西小野皓大、アジア大会200m背泳ぎで金メダル 23歳・新東工業所属、鹿児島情報高出身

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
愛知・名古屋アジア大会の競泳男子200メートル背泳ぎ決勝が9月25日、東京アクアティクスセンターであり、西小野皓大(23)=新東工業愛知=が1分56秒42で金メダルを手にした。150メートルのターンでは3位だったが、最後の50メートルで中国の徐嘉余らを抜き去った。この種目での日本勢の優勝は、2014年仁川大会の入江陵介以来3大会ぶりとなった。
150mまで3位、最後の50mで逆転
決勝は9月25日の夕方にあった。午前の予選を全体5位の2分00秒64で通過した西小野は、決勝で150メートルのターンを3位で折り返す。先頭に立っていたのは、この種目で2大会連続の金メダルを持つ徐嘉余(中国)だった。
勝負を分けたのは最後の50メートル。西小野はターン後の潜水で進む「バサロキック」を得意としており、そこから一気に差を詰めると、壁にタッチした時点で先頭に立っていた。2位の李周浩(韓国)とは0秒16差、3位の徐嘉余とは0秒31差という接戦だった。
「周りを一切見ずに自分の泳ぎにだけ集中して、それが結果につながった」
レース後、西小野はそう語っている。
| 順位 | 選手 | 国・地域 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1位(金) | 西小野皓大 | 日本 | 1分56秒42 |
| 2位(銀) | 李周浩 | 韓国 | 1分56秒58 |
| 3位(銅) | 徐嘉余 | 中国 | 1分56秒73 |
| 4位 | 宋伯睿 | 中国 | 1分56秒89 |
| 5位 | 竹原秀一 | 日本 | 1分57秒08 |
日本からはもう1人、2024年パリ五輪代表の竹原秀一(東洋大)が決勝に進んでいた。竹原は予選を全体1位の1分58秒15で通過したが、決勝は1分57秒08で5位。前回の杭州大会で銅メダルだったこの種目で、2大会続けての表彰台はならなかった。
100mは4位、5日後に立て直した
西小野にとって、金メダルまでの道のりは平たんではなかった。
大会序盤の9月20日、男子100メートル背泳ぎ決勝に出場し、54秒03で4位。3位の李周浩とは0秒09差で、表彰台に届かなかった。この種目は徐嘉余が51秒98の大会新記録で制し、竹原が53秒93で銀メダルを取っている。
「諦めたら社会人として、水泳をやる身として、やってはいけないこと」
気持ちを切り替えて臨んだのが、5日後の200メートルだった。今春に中京大学スポーツ科学部を卒業し、新東工業に入社。練習拠点は大学のまま置き、アスリート社員として競技に打ち込める環境で、社会人1年目のシーズンを戦っている。
優勝後には「絶対勝ちたいと思っていたので、優勝できてうれしい。タイムは決して良いとは言えないが、勝つレースはできた」とも話した。
小学5年で県学童新、2025年に初の世界水泳
西小野は鹿児島市出身。鹿児島情報高校を経て中京大学へ進んだ。
小学5年生のとき、200メートル背泳ぎで当時の記録を6秒近く縮める鹿児島県の学童新記録を出している。当時のコーチが挙げた強さの理由は「水泳オタク」。時間があれば水泳の情報を調べ、ライバルのタイムや泳ぎを研究してきた。同じ鹿児島出身で背泳ぎの先輩にあたる宮下純一から、大会で会うたびに声をかけられたことも支えになったという。
中京大学在学中の2025年3月の日本選手権で、男子200メートル背泳ぎ2位に入り、初めて世界選手権の代表に選ばれた。同年7月から8月にかけてシンガポールで開かれた世界水泳では、準決勝で自己ベストの1分56秒04を出したが、全体11位で決勝には届かなかった。
「この世界の舞台で自分の成長を感じられてとても良かったです。悔しさもありますが、またこれからも同級生の竹原(秀一)選手と一緒に頑張っていきたいと思います」
レース後にこう話した西小野。名前を挙げた竹原は、日本の男子背泳ぎを引っ張ってきた存在だ。2026年3月の日本選手権でも、竹原が1分55秒57で男子200メートル背泳ぎ4連覇を果たし、西小野は1分57秒04で2位だった。国内では追う立場の選手が、アジアの舞台で順位を入れ替えた。
入江陵介の3連覇から12年、日本勢が取り戻した金
アジア大会の男子200メートル背泳ぎは、長く日本と中国が金メダルを争ってきた種目になる。
入江陵介は2006年ドーハ大会、2010年広州大会、2014年仁川大会と3連覇を果たした。仁川では徐嘉余が2位に入っており、入江が出した1分53秒26は今も大会記録として残る。
流れが変わったのは2018年のジャカルタ大会だった。徐嘉余が優勝し、入江は2位。2023年に開かれた杭州大会でも徐嘉余が1分55秒37で連覇し、李周浩が2位、竹原が3位と続いた。
2026年の愛知・名古屋大会では、31歳になった徐嘉余が100メートル背泳ぎを大会新記録で制した一方、200メートルでは3位に終わり、この種目の3連覇はならなかった。2位の李周浩はアジア大会でメダルを重ねながら、まだ金メダルに届いていない。その2人を抑え、この種目で日本に12年ぶりの金をもたらしたのが西小野だった。
優勝タイムの1分56秒42は、入江の大会記録に3秒16届かず、西小野自身が2025年の世界水泳で出した1分56秒04にも0秒38及ばない。本人もその点をはっきり認めていた。
見据えるのは2028年ロサンゼルス五輪
「正直、このタイムではアメリカだったりヨーロッパの選手と戦っても戦えないですし、来年以降、日本選手権を突破する上でも、このタイムでは到底戦えない」
金メダルの直後、西小野は自分の記録に厳しい評価を下した。順位には満足してよいとしながらも、記録面ではまだ足りないところが多いと話し、「2年後に向けて一切慢心せず頑張っていきたいと思います」と2028年のロサンゼルス五輪へ視線を移している。
国内の代表争いは厳しい。男子200メートル背泳ぎは竹原が日本選手権を4連覇中で、2026年3月にはアジア大会とパンパシフィック選手権の派遣標準記録の1分55秒64を上回った。五輪の舞台に立つには、まず国内の選考会で上位に入り、派遣標準記録を上回るタイムが求められる。
日本の競泳陣は、この大会で金7、銀15、銅15の計37個のメダルを取り、前回杭州大会の30個を上回った。競泳最終日の9月25日に西小野が取った金は、そのうちの1個にあたる。
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大会では競泳以外でも若い日本選手の金メダルが続いている。
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小学生のころの夢は「オリンピックにも出場すること」。鹿児島から愛知へ拠点を移し、世界の舞台も経験した西小野は、アジアの頂点に立った9月25日を、2年後に向けた出発点に置いている。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]










































































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