新井貴浩監督、オーナー報告で「来季は“普通の自分”に戻りたい」 4位・借金17の今季と5年目へ向けた秋季キャンプ

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広島の新井貴浩監督(49)が10月9日、松田元オーナー(75)に約1時間のシーズン終了報告を行い、就任5年目となる来季の続投が正式に決まった。今季は61勝78敗4分けの4位で、借金は17。新井監督は「普通の自分に戻りたい」と語り、10月15日からの秋季練習と11月の秋季キャンプは体づくりを軸に据える。
約1時間の報告で正式に決まった5年目
広島東洋カープの新井貴浩監督は10月9日、広島市南区のマツダスタジアム内にある球団事務所を訪れ、松田元オーナーに今季の戦いを報告した。話し合いは約1時間に及び、来季も指揮を執ることがこの場で正式に決まる。2023年から指揮を執る新井監督にとって、来季は5年目のシーズンだ。
報告を終えた新井監督によると、オーナーには「来年しっかり頑張ります」と伝え、「大変だと思うけど頑張ってくれ」と励まされたという。来季の戦力についても話し合い、外国人選手やドラフトなど補強の話題が並んだ。ポジションの希望も伝えたといい、「すごく真摯に聞いていただきました」と明かしている。具体的な選手名や補強ポイントは口にしなかった。
グラウンド外の問題については「そこは事前に話はしています」と説明した。この日はチームをどう立て直し、どう生まれ変わるかという前向きな話だけをしたという。
同じ10月9日、球団は同じ球団事務所でスカウト会議を開いたが、ドラフト会議で1位指名する選手は公表しなかった。この時期に1位を明かしてきた過去4年とは違う判断で、最終的な決定はドラフト直前まで持ち越す。
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「笑いたくても笑えない」1年を終えて
報告後の取材で、新井監督が繰り返し口にしたのは「笑う」という言葉だった。「ファンの方にはたくさん笑ってほしいし、自分も笑いたい。笑いたくても笑えない状況だったので、普通の自分に戻りたい」。
もともと喜怒哀楽が顔に出るタイプを自認する。その指揮官が今季は感情を抑え、険しい表情のまま戦い続けた。報告後の取材では「ずっと、キャンプインの2月1日から自分の感情を抑えながら殺しながらやってきたので、来年はすべてを開放したい」とも打ち明けている。
背景には、1月に起きた所属選手の逮捕があった。1月27日、当時の所属選手が通称「ゾンビたばこ」と呼ばれる指定薬物エトミデートを使用した疑いで逮捕され、球団は起訴を受けて2月24日に契約を解除する。新井監督は当時、「監督として非常に責任を感じております」と謝罪した。騒動はその後も続き、10月1日には球団が当時の所属選手4人と来季の契約を結ばないと発表した。鈴木清明球団本部長は、4選手が指定薬物を使用した事実は確認できていないとしたうえで、「信頼関係を築くことが難しい」と判断の理由を説明している。4選手はいずれも現役続行を希望している。新井監督は逮捕以降、ファンの心情を考えて笑顔を封印してきた。
松田オーナーは続投を決めるにあたり、就任1、2年目のようなはつらつとした姿を見ている人にも分かるように見せてほしいと求めていた。この日はオーナーから直接「おまえは笑顔が似合うぞ」と声をかけられたという。
ファンへの思いも語った。「プロ野球は応援していただいてるファンのみなさんがいるおかげである。(最終戦の)挨拶でも言わせていただきましたけども、来シーズンは今シーズンの分までファンの方に喜んでもらいたい」。10月3日の本拠地最終戦後のセレモニーで、新井監督はグラウンド内外での心配と迷惑をファンに謝罪し、来季は「生まれ変わります」と宣言していた。
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4位・借金17の今季、4年間の成績
2026年の広島は143試合で61勝78敗4分け、勝率.439の4位に終わった。9月21日に3年連続のBクラスが決まり、10月4日の神宮でのヤクルト戦に7-4で勝って4位が確定している。首位阪神とは17ゲーム差。本拠地では34勝36敗1分けとほぼ五分だったが、敵地では27勝42敗3分けと大きく負け越した。
就任からの4年間を並べると、浮き沈みがはっきり見える。
| 年 | 就任 | 試合 | 勝利 | 敗北 | 引分 | 勝率 | 順位 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 1年目 | 143 | 74 | 65 | 4 | .532 | 2位 |
| 2024年 | 2年目 | 143 | 68 | 70 | 5 | .493 | 4位 |
| 2025年 | 3年目 | 143 | 59 | 79 | 5 | .428 | 5位 |
| 2026年 | 4年目 | 143 | 61 | 78 | 4 | .439 | 4位 |
1年目の2023年は2位に入り、球団に5年ぶりのAクラスをもたらした。だが2年目は4位、3年目は5位と順位を下げ、4年目の今季は勝ち星を前年から2つ増やしたものの、Bクラスから抜け出せなかった。
それでも、新井監督は若手の伸びに手応えを口にする。「今年はピッチャーも野手も若い選手が少しずつ力をつけてくれているなと実感していますので、またさらにそこを伸ばしていけるように秋季練習、秋季キャンプとやっていきたい」。今季は若手を積極的に起用し、世代交代を進めた1年でもあった。
実戦を減らし「エンジンを大きく」する秋
来季への準備は10月15日の秋季練習から始まり、11月の秋季キャンプへと続く。この秋、新井監督は例年と練習の中身を大きく変える。
「いままでは秋季練習、秋季キャンプと実戦をかなり多く取り入れたんですけど、今年はフィジカル面の強化を目的としてメニューを組んでいる」。メニューはトレーニングコーチに考えてもらい、厳しい内容にするよう自ら頼んだという。狙いを問われると「エンジンを大きくしないといけないと感じているので」と答え、体の強さや筋肉の量を高める考えを示した。
例年のような実戦は組み込まない。レギュラーが固まっている選手がほとんどいないチーム事情もあり、まずは一人一人の土台を鍛え直す。細かい技術を磨く前に馬力を上げ、スイングの速さや投げる球の出力を高めていく。
「実績を残す選手は年々、体が大きくなる。負荷をかけてしっかり追い込むので、体はしんどくなると思う」と新井監督は話す。この土台づくりは、新井監督自身が現役時代に積み重ねてきたものでもあった。
ドラフト6位から本塁打王、阪神退団と古巣復帰
新井監督は広島工高から駒澤大を経て、1998年のドラフト6位で広島に入団した。プロ4年目の2002年にレギュラーをつかみ、2005年には43本塁打で本塁打王を手にし、チームの4番に座る。
2008年からはFAで阪神に移り、2011年に打点王となった。だが出場機会が減った2014年のオフに阪神を退団し、2015年に古巣の広島へ戻る。翌2016年4月26日にはプロ野球史上47人目の通算2000安打を記録し、25年ぶりのリーグ優勝に貢献して同年のセ・リーグMVPに選ばれた。
その歩みは、2023年3月に扶桑社新書から出た著書『撓まず 屈せず 挫折を力に変える方程式』にまとめられており、監督就任にあたって書き下ろしたあとがきも収められている。
現役時代に土台づくりを重ねてきた選手が、監督として同じことをチームに求める。「感情が出てしまうタイプ」と自らを語る49歳は、来季は喜びも悔しさも隠さずにベンチに立つつもりだ。
続投を託された5年目、まずは秋の土台づくりから
新井監督はシーズン中、けじめをつけるために球団へ辞意を伝えていたが、そのたびに慰留され、最終的には松田オーナーの説得で翻意している。続投は9月22日の時点で、松田オーナーが「来年もやってもらう。チームを一つにまとめて、一丸となれるのは新井だけ。ほかに思いつかなかった」と明言していた。10月9日のオーナー報告で、その方針が正式に固まった。
新井監督は「もう来シーズンに向けて始まっていますので、しっかりやっていきたい」と語る。ドラフト会議での指名と外国人選手の補強、そして秋の体づくり。来季の陣容を左右する作業が、この秋に重なって進む。
「来シーズンは本当にたくさん喜んでもらいたい。もうそれしかないです」。3年続いたBクラスから抜け出し、笑顔でベンチに立てるかどうか。答えが出るのは、5年目の来季だ。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]









































































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