福尾誠さんが順天堂大学スポーツ健康科学部の特任助教に就任 第12代「体操のお兄さん」が母校で歩む新たなキャリアを整理

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」で第12代体操のお兄さんを務めた福尾誠(34)が、2026年9月1日付で順天堂大学スポーツ健康科学部の特任助教に就任した。大学院博士課程まで進んだ末の母校復帰だ。体操選手として五輪を目指した青年が、国民的番組の顔を経て研究者の道を選ぶまでの歩みを整理する。
9月1日付で着任、大学と本人が発表
福尾誠は2026年9月1日付で、順天堂大学スポーツ健康科学部の特任助教となった。同大学が1日付で発表し、福尾自身も自身のXを更新して着任を報告した。
福尾は同学部を卒業後、大学院スポーツ健康科学研究科の博士前期課程・博士後期課程を修了。博士(スポーツ健康科学)の学位を取得した後、同学部の助手として勤務した経歴を持つ。2019年4月にはNHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の体操のお兄さんに抜擢され、2023年4月1日の放送をもって4年間その役目を終えた。
「多くの学びをいただき、自身の活動を力強く後押ししてくださった母校に、このような形で再び戻ることができたことを心から嬉しく思っております」。福尾はコメントでそう心境をつづった。大学で過ごした9年間について「今の私の礎となっております」とも語っている。
五輪を断念した体操選手が歩んだ道
福尾は2歳半のころから体操を始めた。姉2人が体操を習っていた影響だという。選手として16年、後にコーチとして5年のキャリアを積み、2007年から2009年にかけては体操のU-18日本代表に選ばれた。2010年のアジアジュニア体操競技選手権大会では、団体総合で優勝している。
順天堂大学に進学してからも体操部で競技を続け、五輪出場を目標に掲げた。だが、大学2年次につり輪の練習中に肩を負傷。大学3年の春、目標としてきたロンドン五輪の選考会を目前に控える中、福尾が選んだのは手術。肩の負傷は、五輪への挑戦に終止符を打つ結果となった。
術後は1年にわたるリハビリが続き、これまで感じたことのない痛みと向き合う日々だったという。
転機は中学時代にさかのぼる。親戚が営む保育施設で、おもちゃに夢中だった子どもたちが「おかあさんといっしょ」の始まりとともに画面へ釘付けになる光景を目にした。「いつか自分も体操のお兄さんに」という夢は、このときに芽生えたという。
大学に取材に訪れたNHKのテレビクルーに、体操のお兄さんになりたいと直談判したこともある。その時点で募集はなかったが、教えてもらったNHKの代表番号にあらためて電話をかけた。大学院に進学してからは体操部のコーチも兼務し、後に東京五輪代表となる萱和磨や谷川航らの指導も経験している。オーディションに合格し、2019年4月、12代目の体操のお兄さんに就任した。
コロナ禍越えた4年、卒業後は全国行脚
体操のお兄さんとして掲げた目標は「子どもたちのヒーローになること」だった。就任当初は感情表現が豊かなタイプではないと自覚していたといい、子どもたちとの触れ合いを通じて表現の幅を広げていったという。
就任からわずか1年で新型コロナウイルス禍に見舞われ、スタジオ収録やコンサートの中止が相次いだ。それでも視聴者の応援が支えになったという。2023年2月20日の卒業会見で、福尾は「経験と年齢を重ねて、これまでつなげていただいた体操のお兄さんというすてきなバトンを、次の世代につなげたいという思いが強くなりました」と卒業の理由を明かし、2023年4月1日の放送をもって番組を後にした。後任の13代目には、当時大学3年生だった佐久本和夢が就いている。
卒業後も福尾の活動は途切れていない。2023年11月の日本モンキーパーク(愛知)を皮切りに、おもちゃ王国(岡山)やグリーンランド(熊本)、東武動物公園(埼玉)など、全国各地のイベントやステージに立ってきた。2024年8月5日には、同月16日公開のアニメーション映画「ねこのガーフィールド」の宣伝ニャンバサダーに就任し、オリジナル体操「ニャンダフル体操」を披露した。
65年で13人、体操のお兄さんの系譜
「おかあさんといっしょ」の体操のお兄さんは、1961年の初代・砂川啓介から数えて65年余りの歴史を持つ。福尾は12代目にあたり、10代目の佐藤弘道は12年、11代目の小林よしひさは歴代最長となる14年にわたって務めた。佐藤は2002年に有限会社を設立し、卒業後も全国で体操教室を運営している。小林も指導者として活動を続ける。福尾の在任期間は4年と歴代の中では短いが、大学院で博士(スポーツ健康科学)の学位を取得した経験を持つのは福尾だけだ。
研究者として母校へ戻ったキャリアは、歴代13人の体操のお兄さんの中でも異色の経歴となった。
発育発達学の研究者として次の世代へ
順天堂大学スポーツ健康科学部は、スポーツと健康を軸に医学部との連携も視野に入れた学際的なカリキュラムを特徴とする学部だ。2年次からスポーツ科学や健康科学などの専門分野を体系的に学び、3年次以降はさらに細分化されたコースで知識を深める仕組みになっている。福尾は今後、発育発達学領域における研究に取り組みながら、学部生・大学院生と連携した社会貢献活動、そして子どもたちを対象とした教室やイベントでの研究成果の社会還元を担っていく。
「自分自身にできることに最大限向き合いたい」という思いから、改めて学び続ける道を選んだと福尾は説明する。研究を通じて知識を届ける活動にも力を入れながら、子どもたちや家族に寄り添っていきたいという考えも示した。
「次の世代へ貢献できるよう、真摯に、実直に努めてまいります」。決意のコメントで、福尾は結んでいる。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]






























































コメントはこちら