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「漫画でも嘘臭いと怒られる」――井上尚弥vs中谷潤人、5月2日の美しくも残酷な頂上決戦

「漫画でも嘘臭いと怒られる」――井上尚弥vs中谷潤人、5月2日の美しくも残酷な頂上決戦

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ボクシングの井上尚弥と中谷潤人が来月2日、東京ドームで対戦する。無敗の日本人同士による異例の頂上決戦だ。井上は中谷を「過去一番警戒する相手」と評価し、かつてないハードな合宿を敢行した。勝者が全てを得て、敗者が全てを失う過酷なリングの幕が上がる。

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5月2日の東京ドーム決戦、無敗同士が激突

5月2日、東京ドームでボクシングの歴史的な一戦が行われる。プロ14年目を迎える井上尚弥が、無敗の快進撃を続ける中谷潤人を迎え撃つ構図だ。

密着ドキュメンタリー動画「The Day vol.07」の中で、井上は「負けられないという気持ちが一番強い」と語った。パウンド・フォー・パウンドに名を連ねる日本人同士の対戦は、過去に例を見ない。

「ここで自分がボクシング界を引っ張っていくのか、あるいは世代交代と呼ばれてしまうのか」。井上は自らにそう問いかけている。

この試合に向けて、井上は「何が何でも勝たなきゃいけない」と強い決意を見せた。当日にとてつもない力を発揮する予感があるという。

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チャレンジャーから迎え撃つ立場へ

20歳でWBC世界ライトフライ級王者として初の世界王座を獲得した井上にとって、これまでのキャリアは常に挑戦だった。

しかし、今回は意味合いが異なる。下の階級から上がってきた若き実力者を迎え撃つ立場だ。井上は「ある程度全てを証明してきて、この先何を証明するんだろう」という葛藤を抱えていた。その答えが、中谷との対戦だ。

約1年前からこの対戦は意識されていた。お互いが無敗を守り続け、ついに実現。日本ボクシング史に残る大一番となった。

「中谷なら井上に勝てるんじゃないかという見方に、自分が納得していない。なめんなよって」。井上は闘志を隠さない。

静かな口調の中に、確かな自信がにじむ。

小学1年生からボクシングを始め、やるべきことをやる習慣が染み付いていると本人は語る。

「相性は最悪」体格差と頭脳戦の行方

順調に見える王者の歩みだ。だが、井上はかつてない危機感を抱いている。

中谷について「過去一番警戒する相手」と断言した。サウスポーでパワーがあり、体格差のアドバンテージを持つ。長い距離でも接近戦でも戦える幅広いスキルを高く評価している。

自身のスタイルとの相性を問われると、「最悪だと思う」と率直に認めた。中谷にとって自分のようなタイプは戦いやすいはずだと分析する。

だからこそ、面白い。

「はまれば向こうの方がはまる。それをちょっとずつ狂わせて戦えるか」。勝負の鍵はそこにあると見ている。引き出しの数では自分に分があるとしつつも、体格差を埋めるため、相手以上に頭を使う必要があると語った。

合宿では、チューブを装着した坂道ダッシュや階段トレーニングなど、過酷なメニューを消化し、対策を練り上げる。仮想中谷として同タイプのスパーリングパートナーを招いている。

関係者は「ここ何戦かの中でも、トレーニングに対する気持ちの入り方が違う」と証言した。井上自身も「全てをパーフェクトにしないと難しい相手」と警戒を緩めない。

マススパーリング中、相手のパンチが軽く顔に当たると、必ず一発殴り返す。そんな負けず嫌いな一面も、関係者の口から明かされた。普通の選手が60%から始めて最後に100%を出すところを、井上は最初から100%で挑み、疲労困憊の状態からさらに110%の力を振り絞る。その姿に周囲は驚嘆する。

「天才であるのにめちゃくちゃ努力する。天狗にならない」。関係者はその姿勢を高く評価した。

勝者と敗者を分かつ36分間の残酷さ

なぜこの一戦に、これほどまでの熱狂が渦巻くのか。

答えは、ボクシングという競技の残酷さにある。動画内で関係者は「1試合36分間に人生をかける。負けたボクサーは今までやってきたことを全否定される」と語った。年に数回しかリングに立てない選手たちにとって、一敗の重みは他のスポーツとは比較にならない。

無敗同士の頂上決戦。5月2日、必ずどちらかに初めての土がつく。

関係者の間でも「見たい気持ちもあれば見たくないという気持ちも半々」と複雑な心境が漏れる。井上のキャリアについて「漫画でもこんな展開を書いたら嘘臭いと怒られる」と最大級の賛辞が送られた。

ミット持ちの担当者も「一番殺気がすごい。普通には終わらない」とKO決着を予想する。

井上はチームの絆を強調した。「ボクシングは個人スポーツだが、一人じゃできない。支えが大きい方が勝つ。今自分が作り上げたチームは誰にも負けてない」。

「必ず勝つ。勝ちに徹する」。井上はそう繰り返す。

負けるリスクを恐れず、極限のプレッシャーを楽しむ姿勢を見せた。自分の手が上がる瞬間だけを目指し、リングへ向かう。

日本一殴り合いが強い男を決める戦いが、目前に迫る。

[文/構成 by 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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