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伯乃富士、埼玉・秩父市の巡業を離脱 巡業部長の高田川親方「アキレス腱に違和感があると聞いた」

伯乃富士、埼玉・秩父市の巡業を離脱 巡業部長の高田川親方「アキレス腱に違和感があると聞いた」

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大相撲の小結・伯乃富士(23)=伊勢ヶ濱=が10月9日、埼玉県秩父市で行われた秋巡業から離脱した。巡業部長の高田川親方(元関脇・安芸乃島)は「アキレス腱に違和感があると聞いた」と説明し、治療を優先させるため帰したと明かした。前日8日の狭山市の巡業には参加したが、取組からは外れていた。

秩父場所で離脱、巡業部長が明かした理由

秋巡業は10月6日の茨城県つくば市から始まり、7日に神奈川県海老名市、8日に埼玉県狭山市と続いた。9日の会場は秩父市文化体育センター。この日の巡業に、伯乃富士の姿はなかった。

理由を説明したのは、巡業の責任者を務める高田川親方だった。親方は「アキレス腱に違和感があると聞いた。中途半端に出るより帰って治した方が早いと伝えた」と明かした。報道によって書き起こしには違いがあり、「アキレス腱に違和感があるということで、中途半端より治してから出てきてくれ、ということで帰しました」という説明も伝えられている。無理に巡業を続けさせず、本場所に向けて体を戻すことを優先した判断だ。

伯乃富士は8日の狭山市の巡業には参加していたものの、その日の取組の割(対戦の組み合わせ)には入っていなかった。翌9日に離脱が明らかになり、巡業部長が理由を説明する流れとなった。

左右どちらのアキレス腱なのか、医療機関でどのような診断を受けたのかは、10月10日時点で公表されていない。日本相撲協会の公式サイトや部屋からの発表もなく、分かっているのは巡業部長が伝えた「違和感」という言葉と、治療のために巡業を離れたという事実だけだ。

関連記事:炎鵬、秋巡業初の申し合いで藤ノ川に下手投げ 高田川親方の指導に「投げの極意を教わった。すごく学びがありました」

初場所から続いた左足のけが

伯乃富士にとって、2026年は足のけがと向き合い続けた1年だった。

始まりは1月の初場所。四股名を伯桜鵬から伯乃富士へ改めて臨んだこの場所で、西前頭3枚目の伯乃富士は8日目に横綱・大の里を破り、昭和以降3人目となる4場所連続の金星を手にした。だが、11日目の大関・安青錦戦の後には、左足を引きずる姿を見せる。12日目まで5勝7敗とし、13日目から休場。日本相撲協会に提出した診断書には「左母趾MTP側副靱帯損傷」とあり、約4週間の安静加療が必要な見込みと記されていた。母趾MTP関節は、足の親指の付け根にある関節のことだ。

3月の春場所も状態は戻らなかった。初日の欧勝馬戦に敗れて患部を悪化させ、2日目から休場。このときは足の甲付近の「左リスフラン関節靱帯損傷」の診断書を提出した。3月14日の7日目から再出場して阿武剋を押し出しで破り、初白星を挙げる。最終的には5勝6敗4休で場所を終えた。

春場所の千秋楽翌日には痛めていた左足親指の手術を受けており、夏場所千秋楽の5月24日に「人工靱帯とボルトが2本入ってます」と明かしている。春巡業は休場し、4月は治療に専念した。相撲を取る稽古を再開したのは5月に入ってから。5月7日に東京・墨田区の高砂部屋へ出稽古に出向いた際には、関取衆との申し合いで14番を取り、左足の状態について「ぼちぼちだが、だいぶ動けていると思う」と語っていた。

このときの報道では、初場所で負ったけがは「左母趾MTP関節外側靱帯損傷」と伝えられた。1月から春にかけて痛めた箇所は、いずれも左足だった。

5月に敢闘賞、9月に鳥取出身62年ぶりの新三役

けがの不安を抱えながらも、夏場所からは結果を出した。西前頭10枚目で迎えた5月場所は11勝4敗と大きく勝ち越し、敢闘賞を受けた。伯乃富士に改名してから初めての勝ち越しだった。7月の名古屋場所でも西前頭3枚目で9勝6敗と白星を先行させる。

その成績が評価され、8月31日に発表された秋場所の番付で東小結に昇進した。鳥取県出身力士の新三役は、1964年初場所の琴桜(のちの第53代横綱)以来62年ぶりで、戦後2人目。伯乃富士は鳥取県倉吉市の出身で、琴桜とは同じ小学校の後輩にあたる。番付発表の会見では「すごく光栄。琴桜関は地元が同じ。小学校の大先輩で憧れている」と喜びを口にした。師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱・照ノ富士)も「勢いではなく実力をつけてあがった」とたたえている。

ところが、初の三役で臨んだ秋場所は厳しい15日間になった。11日目の9月23日、ベテランの高安に上手投げで敗れて3勝8敗となり、負け越しが決まる。取組後は「自分の実力。力不足。悔しい気持ちしかない」と言葉を絞り出した。

千秋楽の9月27日は狼雅を寄り切って5勝目を挙げ、5勝10敗で場所を終えた。場所を振り返り「三役に上がったことを意識して、気持ちが浮ついていた。悔しい気持ちを稽古にぶつけて、来場所でやり返したい」と巻き返しを誓っている。この日、倉吉市の打吹回廊では千秋楽恒例のパブリックビューイングが開かれ、地元の後援会員やファンが声援を送った。9月30日には倉吉市に帰省し、地元後援会の激励会に出席している。

秋場所の負け越しで、九州場所では小結から平幕に下がることが確実な状況だ。

2年連続の高校横綱から新三役まで

伯乃富士は本名を落合哲也という。2003年8月22日生まれで、鳥取城北高校時代に2年連続で高校横綱のタイトルを手にした。卒業後は実業団横綱となり、元横綱・白鵬の宮城野親方が率いていた宮城野部屋へ入門。2023年初場所で幕下15枚目格付出として初土俵を踏み、いきなり7戦全勝で幕下優勝を飾ると、所要1場所で十両に昇進した。1場所での新十両は昭和以降初めてで、新入幕は同年7月場所だった。

その後、宮城野部屋の力士は2024年4月に伊勢ヶ濱部屋へ移った。四股名は2023年7月場所から伯桜鵬を名乗り、2026年初場所から伯乃富士に改めている。日本相撲協会の公式プロフィールでは、身長181センチ、体重162キロ。得意技は突き・押し、左四つ、寄りとなっている。

金星は通算5個。2025年9月場所では殊勲賞も受けている。横綱を倒す力を持ちながら、けがで番付を上げきれない時期が続いた。

九州場所まで1か月、豊昇龍は松本から合流

秋巡業は10月10日の長野県松本市から富山、石川、岐阜、滋賀、京都、大阪、兵庫、岡山、広島と移動し、25日の山口県宇部市で打ち上げる。伯乃富士が残りの日程で巡業に戻るのかどうかは、明らかにされていない。

九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎える。秩父での離脱から約1か月。高田川親方の言葉どおり、まずは治療で足の状態を戻すことが先になる。九州場所への出場の可否は、10月10日時点で発表されていない。

一方、巡業部長は同じ9日、横綱・豊昇龍(27)=立浪=が10日の松本市の巡業から合流することも明らかにした。豊昇龍は7月末に右膝を手術し、秋場所は初日から休場。3場所連続の休場となっていた。高田川親方は「きょうの夜に入って明日から合流します」と語っている。

横綱の合流が決まった日に、新三役の場所を終えたばかりの23歳が巡業を離れた。秋場所で口にした「来場所でやり返したい」という言葉を九州で形にできるかは、足の回復にかかる。

関連記事:平戸海、秋巡業で幕内最多の17番 九州場所へ「九州では10番勝ちたい」

[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

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