ゴーストレストランが急増 レジも客席もない店の仕組みと広がる背景を整理

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レジも客席も持たず、デリバリー注文だけで料理を出す「ゴーストレストラン」が増えている。日テレNEWS NNNが8月26日朝に伝えた。食料品の消費税を2027年4月から2年間、8%から1%に下げる政府方針が追い風だという。ただし、Uber Eatsは6月末で新規受付を終えており、勢いは一様ではない。
レジも客席もない店の正体
デリバリーに特化した営業を行う「ゴーストレストラン」が、飲食業界で存在感を増している。店内に客席はなく、レジも置かない。注文はUber Eatsや出前館といったフードデリバリーサービス経由だけで受け付け、調理は厨房だけで完結させる業態だ。日テレNEWS NNNが8月26日朝、その実態を伝えた。
東京都内の豚丼専門店は、その典型例だ。本業の豚丼に加え、アサイーボウルや麻辣湯を扱う別ブランドをデリバリー専門で運営している。厨房は既存の設備をそのまま使い、空いた時間帯を活用する仕組みだ。調理場所には、複数の飲食店が共同で使う「クラウドキッチン」や「シェアキッチン」と呼ばれる施設が使われることも多い。新たに実店舗を構えるより初期費用を抑えられ、既存店にとっては手の空いた時間の有効活用にもなる。
追い風となった「8%→1%」の中身
追い風とされているのが、政府が8月5日の臨時閣議で決めた消費税の見直しだ。軽減税率の対象になっている飲食料品について、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、税率を現行の8%から1%へ下げる。酒類と外食(店内飲食)は対象外とされ、税率は10%のままだ。
デリバリーやテイクアウトは、法律上「外食」ではなく「飲食料品の譲渡」として扱われる。だからこそ、軽減税率の対象に含まれ、今回の引き下げもそのまま適用される仕組みだ。同じメニューでも、店内で食べれば10%、持ち帰りや配達なら1%になり、税率の差はこれまで以上に開く。
なぜゼロ税率ではなく1%なのか。
政府はレジシステムの改修期間を理由に挙げている。ゼロ税率にすると全国のレジ改修に10〜12カ月かかる一方、1%なら5〜6カ月ほどで対応できるという。2027年4月の開始に間に合わせる狙いだ。
これはあくまで政府が示した方針であり、法律として成立したわけではない。関連法案は2026年秋の臨時国会に提出される見通しで、2027年4月からの開始は国会審議を経て初めて確定する。国会審議の行方によっては、対象範囲や税率が見直されることもある。
コンビニも参入、価格を下げる動きも
すでに動きを見せている企業もある。ローソンは「マチの中華食堂」「マチの洋食屋さん」というデリバリー専門の2ブランドを展開しており、対象店舗は全国で約1700店に上る。前者はチャーハンや焼きそば、後者はスパゲッティを中心にしたメニューだ。
「ガスト」や「バーミヤン」を展開するすかいらーくホールディングスも動く一社だ。既存ブランドを生かし、飲食スペースを設けず宅配・テイクアウトに特化した店舗の展開を計画する。佐藤拓男社長は「来年度の消費税減税に向けて、着々と準備は進めている段階」と話しており、大手チェーンも減税を見据えた対応を本格化させている。
長崎のちゃんぽん・皿うどんメーカー、みろくやも動いた一社だ。関東圏でフードデリバリーサービスを通じた販売を始め、みろくやの山下大作代表取締役社長は「原材料費が大きく上がらなければ、7%程度値段を下げる方向で考えている」と話す。8%から1%への引き下げは、価格ベースでおよそ6.5%の値下げに相当する。山下が語った「7%程度」という水準は、この計算とほぼ重なる。
飲食店向けにデリバリー専門ブランドを展開するX Kitchenの山路健一郎代表は、今回の税制変更でデリバリーが消費者に選ばれやすくなるとの見方を示した。同社は全国で約1100店の飲食店と提携し、既存の厨房を使って新ブランドを立ち上げられるようにしている。豚丼専門店のような多業態展開も、こうした仕組みを使えば大きな設備投資なしで実現できる。
市場全体も伸びている。国内のクラウドキッチン市場は2024年の43億ドルから2033年には111億ドル規模へ拡大すると予測され、年平均成長率は10.26%に達する見通しだ。
Uber Eatsは新規受付を終了済み
追い風ばかりが吹いているわけではない。フードデリバリー最大手のUber Eatsは、2026年6月30日を最後に、中小・個人事業者によるゴーストレストランの新規出店受付を終えている。
既存の出店者がすぐに締め出されるわけではないが、キャンセル率や商品の入れ間違いの多さ、同じ住所から似たような店舗が乱立してアプリ画面を占有する状況が課題視されていた。実店舗を持つ加盟店を優先する方針への転換だ。
関連記事:フーデリ「Wolt」日本撤退理由を徹底解説 Uber Eatsに歯が立たなかった”日本市場の壁”とは
デリバリー市場では、Uber Eatsが大きなシェアを握る。競合のWoltは日本市場で苦戦し、すでに撤退した。プラットフォーム側の姿勢ひとつで、ゴーストレストランを取り巻く環境は左右される。減税が商機を広げる一方、出店の入り口そのものは狭まりつつある。
経営コンサルタントの坂口孝則氏は、税率が1%になれば店舗を持たないゴーストレストランは大きく伸びるとみる一方、自前の配送網を持たない場合は外部配送のコストが利益を圧迫し、必ずしも大きな利益幅を見込めるわけではないと指摘する。
実現のカギは秋の国会審議
今回の税率引き下げは、あくまで政府が示した方針にとどまる。決め手となるのは、2026年秋の臨時国会での関連法案の成立だ。現時点で「決まったこと」として扱うのは早い。
それでも、飲食業界の受け止め方は前向きだ。実店舗を維持しながら新しいブランドを試せるゴーストレストランは、原材料高や人手不足に悩む店にとって低リスクな挑戦の場になっている。税率が下がればデリバリーの価格競争力は増す。参入を検討する飲食店も、これまで以上に増えていく。
プラットフォーム側の受け入れ姿勢が厳しくなれば、増加のペースにブレーキがかかる可能性も否定できない。減税とプラットフォーム政策、この二つの綱引きが、今後のゴーストレストランの広がり方を決めていく。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

































































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