ピッチクロック、NPB実行委員会が導入を全会一致で決定 導入時期・ルール詳細は未定

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
日本野球機構(NPB)と12球団による実行委員会が8月3日、投球間隔を制限する「ピッチクロック」の導入を全会一致で決めた。背景には、国際大会での経験や選手会からの要望がある。目的は試合時間短縮ではなく国際化の流れへの対応だと、NPBの中村勝彦事務局長は語る。導入時期や秒数などのルール詳細は未定で、今後の協議に委ねられる。
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8月3日の実行委員会、全12球団が承認
NPBと12球団による実行委員会が8月3日、東京都内で開かれ、投球間の時間を制限する「ピッチクロック」の導入を全会一致で承認した。NPBの中村勝彦事務局長は会見で「実現に向けて導入する方向で話し合いが進んだ。全会一致でやりましょうと」とコメントした。
一方で、導入時期は決まっていない。投球間隔の秒数、走者の有無による制限時間の違い、違反時の罰則といったルールの詳細もすべて今後の協議事項。米大リーグ(MLB)の基準にそろえるかどうかも含め、これから詰めていくことになる。
WBCでの苦戦と選手会要望が後押し
導入決定の背景には、今年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での経験がある。同大会では無走者時15秒、走者がいる場面は18秒以内に投球動作へ入らなければならないピッチクロックが採用され、日本代表の投手も対応を迫られた。メジャーリーグ経験のある菊池雄星、山本由伸、菅野智之を除く投手の多くは大会で初めてピッチクロックに直面し、制限時間の短さに苦しんだ。山本もプール戦で違反を取られている。日本代表は最終的に8強で敗退。この結果が、国内でピッチクロック論議が広がるきっかけとなった。
7月16日には都内でオーナー会議が開かれた。事前に12球団へ行った調査では、推進を歓迎する声とともに慎重な意見も一部にあったという。それでも議長を務める南場智子オーナー(横浜DeNAベイスターズ)は会見で「WBC大会の報告とも符合する部分もございますが、国際的な流れも考慮した上で、検討を進めるように指示をしております」と説明し、「今日のオーナー会議におきましては、それについてネガティブな意見は聞かれませんでした」と12球団に反対がなかったことを明かした。
これに先立ち、日本プロ野球選手会は7月28日の臨時大会で、来季からのピッチクロック導入を求める方針を全会一致で決議している。12球団の選手を対象にしたアンケートでも賛成が多数を占めた。選手会の近藤健介会長は「各球団にアンケートを取って賛成も多かったですし、ルールはこれからですが、選手会としては来年から入れていく方針が決まりました」と述べた。
中村事務局長「国際化の流れに合わせる」
導入の狙いについて、中村事務局長は「試合時間短縮ではなく、国際化の流れ、潮流に合わせていくこと」と強調した。単純な時短が目的ではなく、国際大会のルールに足並みをそろえる意味合いが大きいという。
近藤会長も歓迎の姿勢を見せた。「個人的にも選手の負担を減らす部分でも良いことかなと思ってます」と語り、投手と捕手が電子機器でサインを伝えるピッチコムや、微妙な判定に選手がチャレンジできるABSについても、来年からの導入を目指す考えを明らかにしている。選手会・オーナー側の双方から前向きな声がそろった。
MLBは15秒・18秒、WBCも同じ基準
比較対象となる米大リーグは2023年にピッチクロックを導入した。その最大の狙いは試合時間の短縮で、国際化を掲げるNPBとは出発点が異なる。投手がボールを受け取ってから無走者なら15秒、走者がいる場面では18秒以内に投球動作へ入らなければ、自動的に1ボールが加えられる。打者側にも制限があり、制限時間の8秒前までに打席へ入って準備を終えていなければ、自動的に1ストライクが追加される。導入当初、走者ありの制限は20秒だったが、その後18秒へ短縮された。この結果、MLBの平均試合時間は導入前の3時間超から2時間40分前後まで短縮。
今年のWBCで使われたのも、このMLBと同じ15秒・18秒の基準だった。日本だけでなく韓国プロ野球(KBO)もすでにピッチクロックを採用しており、NPBが参考にできる先行事例は国内外にそろっている。それでも、この基準をそのまま採用するかどうかは未定のままだ。
焦点は「来季開幕前」、詳細は今後
導入時期について中村事務局長は「準備もあるので現時点では限定できない」と話すにとどめた。それでも、シーズン途中での導入は考えにくいというのが一致した見方だ。地域や時期で段階を分けるのではなく「どこかで一斉に始めるのがいい」というのが中村事務局長の考えで、全球団が足並みをそろえて動き出す方向にある。来季開幕前の導入を視野に、タイマー機器の整備や球場ごとの運用担当者の確保といったハード面の準備が今後進む。
投球間隔の秒数はMLBに合わせるのか、日本独自の基準にするのか。細部の協議はこれからで、ピッチクロックと同時に浮上しているピッチコムやABSの扱いも含め、NPBと12球団、選手会による協議が今後本格化する。NPBからメジャーへ移る投手が相次ぐ中、国際基準に近づけておく意味は小さくない。ルールの詳細が固まり次第、あらためて発表される見通しだ。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]


































































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