矢吹正道、ちばてつやさん死去に追悼コメント 本名・佐藤正道とリングネームの由来

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ボクシングIBF世界フライ級王者の矢吹正道(34)=緑=が、漫画家・ちばてつやさんの訃報を受けて報道各社にコメントを寄せた。リングネームは『あしたのジョー』の主人公・矢吹丈から取ったもので、本名は佐藤正道。幼い頃にテレビで見た作品が人生を変える原動力になったと明かし、ちばさんに感謝を伝えた。
「情熱の灯火は熱く燃え続けます」と寄せた言葉
ちばてつやさんの死去が明らかになった10月27日以降、矢吹のコメントが相次いで報じられた。書き出しは、突然の訃報に驚き、深い悲しみでいっぱいだという言葉だった。
続けて語ったのは、自分と作品との出会いだ。幼い頃、テレビで『あしたのジョー』を見て育ったという。画面からあふれる迫力と闘争心が「幼かった私の心に深く突き刺さり」、それが「その後の人生を大きく変える原動力となりました」とつづっている。
コメントでは、大好きな矢吹丈の名前をリングネームに背負ってボクシングの世界に飛び込み、何度も自分を奮い立たせて世界の頂点にたどり着いたとも振り返った。ちばさんが漫画界だけでなく、ボクシング界やアスリートに与えた影響は計り知れないと記し、最後をこう結んだ。
「先生が遺された情熱の灯火は、これからも私の胸の中で、そして多くの人々の心の中で熱く燃え続けます」
ジョーの名前を背負って、世界王者まで上り詰めた男の言葉である。
ちばてつやさんは10月22日に87歳で死去
ちばてつや(本名・千葉徹弥)さんは10月22日午後、骨髄異形成症候群のため都内の病院で亡くなった。87歳だった。東京都出身。訃報は10月27日、公式サイトなどで公表された。
『あしたのジョー』は高森朝雄(梶原一騎)が原作、ちばさんが作画を担当したボクシング漫画だ。主人公・矢吹丈がボクサーとしてリングで戦い続ける物語はテレビアニメにもなり、世代を超えて読み継がれる。ちばさんは『おれは鉄兵』など数々のヒット作も残し、漫画家として初めて文化勲章を受けた。
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本名・佐藤正道、「矢吹」を名乗った理由
矢吹の本名は佐藤正道だ。2016年3月、薬師寺ボクシングジムからプロデビューする際に、リングネームを「矢吹正道」とした。
理由について本人は、本名の「佐藤」はありふれていて、ほかの選手に埋もれてしまうと考えたと説明している。目に留まる名前のほうが覚えてもらえるという計算もあった。そこへ、ずっと見てきた『あしたのジョー』の主人公の名字を重ねたのだった。
名前は兄弟でつながる。弟でWBA世界スーパーフェザー級4位の力石政法(32)=大橋=のリングネームは、矢吹丈のライバル・力石徹から取ったものだ。漫画では宿命の相手だった2人の名前を、実の兄弟が名乗って戦っている。
作品にちなむ名前を持つボクサーは、ほかにもいる。「浪速のジョー」と呼ばれた元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎も、作品のファンだった父の粂二さんが矢吹丈から一字を取って名付けた。辰吉もちばさんの訃報を受け、取材にショックを口にしている。
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鈴鹿市出身、日本人初の2階級同時制覇まで
矢吹は1992年7月9日、三重県鈴鹿市生まれ。三重県立四日市四郷高等学校時代にインターハイに出場し、プロ入り後に緑ボクシングジムへ移った。
名前が一気に知られたのは2021年9月22日だった。京都市体育館で、無敗のWBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗に世界初挑戦し、10回TKO勝ち。9度目の防衛を狙った寺地にプロ初黒星をつけ、初めて世界のベルトを巻いた。この一戦は2021年度の年間最高試合にも選ばれている。
だが、王者の座は長く続かない。2022年3月19日、同じ京都市体育館で行われた寺地との再戦に敗れ、王座を失った。そこから再び世界の舞台へ這い上がるまでに、2年半あまりを要した。
2024年10月にIBF世界ライトフライ級王座を手にすると、2025年3月29日には愛知県国際展示場でIBF世界フライ級王者アンヘル・アヤラ(メキシコ)に12回TKO勝ちし、日本人初の世界2階級同時制覇を成し遂げた。ライトフライ級の王座はその後返上し、フライ級で防衛を重ねている。リングネームを名乗ってから約9年、矢吹丈の名前は2つの階級の世界王者の名前になった。
| 日付 | 試合 | 結果 |
|---|---|---|
| 2025年3月29日 | IBF世界フライ級タイトルマッチ | 矢吹が12回TKO勝ちで王座を奪取 |
| 2025年12月27日 | 初防衛戦 | 矢吹が12回KO勝ち |
| 2026年6月6日 | 2度目の防衛戦 | 矢吹が3-0の判定勝ち |
2025年12月の初防衛戦では、47戦目にして初めてダウンを喫したアルバラード(ニカラグア)から11回、12回にダウンを奪って試合を終わらせた。一方、2026年6月のカリスト(メキシコ)戦では初回に2度のダウンを奪いながら倒しきれず、連続KO勝利は6で止まった。試合後は勝っても笑顔を見せず、自らの内容を「最悪」と厳しく評した。プロ戦績は24戦20勝(18KO)4敗となる。
次戦は11月26日、ファハルドとの3度目の防衛戦
次のリングは11月26日、東京・EBARA WAVEアリーナおおた(大田区総合体育館)。IBF世界フライ級1位のミエル・ファハルド(26)=フィリピン=を迎え、3度目の防衛戦に臨む。大橋ジム主催の「NTTドコモ presents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ」のメインイベントで、WBA世界ミニマム級王者・石井武志=大橋=の初防衛戦も組まれている。同じ興行には弟の力石も出場し、60キロ契約8回戦でメルチョール・ロダ(フィリピン)と戦う。兄弟が同じ興行に出るのは2017年以来、9年ぶりだ。
興行は動画配信サービス「Lemino」の有料プラン「Leminoプレミアム」で独占生配信され、配信開始は11月26日午後3時30分の予定となっている。これは興行全体の配信開始時刻で、矢吹の試合が何時に始まるかは発表されていない。
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9月29日に横浜市で開かれた発表会見で、矢吹はこれほどの舞台で戦えることへの感謝を口にし、勝って次のステップに進める試合にしたいと意気込んだ。同じ興行に出る弟には、まず自分の試合に勝ち、メインに出る兄を支えてほしいと注文をつけている。力石も、自分の試合を早く終わらせて勝ち、きれいな顔で兄のサポートに回りたいと応じた。見据える先は他団体の王者との統一戦、さらにスーパーフライ級に上げての世界3階級制覇だ。
ちばさんが描いた矢吹丈は、真っ白に燃え尽きるまでリングに立ち続けた。その名を借りてリングに上がる34歳は、追悼の言葉に込めた「情熱の灯火」を胸に、ちばさんを失って最初の世界戦を迎える。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 久遠(KUON)]












































































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