橋本大輝に内村航平「僕は勝つ自信はありません」 世界体操で史上2人目の個人総合4連覇

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体操の世界選手権で男子個人総合4連覇を果たした橋本大輝(25)=日本生命・セントラルスポーツ=に、6連覇の記録を持つ内村航平(37)が最大級の賛辞を贈った。日本テレビ系の中継で解説を務めた内村は「僕が仮に全盛期だとしても」と前置きし、「僕は勝つ自信はありません」と言い切った。個人総合の4連覇は内村以来、史上2人目となった。
内村航平が中継で語った「勝つ自信はありません」
男子個人総合決勝は現地10月22日(日本時間23日)、オランダ・ロッテルダムで行われた。橋本は6種目合計85.998点で優勝し、団体総合との2冠を手にした。
演技を見届けた内村は、橋本の勝ち方を高く評価した。まず「勝って当たり前の中で勝つというのが一番難しいと思う」と切り出し、失うものがない選手の方が思い切ってできるのだと、追われる側の重さに触れている。
続けて「ミスなく6種目をやり切って、演技内容も申し分なかったです」と称え、「誰も文句なし、異論なし。理想の勝ち方です」と言葉を重ねた。周囲から期待される重圧の中で、橋本だけが自分の世界に入り込み、自分の演技を貫いたとも分析している。
そして、視聴者に向けてこう語った。
「日本のみなさんに言いたいんですけど、僕が仮に全盛期だとしても、橋本選手が今のレベルで戦ったとしても、僕は勝つ自信はありません。」
「そのくらい今の橋本選手は強いんですよ」。2009年から2015年まで世界選手権の個人総合で6大会連続の頂点に立った”キング”からの、異例の脱帽宣言だった。
内村は「できればね、現役に戻って同じチームでやりたいんですよ」とも口にしている。2022年に現役を退いた37歳が、後輩の演技にそれほど心を動かされた。
前半3位から平行棒で首位、鉄棒で締めた6種目
決勝は予選の得点を持ち越さない一発勝負。予選2位で通過した橋本は、第1種目の床運動を13.666点で終えた。
ここから順位を上げていく。あん馬で14.500点、つり輪で13.900点を重ね、前半3種目を3位で折り返した。後半最初の跳馬では14.466点。大技「ヨネクラ」は跳ばず、「ロペス」を選んで確実に得点を取り、2位まで浮上した。
流れを決めたのは第5種目の平行棒だった。全体1位の14.700点を出して首位に立つと、最終種目の鉄棒でも全体1位の14.766点をマークする。国際体操連盟(FIG)は公式Xで、この鉄棒の得点が橋本の今大会最高点で、鉄棒全体でも最高点だったと紹介した。
| 種目 | 得点 |
|---|---|
| 床運動 | 13.666 |
| あん馬 | 14.500 |
| つり輪 | 13.900 |
| 跳馬 | 14.466 |
| 平行棒 | 14.700 |
| 鉄棒 | 14.766 |
| 合計 | 85.998 |
2位の楊皓楠(中国)とは1.799点差。3位にはジョー・フレーザー(英国)が入った。中国のエース張博恒は、開幕直前に欠場が明らかになり、今大会に出ていない。
一方、予選1位だったパリ五輪3冠の岡慎之助(22)=徳洲会=は、跳馬の着地で転倒し、鉄棒でも落下があって82.165点の8位。メダルには届かなかった。
4連覇の内訳と、本人が語った勝因
橋本が世界選手権の個人総合を初めて制したのは2022年のリバプール大会だ。日本勢としては、内村が6連覇を果たした2015年以来7年ぶりの優勝だった。2023年のアントワープ大会、2025年のジャカルタ大会と続き、五輪イヤーで世界選手権の個人総合がなかった2024年をはさんで、4大会連続の金メダルとなった。
勝負どころについて、橋本は第1種目の床の最初の技を挙げた。ライン内に収まったことで自信を得て、調子の良さを確かめられたという。平行棒で着地を止めたことが流れを引き寄せたとも振り返っている。
橋本は4連覇の要因を問われ「それを2時間半、忠実にできたことが4連覇を達成できた一番の要因だと思う」と話した。予選、団体総合、個人総合を通じて、この日が一番緊張しなかったとも明かしている。
日本テレビ系「ZIP!」では、現地から中継した北脇太基アナウンサーが、橋本の4連覇が決まる前からオランダの観客が立ち上がって拍手を送っていたと伝えた。番組内では、内村が橋本の強さを「探究心」だと語ったことも紹介されている。
内村の足跡と重なる記録、16年前もロッテルダムだった
橋本の記録は、内村の歩みと重なる部分が多い。今年4月19日の全日本選手権(高崎アリーナ)では、橋本が個人総合で6連覇を達成した。全日本の6連覇は、10連覇の内村に次ぐ史上2人目。最後の鉄棒で岡を逆転し、0.216点差で振り切っての優勝だった。
舞台となったロッテルダムも、内村と縁のある街だ。2010年の世界選手権はこの地のロッテルダム・アホイで開かれ、内村は日本人で初めて世界選手権の個人総合を連覇した。それから16年、同じ街で橋本が内村以来の4連覇を決めた。
大会前、橋本は「調子はいい。団体も個人も1位を譲る気はない」と話していた。張博恒の欠場には「少し驚いた」としながらも、「自分の世界一の演技を見せることにフォーカスしていく」と語り、その言葉どおりの結果を出した。
金メダルを掲げた投稿と、SNSに広がった祝福
橋本は日本時間23日、自身のInstagramを更新した。金メダルを掲げた写真とともに「世界選手権で個人総合を優勝しました この大舞台で自分の演技を最後まで魅せることができました」とつづり、応援への感謝を伝えている。
コメント欄には「またまた感動で震えた」「さすが最強の橋本」といった言葉が寄せられた。海外の実況も鉄棒の演技に興奮し、「そして勝ち、勝ち、勝ち続けるのです!」と叫んでいた。
種目別はあん馬と平行棒、視線はロス五輪へ
橋本の世界選手権はまだ終わらない。所属先のセントラルスポーツによると、種目別決勝は現地24日にあん馬、現地25日に平行棒へ出場する予定だ。同じく所属の土井陵輔も現地24日のゆかに出場する。
日本男子は団体総合でも連覇を果たし、2028年ロサンゼルス五輪の出場権を手にしている。橋本はInstagramで「ロサンゼルスオリンピックに向かって今後もさらに自分の演技に磨きをかけていきます!」と記した。
東京五輪で個人総合と鉄棒の2冠に輝き、パリ五輪の個人総合は6位だった。4年に一度の舞台で再び頂点を狙う橋本にとって、ロサンゼルスまでの道のりは、キングに「勝つ自信はありません」と言わせた4連覇から始まる。
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[文/構成 by スポーツライター 南條楓]
















































































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