜んだ。
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「データに偏らない」コーチ像の中身
会見では、データとの向き合い方についても多く語った。
一岡氏は「データに偏らない」と語り、データありきの人材にはならないという考えを示した。軸に置くのは、グラウンドに立つ選手にしか分からない「感覚や直感」。そこにデータを添えて活用するのが理想だという。
背景には、選手を取り巻く情報の多さがある。いろいろなデータや指標が次々に生まれる中で、選手が迷う場面もあると一岡氏は見る。必要な情報をどれだけシンプルに届けられるかも仕事の一つだとして、「選手の背中を押せるように頑張りたい」と意気込んだ。
伝え方でも意識してきたことがある。こちらから一方的にデータを示すのではなく、選手が求めたときに出せる引き出しを用意しておく。アナリストの3年間で常に意識してきたことで、コーチになっても続けたいと語った。
カープの投手陣については、12球団のデータを見てきた立場から「良い球質、良い球を持っている」と評価した。各投手が全球種を磨けば、より強い決め球になり、チーム全体の底上げにつながるとの見方を示す。優勝を争う試合で投げられる投手を1人でも多く育てたいとも話し、アナリストとしての学びを生かす考えを明かした。
大竹寛の人的補償から3連覇の中継ぎへ
一岡氏は1991年1月11日生まれ、福岡県出身。藤蔭高等学校から沖データコンピュータ教育学院を経て、2011年のドラフト3位で巨人に入団した。巨人での2年間は一軍で計13試合の登板にとどまる。それでも2年目の2013年は、二軍のイースタン・リーグで35試合に投げて15セーブ、防御率1.10を残した。抑えとしての力は、ファームで数字に表れていた。
転機は2013年オフだった。広島から巨人へFA移籍した大竹寛の人的補償で、広島へ移ることが決まる。FA選手が移籍すると、その選手の年俸が元の球団の日本人選手で上位10位以内なら、元の球団は獲得球団から金銭、または選手と金銭の補償を受けられる。広島が、巨人が保護した選手から外れた選手の中から選んだのが、当時22歳の一岡氏だった。
移籍1年目の2014年、一岡氏は31試合に登板して防御率0.58を記録した。この年はオールスターゲームにもファン投票の中継ぎ投手部門で初めて選ばれた。2015年は38試合で防御率4.14と数字を落としたものの、2016年は27試合で防御率1.82と立て直し、25年ぶりのリーグ優勝に加わる。勝ちパターンの一角を担い、2016年からのリーグ3連覇に貢献。2017年と2018年はともに59試合に登板した。
NPBの公式記録で、広島移籍後の主な年度の成績は次のとおりだ。
| 年度 | 登板 | 勝敗・セーブ | ホールド | 防御率 |
|---|---|---|---|---|
| 2014年 | 31 | 2勝0敗2セーブ | 16 | 0.58 |
| 2016年 | 27 | 1勝1敗0セーブ | 5 | 1.82 |
| 2017年 | 59 | 6勝2敗1セーブ | 19 | 1.85 |
| 2018年 | 59 | 5勝6敗2セーブ | 18 | 2.88 |
| 通算 | 290 | 17勝14敗7セーブ | 84 | 2.76 |
3連覇の真ん中にあたる2017年は、59試合で6勝を挙げ、防御率は1点台だった。セットアッパーとして最も多く投げた時期の数字だ。
その後は登板数が減っていく。2019年は33試合で防御率2.90と踏みとどまったが、2020年は19試合で防御率6.23。2021年は一軍登板がなく、2022年は10試合、2023年は1試合だった。2023年10月1日、マツダスタジアムでの阪神戦で引退試合を迎え、1試合に登板して現役生活を終えた。プロ12年間の通算成績は290試合、17勝14敗7セーブ84ホールド、防御率2.76だった。同じ日の引退会見では、専門学校からプロに入った当時は2、3年できればいいと思っていたと明かし、移籍を経て12年続けられたことを周りの人に恵まれた結果だと語った。試合前には妻と息子たちがグラウンドに登場し、息子2人が始球式を務めている。
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引退後はホークアイとラプソードの分析役
引退後の一岡氏は、2024年から球団のアナリストとしてデータ分析を担当してきた。アナリストへの転身は2023年11月に報じられ、一岡氏はこれからの時代はコーチの経験に加えて数字の上での説得力が必要で、その手助けをしたいと話していた。
扱うのは、プレーを解析して打球の速度や角度、方向、守備の位置などのデータも集める「ホークアイ」と、投球の回転数や回転軸を測る「ラプソード」のデータだ。得られた情報を戦術やプレーの改善に役立つ情報にまとめ、選手へ伝える役目を担った。
2023年12月の取材で、一岡氏は引退試合を開いてもらったことが球団に残る決め手になったと話していた。投手出身のため、野手のデータ分析はこれから学ぶ課題だとも語っている。
現役時代は中継ぎとして試合の流れを肌で感じ、引退後はその試合を数字の側から見続けた。両方の目を持つコーチが、来季は3軍の若い投手と向き合う。
3軍の若手投手に何をもたらすか
来季の一岡氏は、3軍で投手の育成を担いながら、アナリストの肩書も持ち続ける。会見でも、来年以降もアナリストという名前は付くと説明していた。
会見で語った方針を整理すると、軸は2つある。データを押しつけず、選手が求めたときに必要な分だけを渡すこと。そして、感覚や直感を土台にしたうえで数字を添えること。
中継ぎとして3連覇を経験し、分析の仕事も3年間務めた。その両方を知る指導者が、数字の多さに迷う若手のそばに立つ。
人的補償で広島に来た中継ぎ右腕は、3連覇の投手陣を支え、引退後は裏方としてデータを読み続けた。2027年シーズン、一岡氏は3軍のグラウンドで、その経験を若い投手に渡していく。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 高瀬翔吾]








































































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