ベネチア国際映画祭が閉幕、金獅子賞は『Woman Unknown』 是枝裕和『ルックバック』は独立賞4つと特別表彰

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第83回ベネチア国際映画祭の授賞式が現地時間9月12日夜(日本時間13日未明)、イタリア・ベネチアのリド島で開かれ、最高賞の金獅子賞はデンマークのメイ・エル=トーキー監督『Woman Unknown』に決まった。主演のマティルド・アーセルも女優賞にあたるヴォルピ杯を受け、同作は2冠。日本からコンペティション部門に出品した是枝裕和監督『ルックバック』と塚本晋也監督『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、映画祭本体の賞には届かなかった。
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金獅子賞は終戦直後のデンマークを描く『Woman Unknown』
一方で、映画祭とは別の団体が選ぶ独立賞では日本映画が相次いで名前を連ねた。『ルックバック』は4つの独立賞と1つの特別表彰を受け、塚本作品は高校生が審査する「金の小獅子賞」に選ばれた。三池崇史監督のドキュメンタリー『襲名』も独立賞の最優秀作品賞を手にしている。
『Woman Unknown』(原題:Kvinde Ukendt)は、デンマーク、スウェーデン、ラトビアの合作だ。舞台はナチス・ドイツの占領から解放された1945年夏のデンマーク。子守りと家政婦として働くマリー(マティルド・アーセル)は、年上で裕福な雇い主の男性との結婚を目前にしていた。だが、解放を喜ぶ街の裏側では、ドイツ兵と親しくしていた女性たちが探し出され、人前でさらし者にされていく。ドイツ兵との過去を隠して生きるマリーにも、その影が迫る。
監督のメイ・エル=トーキーはエジプトにもルーツを持つデンマーク人で、前作『罪と女王』(2019年)はサンダンス映画祭のワールドシネマ・ドラマ部門で観客賞を受けた。授賞式の壇上では、この映画は女性の体が戦場になることを描いた作品で、声を持たず目を向けられてこなかった女性たちの物語だと語り、審査員長のマギー・ギレンホールにも感謝を伝えた。
コンペティション部門の主要賞と審査員
コンペティション部門の審査員長は、俳優で監督のマギー・ギレンホールが務めた。審査員はカウテール・ベン・ハニア、ダニエル・ブルンバーグ、フランチェスコ・カゼッティ、グザヴィエ・ジャノリ、シャフルバヌ・サダト、ジョニー・トーの6人で、21作品を審査した。主要賞の結果は次のとおりだ。
| 賞名 | 作品名 | 受賞者 |
|---|---|---|
| 金獅子賞(最高賞) | Woman Unknown | メイ・エル=トーキー監督 |
| 銀獅子賞(審査員大賞) | もしもの愛 | イ・チャンドン監督 |
| 銀獅子賞(監督賞) | DAU | イリヤ・フルジャノスキー監督 |
| ヴォルピ杯(女優賞) | Woman Unknown | マティルド・アーセル |
| ヴォルピ杯(男優賞) | Wild Horse Nine(マーティン・マクドナー監督) | ジョン・マルコビッチ |
| 脚本賞 | A Good Little Soldier | ステファン・ブリゼ、コラリー・アメデオ、オリヴィエ・ゴルス |
| 審査員特別賞 | NAZA | ユバル・アブラハーム監督、ラヘル・ショール監督 |
| マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞) | 15/18 (A Place to Heal)(セドリック・カーン監督) | マルー・ケビジ |
韓国のイ・チャンドン監督『もしもの愛』は、国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞のコンペ部門最優秀作品にも選ばれた。ガザの民間人被害を扱ったドキュメンタリー『NAZA』は審査員特別賞を受けている。
『ルックバック』は独立賞4つと特別表彰
独立賞(Collateral Awards)は、映画祭の期間中に上映された作品を対象に、批評家団体や文化団体、大学などが映画祭とは別に独自の基準で選ぶ賞だ。主催するベネチア・ビエンナーレの公式サイトによると、『ルックバック』が名前を連ねたのは次の5つになる。
| 賞名 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|
| シネマ&アーツ賞 | 文化団体カランブール | 最優秀作品賞(『襲名』と同時受賞) |
| チネマサラ賞 | ミラノの映画文化財団 | 受賞(18歳の若者が審査) |
| シグニス賞 | 世界カトリックコミュニケーション協会 | 受賞 |
| ユニメッド賞 | 地中海大学連合 | 受賞 |
| ファンハート3賞 | 文化団体ファンハート3 | 特別表彰 |
このうち最初の4つは現地時間11日に授与され、ファンハート3賞の特別表彰も加わった。ユニメッド賞は加盟大学の学生が国際審査員を務め、コンペ21作品の中から満場一致で『ルックバック』を選んだという。是枝本人のコメントや多くの報道では「5つの独立賞」とまとめているが、公式サイトの一覧では4つが受賞、1つが特別表彰となる。
藤本タツキの同名漫画を是枝が実写化した本作は、漫画を描くことに打ち込む藤野(出口夏希、幼少期は七瀬ふうり)と京本(蒔田彩珠、幼少期は岡田六花)の13年間を追う。9月7日の公式上映では、上映後に12分を超える拍手が続いた。日本では9月11日に公開している。
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是枝は受賞に寄せたコメントで、独立賞を5ついただくのは「これまでに経験のない事態」だとし、10代の審査員が選んだ賞が2つ含まれていたことを喜んだ。ベネチアは、1995年の劇場映画デビュー作『幻の光』が出品された場所でもある。「ベネチア国際映画祭というデビュー作の地で、もう一度出発点に立ち返った気持ちです」とつづり、観客との出会いを大切にしながら次へ向かう考えを示した。
塚本晋也は日本映画初の金の小獅子賞、三池崇史『襲名』も
名前は似ているが、金の小獅子賞(レオンチーノ・ドーロ賞)は最高賞の金獅子賞とは別の独立賞だ。イタリア全土から選ばれた18歳の高校生20人が審査員となり、コンペ作品から1本を選ぶ。過去にはパク・チャヌク監督『親切なクムジャさん』やウェス・アンダーソン監督『ダージリン急行』が受け、日本映画が選ばれるのは初めてになった。
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、18歳で米海兵隊に志願してベトナム戦争の最前線に立ち、帰国後にPTSDに苦しみながら戦場の実態を語り続けた元米兵アレン・ネルソンの実話をもとにする。授賞式は11日に行われ、高校生の審査員と対面した塚本は、授賞式後の取材で「未来を担っていく人たちが、この映画を選んでくれたというのは、大きな希望を感じました」と明かした。
塚本とベネチアの縁は長い。1997年にはコンペ部門の審査員を務め、この年の金獅子賞は北野武監督『HANA-BI』だった。
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アウト・オブ・コンペティション部門に出品された三池崇史監督の『襲名』は、11日にシネマ&アーツ賞の最優秀作品賞を受けた。映画と音楽、演劇など異なる芸術表現の結びつきを評価する賞で、日本映画の最優秀作品賞は初めて。『ルックバック』との同時受賞で、日本の2作品が同じ賞を分け合った。
三池にとって初のドキュメンタリーとなる本作は、十一代目市川海老蔵が十三代目市川團十郎白猿を、長男の勸玄が八代目市川新之助を襲名するまでを記録している。受賞を受けて三池は「快挙。團十郎の快挙です」とコメントを寄せ、古典歌舞伎の美しさと襲名の厳しさを世界へ伝えられた喜びをつづった。日本公開は9月25日だ。
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このほか、オリゾンティ部門では沖縄を舞台にしたザビエル・テラ監督の『太陽(てぃだ)ぬ色』が、国際映画批評家連盟賞の同部門最優秀作品に選ばれている。
日本映画の金獅子賞は1997年の『HANA-BI』が最後
ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受けた日本映画は3本ある。1951年の黒澤明監督『羅生門』、1958年の稲垣浩監督『無法松の一生』、そして1997年の北野武監督『HANA-BI』だ。
2作品がコンペに並んだ2026年は、29年ぶりの金獅子賞に期待がかかった。結果は届かなかったものの、高校生や大学生といった若い審査員から支持が集まる。是枝と塚本がそろって口にしたのも、その点への喜びだった。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]





































































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