上原佑紀調教師、菊花賞でGI初勝利 開業4年目・36歳、ゴーイントゥスカイの血統

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
10月25日に京都競馬場で行われた第87回菊花賞(GI・芝3000m)は、武豊騎乗の3番人気ゴーイントゥスカイが2着バステールをハナ差で退けて優勝した。管理する美浦の上原佑紀調教師(36)は、2023年春の開業から4年目、JRA・GI15回目の挑戦で初勝利。平成生まれの調教師がJRAのGIを勝ったのは初めてとなった。
3番人気ゴーイントゥスカイがハナ差で最後の一冠
レースは18頭立て、馬場は良。キンググローリーが大きく逃げ、1000m通過58秒4という長距離戦としては速い流れになった。その逃げ馬は残り200m付近で後続にのみ込まれ、15着に終わっている。
ゴーイントゥスカイは中団の内でじっと脚をためた。直線で馬群の間にできた進路を突くと、外から追い込んだ8番人気のバステール(川田将雅騎乗)と並んでゴール。写真判定の末にハナ差で先着し、勝ちタイムは3分4秒5。上がり3ハロンはバステールの34秒9に対してゴーイントゥスカイが35秒4で、馬群の間から先に抜け出した分のリードを最後まで守り切った。さらに1馬身差の3着には2番人気のダノンヒストリー(C.ルメール騎乗)が入った。4着に14番人気のサノノグレーター、5着に12番人気のシートゥサミットが続き、3連単は11万3300円と荒れた。単勝は1200円だった。
皐月賞と日本ダービーを制し、三冠がかかっていたロブチェン(松山弘平騎乗)は単勝1.8倍の1番人気に推されたが、スタートで後手を踏んだ。後方から2周目の向こう正面で位置を押し上げ、4コーナーでは先行集団の後ろまで取り付いたものの、直線で伸びを欠いて14着に沈んだ。上がり3ハロンは36秒7だった。
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武豊は菊花賞6勝目で、単独の最多勝利記録を更新した。1988年のスーパークリークから数えて38年。その後もダンスインザダーク(1996年)、エアシャカール(2000年)、ディープインパクト(2005年)、ワールドプレミア(2019年)で勝っており、7年ぶりの菊制覇となった。57歳7カ月でのGI勝利は、JRA・GIの最年長勝利記録の更新と報じられている。
平成生まれ初、グレード制以降で菊花賞の最年少優勝トレーナー
上原佑紀調教師は1990年1月29日生まれ。36歳8カ月27日での菊花賞制覇は、グレード制が導入された1984年以降で最年少となる。従来の記録は1987年にサクラスターオーで勝った平井雄二調教師の40歳3カ月9日で、グレード制導入後に30代の調教師が菊花賞を勝つのも初めてだった。グレード制より前を含めた歴代最年少は、1942年に29歳4カ月15日で勝った岩井健吉調教師だ。
ちなみに武豊が初めてGIを勝ったのが、スーパークリークの1988年菊花賞だ。上原師はまだ生まれていない。2人の年齢差は21歳で、同じレースで武豊の最初のGIと最新のGIがつながった。
勝利直後、上原師は「まだ実感が湧かず、ふわふわとした気分です」と話した。
獣医師からノーザンファームを経て開業
父は、GI5勝のダイワメジャーを育てた美浦の上原博之調教師だ。上原師は幼い頃から血統本に親しみ、早くから馬術を始めた。日本大学では馬術部で活躍している。
大学卒業後は美浦トレーニングセンターで獣医師として勤務。その後、父と同じ調教師の道を志してノーザンファーム空港牧場へ移り、堀宣行厩舎での調教助手を経て調教師試験に合格した。2023年3月に初出走を迎え、同月18日の中山でファイアーボーラーが初勝利を挙げている。
勝ち星は開業初年の2023年が16勝、2024年が26勝、2025年が27勝と、年を追うごとに伸びる。国内外の研修で得た経験を生かし、新しい取り組みも積極的に取り入れてきた。開業当初は年上のスタッフと考えが合わないこともあり、馬主でもあるサイバーエージェントの藤田晋会長の著書で経営を学び、スタッフと話し合いを重ねたという。「趣味は競馬です」と言い切るほどの競馬好きで、休日もレース映像を見返している。
2026年はゴーイントゥスカイで青葉賞(GII)を勝ち、日本ダービーには4頭を送り出した。そのうちの1頭ライヒスアドラーは皐月賞で3着に入っており、3歳世代に厚い布陣を敷いていた。ゴーイントゥスカイは武豊とのコンビで上がり最速の脚を使い、勝ち馬から0秒1差の4着。秋初戦のセントライト記念は6着に敗れたが、本番で巻き返した。
「自在に競馬ができる馬」に込めた調教
上原師はレース前、武豊に「自在に競馬ができる馬をつくってきました」と伝えていた。馬術で培った考え方を調教に取り入れており、レース後には「コースでもそれ以外でも、馬術的な要素を入れてやってきた。折り合いは完璧で、それで最後はいい脚を使ってくれた」と語っている。
3000mの長丁場では、騎手の指示に素直に従い、道中で力まずに走れるかどうかが勝敗を分ける。武豊も道中は動かず直線に懸ける作戦だったと明かし、追い出してからの反応の良さを勝因に挙げた。ロブチェンの三冠を阻んだことについては、冗談まじりに「申し訳ない」と口にした。
父コントレイル、祖父ディープインパクトに続く菊制覇
ゴーイントゥスカイは2023年3月12日生まれの牡馬で、父コントレイル、母ゴーイントゥザウィンドウ、母の父はTapit(タピット)。北海道新ひだか町の千代田牧場が生産し、馬主はフィールドレーシングだ。
父コントレイルは2020年に無敗で三冠を達成し、その父ディープインパクトも2005年に武豊とのコンビで無敗の三冠馬になった。父子3代での菊花賞制覇となり、コントレイルにとっては産駒初のGI勝利でもある。2005年にディープインパクトの背で菊を勝った武豊が、その孫でも同じレースを制した。
母の父Tapitは米国で多くのGI馬を出した種牡馬で、母ゴーイントゥザウィンドウは2010年生まれ。ゴーイントゥスカイは2025年10月の東京の新馬戦でデビュー勝ちを収め、菊花賞が青葉賞に続く重賞2勝目で、初のGIタイトルとなった。
生産した千代田牧場の飯田貴大社長は、「本当に信じられません。感無量です」と喜びを口にした。
開業4年目の若い調教師と、菊花賞を知り尽くしたベテラン騎手。2人で手にしたGIの次に、陣営がどこを選ぶのか。ゴーイントゥスカイの次走は発表されていない。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 疾風(HAYATE)]








































































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