有馬伽久、ソフトバンクが2位指名 奈良県田原本町出身、田原本中から愛工大名電・立命大へ

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2026年10月22日のプロ野球ドラフト会議で、立命館大学の左腕・有馬伽久(ありま・がく)がソフトバンクから2位で指名された。奈良県田原本町の出身で、愛工大名電では主将とエースを兼ねて2022年夏の甲子園8強。立命大では昨秋の明治神宮大会で10者連続奪三振の大会新記録をつくった。名前が呼ばれた瞬間、仲間の祝福に涙をこぼした。
ソフトバンク2位、最速151キロの左腕
有馬伽久(22)=立命館大=の名前が読み上げられたのは、10月22日のドラフト会議の2巡目だった。ソフトバンクは1位で青山学院大の鈴木泰成を抽選の末に引き当てており、続く2位で大学球界を代表する左腕を選んだ。
指名を待っていた有馬は、チームメートから「伽久おめでとー!」と声をかけられると、こらえきれずに涙を流した。安堵の表情で口にしたのは「本当にほっとした気持ちが大きいです」という言葉だった。4年間の積み重ねが、ひとつの答えにたどり着いた。
最速151キロの直球に、130キロ台中盤のスライダーとツーシームを組み合わせる。身長175センチと投手としては大柄ではないものの、空振りを奪う変化球を本人は強みに挙げる。左投げ左打ちで、2004年7月29日生まれだ。
そのスライダーを、本人は「バッターがストレートだと思って振りにきて、そこから曲がるっていう軌道。」と説明する。小学生のころから、どうすれば野球がうまくなるかを常に考えて練習してきたという。
立命館大からは同じ日、捕手の西野啓也も広島から2位で指名された。ともに産業社会学部の4回生で、同じ大学の投手と捕手がそろって2位で名前を呼ばれた。大学は公式サイトで2人の指名を伝えている。
奈良県田原本町から愛知の名門へ
野球を始めたのは小学1年生のときだった。地元・奈良県田原本町の少年野球チームに入り、中学は田原本町立田原本中学校の軟式野球部でプレーを続けた。
高校は奈良を離れ、愛知県の愛知工業大学名電高等学校(愛工大名電)へ進む。イチローや工藤公康らを送り出し、プロ野球選手を数多く生んできた学校だ。
意外にも、入学当初の有馬はマウンドの中心にいなかった。2年生までは外野手として「5番・ライト」を任されることが多く、2年秋に背番号1を着けると、冬を越えてから投手として頭角を現していく。
甲子園には2年夏と3年夏の2度出場した。主将とエースを兼ねた3年夏の2022年は、チームを8強まで導いている。準々決勝で敗れた相手は、この大会で東北勢として初めて深紅の大優勝旗を手にした仙台育英だった。
大学は京都の立命館大学を選んだ。決め手は、目標にしていたDeNAの左腕・東克樹の母校だったこと。愛工大名電から立命大へ進む道のりは、あこがれの先輩とそのまま重なる。セレクションを経て硬式野球部に加わった。
| 時期 | 学校・チーム | 主な出来事 |
|---|---|---|
| 小学1年 | 地元・奈良県田原本町の少年野球チーム | 野球を始める |
| 中学時代 | 田原本町立田原本中学校 | 軟式野球部に所属 |
| 高校2年 | 愛知工業大学名電高等学校 | 2年夏に甲子園出場、2年秋から背番号1 |
| 2022年夏(高校3年) | 愛知工業大学名電高等学校 | 主将・エースとして甲子園8強 |
| 2023年春 | 立命館大学 | 1回生の春からベンチ入り |
| 2025年春 | 立命館大学 | 関西学生野球連盟春季リーグ戦で最優秀投手賞 |
| 2025年 | 侍ジャパン大学代表 | 第45回日米大学野球選手権大会の代表に選出 |
| 2025年11月 | 立命館大学 | 明治神宮大会で10者連続奪三振の大会新記録、準優勝 |
| 2026年10月22日 | 立命館大学 | ソフトバンクから2位指名 |
神宮で53年ぶりに記録を塗り替える
立命大では1回生の春からベンチ入りし、2回生秋の関西大学戦で初勝利を挙げた。大きく伸びたのは3回生の2025年だ。関西学生野球連盟の春季リーグ戦で最優秀投手賞を受け、同じ年には第45回日米大学野球選手権大会に臨む侍ジャパン大学代表にも名を連ねた。
名前を全国に広めたのは、同年11月の第56回明治神宮野球大会だった。初戦の1回戦、6回から2番手でマウンドに上がると、打者10人を続けて三振に仕留める。1972年に関西大学の山口高志が記録した8者連続を、53年ぶりに更新する大学の部の大会新記録となった。勢いに乗った立命大は、創部以来初めての準優勝までたどり着いた。
支えになったのは、先輩の言葉だった。
関西地区代表決定戦の1回戦の後、立命大OBで元メジャーリーガーの長谷川滋利から、深呼吸をすることや、自分の調子が最も良かったときの映像を思い浮かべることなど、気持ちの整え方について助言を受けたという。神宮での快投は、その後のことだった。
神宮大会の後、昨年12月に公開された大学の特集記事で、有馬は「ドラフト一位指名を受けられるような選手として、来季も活躍を見せていきたいです」と語っていた。結果は2位。指名直後には「どの順位でも受け入れる覚悟はできていたけど指名が来ないかもと不安な部分もあった」と、待っていた間の胸の内を明かしている。
対戦したい打者は「柳田選手」
指名を受けた後の取材では、言葉が前を向いた。新天地となるソフトバンクについて「圧倒的な戦力とチーム力で本当に強いチームだと思う」と印象を口にし、「そのチームからこういう高い評価を受けて素直にうれしい。ローテに1日でも早く入れるよう戦力となるよう頑張りたい」と力を込めた。
自らの強みを問われると、「鋭い変化球で空振りを奪うのは強みだと思います」と答えた。対戦してみたい打者には柳田悠岐の名前を挙げ、「対戦したい打者は同じチームになってしまうのですが柳田選手です。シートバッティングで対戦したいです」と話した。
大学が出したコメントでは、「2位で指名していただき、本当にほっとしています」と喜びを伝えた。そのうえで「プロでは長く活躍できる選手を目指し、まずは一軍の戦力となれるよう努力していきます」と、プロでの目標を記している。
送り出す側の期待も大きい。立命大の片山正之監督は大学を通じて「有馬選手には先発ローテーション入りを期待しています」とコメントした。課題にも触れ、「有馬選手は空振りを奪える球威と変化球が武器ですが、さらなる成長にはストレートの精度向上が必要です」と、伸びしろを具体的に示した。
24人指名のソフトバンクで先発争いへ
ソフトバンクは支配下で9人、育成で15人を指名し、合計24人は12球団で最も多かった。支配下9人のうち7人が投手で、1位の鈴木泰成、2位の有馬、3位の渡辺和大(慶応大)と、上位3人を大学生投手で固めている。
指名選手の多くが投手という顔ぶれの中で、有馬は先発ローテーション入りを目標に掲げる。本人が口にした「長く活躍できる選手」への道のりは、ここから福岡で始まる。
奈良県田原本町で白球を握った少年は、愛知の名門と京都の大学で力を磨き、プロの入り口に立った。地元の少年野球チーム、田原本中学校、愛工大名電、立命大。歩んできたそれぞれの場所が、新しいプロ野球選手の誕生を待っている。
今年のドラフト候補の顔ぶれは、週刊ベースボールの増刊「2026ドラフト候補選手名鑑」にもまとめられている。
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[文/構成 by スポーツライター TAKU]
















































































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