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堤麗斗、サウジ・リヤドへ出発 対戦相手ロハスを「ラフでダーティーなところもある」と評する

堤麗斗、サウジ・リヤドへ出発 対戦相手ロハスを「ラフでダーティーなところもある」と評する

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

WBA世界フェザー級10位の堤麗斗(24)=志成=が10月23日、プロ6戦目のため成田空港からサウジアラビアへ出発した。10月31日(日本時間11月1日)にリヤドで、メキシコのライムンド・ロハス・ガルシア(29)と129ポンド(約58.5キロ)契約の10回戦を戦う。出発前の取材では、相手を「ラフでダーティーなところもある」と分析し、情勢の悪化で揺れた心境も明かした。

成田からドーハ経由、ブライダ着の便で陸路リヤドへ

堤が乗ったのは、成田空港発のカタール航空機だった。経由地のカタール・ドーハで所属ジムの佐々木修平会長らと合流し、サウジアラビアに入る予定だ。

ふだんと違うのは、その先の道のりだった。サウジアラビアは隣国イエメンの武装組織フーシ派から攻撃を受けており、首都リヤドのキング・ハーリド国際空港は10月10日と11日に相次いで攻撃され、10人以上が死亡した。このため堤は、リヤドから約350キロ離れたアル・カーシム州ブライダに着く便で入国し、そこから陸路でリヤドに向かう。

外務省は10月22日、リヤド州を含むサウジアラビアの8州について、危険情報をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げた。フーシ派の攻撃が続いていることを受けた判断だ。それでも10月31日の興行は、現時点で予定どおり開かれる。

同じ志成ジムに所属する兄の堤駿斗は、今回は同行しない。12月に試合をする可能性があり、現地の状況も踏まえて日本で練習に専念するという。

「今までとちょっと違うやりにくさ」 メキシコの29歳を分析

相手のロハス・ガルシアはメキシコの選手で、戦績は16勝(11KO)2敗。勝ち星の7割近くをKOで挙げている。英語の表記は「Raymundo Rojas Garcia」で、国内の報道では「レイムンド」とも書かれる。

堤は出発前、この相手を「今までとちょっと違うやりにくさがある相手。ラフでダーティーなところもある」と評した。そのうえで「いい経験になると思います」と続けている。これまで戦ってきた選手とはタイプが違い、荒っぽい試合運びにも対応する必要がある、という見立てだ。

一方で、自分の状態には手応えがある。前戦のあとすぐにスパーリングを再開し、前回よりも調整がうまく進んでいると感じているという。

「試合がすごく楽しみ。かなり調子的には自信があるので、これをそのまま試合にぶつけたい」。

狙いは早い決着ではない。早く倒そうとは考えず、10ラウンドをうまく使って自分のボクシングの持ち味を出し、どこかで倒せればいい。堤はそう話す。10回戦は7月のジッダに続いて2度目で、長いラウンドを組み立てる力も試される。

情勢悪化に揺れた心、それでも「前向きに」

出発までの日々は、落ち着いたものではなかった。

「試合が中止になるかもしれない、など色々な情報が出回ったりして、『どうなるか』と思い多少メンタルに波はあった」。堤は成田空港で、ここ数週間の心の動きを隠さずに語った。到着する空港が変わったことには少し安心したとも話している。

それでも、受け止め方は前向きだ。「これも一つの経験だと思う。乗り越えたらまた一つ成長できる糧になると思って、前向きに考えています」。最後は「やるべきことに集中する」と短く言い切った。

サウジアラビアでの試合は、これで3戦連続になる。2025年12月にリヤドで4回TKO勝ち、2026年7月にはジッダで2回TKO勝ちを収めた。デビューから5戦全勝(4KO)。そのすべてを米国とサウジアラビアのリングで重ねてきた。

2025年12月のリヤドは、井上尚弥がアラン・ピカソを迎えた興行のアンダーカードだった。同じ日には兄の駿斗も世界戦に出る予定だったが、練習中のけがで出場できなくなり、弟は勝利を兄にささげている。そのピカソも、今回の「メキシコvs世界」に名を連ねる。リヤドは堤にとって、縁のある街になった。

井岡一翔から託された「バトン」

出発の前日には、ジムの節目の場で背中を押された。

10月22日、同じジムの井岡一翔(37)が、志成ジムの5周年記念祝賀会の前に報道陣の取材に応じ、現役続行と大みそかの再起戦を発表した。その井岡が、祝賀会の場で遠征を控えた後輩に声をかけている。

「大丈夫だと思うけど、自分を信じて自分のことに集中して。良いバトンを俺にくれ」。

10月31日の堤から、12月31日の井岡へ。ジムの先輩が大みそかのリングに立つ前に、まず堤が中東で結果を持ち帰る順番になる。

世界戦4試合の大舞台、日本時間11月1日にDAZNが配信

堤が出る興行は「メキシコvs世界」と名付けられた全10試合のイベントで、会場はリヤドのザ・ヴェニュー。メインイベントでは、WBC世界スーパーミドル級王者クリスチャン・エンビリ(31)=フランス=に、サウル・カネロ・アルバレス(36)=メキシコ=が挑む。主催者が世界戦として発表した試合は4つあり、メキシコの選手とメキシコ以外の選手が顔を合わせる組み合わせでそろえている。

関連記事:堤麗斗、次戦はライムンド・ロハス・ガルシアと対戦 日本時間11月1日リヤドでプロ6戦目、メインはカネロvsエンビリ

日本ではDAZNがこの興行を配信する。日本時間では11月1日の開催になるが、日本向けの配信開始時刻と、堤の試合の開始時刻や試合順は、10月24日時点で確認できていない。

世界挑戦への考えも、出発前に口にした。「ランキング的にまだ(世界王座に)絡むのは難しいと思っているが、どの団体の世界チャンピオンにも勝てるレベルまで自分自身を持っていかないといけない。いつでも世界挑戦できるように、良い経験を積んでいきたい」。

千葉・習志野市立習志野高校で高校5冠に輝き、東洋大1年だった2021年には世界ユース選手権で金メダルを獲得した。アマチュアで9冠を手にし、プロではまだ負けを知らない。兄の駿斗もWBA世界スーパーフェザー級3位につける。カネロの復帰戦に世界中の視線が集まる夜、24歳は自分の10ラウンドを組み立てにいく。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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