ZiplineとUberが戦略的提携 Uber Eatsでのドローン配送を米国で年内に開始

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配送ドローンを手がける米ジップライン(Zipline)と配車・配達大手Uberが8月17日、長期的な提携を発表した。Uber Eatsでのドローン配送を米国内で年内に始め、2029年末までに1日100万件の配送を目指す。Uberはジップラインへの出資も行うが、金額は明らかにしていない。
米国で年内始動、まずダラスとヒューストンから
今回の提携は、単発の業務提携ではなく資本関係を伴う長期契約だった。Uberはジップラインに戦略的投資を行い、Uber Eatsのアプリ上でドローン配送という新しい選択肢を提供する。配送は、ジップラインが既に運航実績を持つダラスやヒューストンなど米国内の拠点から始まる。年内の開始を予定し、その後は数十都市へ広げる計画だ。
両社が共有する目標は、2029年末までに1日100万件のドローン配送。現在のジップラインの配送規模と比べても大幅な拡大だが、投資額をはじめとする提携の財務条件は両社とも公表していない。Uber側は声明で「ジップラインへの戦略的投資」とだけ説明している。
ルワンダの医療配送から始まった機体、米国の食卓へ
ジップラインは2016年、アフリカ・ルワンダで世界初となる全国規模の医療用ドローン配送を始めた企業だ。血液やワクチン、緊急医薬品を僻地の医療機関へ届ける事業で、一時は首都以外への輸血用血液の65%をドローンが担うようになった。2019年にはガーナ政府とも複数年契約を結び、アフリカ複数国で医療物流網を広げている。
その後、事業の軸足を米国にも広げる。2021年、アーカンソー州ピアリッジのウォルマート店舗近くで体温計や紙おむつ、市販薬といった日用品の配送を始めたのを皮切りに、対象を広げていった。2025年にはテキサス州ダラス・フォートワース都市圏でも運航を始め、ウォルマートやチポトレなど小売・飲食チェーン向けの一般消費者配送を担うようになる。2026年3月には8億ドルのシリーズH資金調達を完了し、企業価値は76億ドルと評価された。
Uber側にとっても、ドローン配送への挑戦は初めてではない。2019年、サンディエゴでUber Eatsの注文をドローンで届ける実験をマクドナルドなどと組んで始めていた。ただし、この取り組みを担った「Uber Elevate」部門は2020年12月にJoby Aviationへ売却され、空飛ぶタクシー事業からは距離を置いた。ドローン配送への関心が再燃したのは2025年9月、イスラエル企業Flytrexとの提携がきっかけだった。ジップラインとの今回の提携は、その流れを本格化させる一手だ。
5〜10分配送とCEOが語った未来
Uber Eatsでの配送は、注文から5〜10分での到着を目指す。ジップラインは現在、4大陸でドローンを運航しており、270万件以上の配送と2000万点を超える品目の輸送実績を持つ。自動運航の飛行距離は累計1億3500万マイルを超え、ネットワーク全体では約20秒に1件のペースで配送している計算だ。医療分野での取引先は5000カ所以上の病院や診療所に上る。
発表に際し、UberのCEOダラ・コスロシャヒ氏は「ジップラインは素晴らしい技術を築き上げた。Uberは日々何百万もの人々と地元の店舗をつないでいる」と述べ、両社の連携がより速く持続可能な配送を作ると説明した。一方、ジップラインの共同創業者兼CEOケラー・リナウド・クリフトン氏は「テレポーテーションはもはやSFの話ではない。日常生活の一部になりつつある」と語り、大きな輸送革命はいつも人々の暮らし方や経済の姿を変えてきたと付け加えた。
株価は小幅高、争奪戦強まるドローン配送
発表を受け、Uberの株価は時間外取引で一時2%を超えて上昇した。通常取引が始まると上げ幅は縮み、終値では1%に満たない上昇にとどまったものの、市場は新たな成長領域への参入を好感した。
ドローン配送を巡っては、Uber・ジップライン連合の前から複数の陣営が競り合ってきた。Amazonは「Prime Air」を展開し、2026年8月時点でフェニックスやダラス・フォートワース、タンパ、ヒューストン、カンザスシティ、オマハ(パピリオン)など全米11の都市圏で運航している。対象は5ポンド以下の荷物で、配送拠点から半径7.5マイル圏内が目安。料金は都市によって異なり、多くの地域ではプライム会員が4.99ドル・非会員が9.99ドルだが、最新のオマハ(パピリオン)ではプライム会員2.99ドル・非会員4.99ドルと設定されている。
DoorDashはAlphabet傘下のWingと2022年から手を組み、2026年4月にはジョージア州アトランタ都市圏へもサービスを広げた。ダラス・フォートワースやシャーロットなど複数地域を合わせ、これまでに数万件を配送してきた実績がある。ウォルマートも独自にドローン配送網を広げてきた一社だ。2021年にDroneUpへ出資して配送を始め、2026年に入ってからはWingとの提携拡大で対象店舗を150店増やす計画を示した。同社は5月、ドローン配送の累計件数が100万件を超えたと発表している。このウォルマート向け配送の一部を担うのも、実はジップラインだった。Uberが手を組んだ相手は、小売大手の物流網で実績を積んできた企業でもある。
数十都市への拡大と、日本はまだ実験段階
コスロシャヒCEOはかねて、素早い配送事業を食品分野以上に大きな市場と位置づけてきた。今回の提携は、Uber Eatsの事業領域を食事以外にも広げる一手になる。日用品や医薬品もドローンで運べるジップラインのネットワークは、Uber Eatsが扱う商材の幅を広げる余地を持つ。
日本ではどうか。ANAホールディングスとセブン-イレブン・ジャパンが離島や住宅地への配送を想定した実証実験を重ねてきた。楽天も2019年、西友と組んで神奈川県横須賀市でバーベキュー食品をドローンで届ける実験を行った実績を持つ。ただし、いずれも米国のような商用規模の日常サービスには至っていないのが実情だ。空域規制の厳しさや人口密集地での安全確保の難しさが、実用化を慎重にさせている。
Uber Eatsは出前館とともに、日本の出前市場でシェアの9割前後を占めるとされる存在だ。
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米国でのドローン配送競争は、まだ始まったばかりだ。ダラスやヒューストンの空を飛ぶジップラインの機体が、2029年の100万件目標にどこまで近づけるか。その滑り出しが、まず最初の関門となる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]



































































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