ごみ箱ロボット、新宿駅の地下1階改札内コンコースを巡回へ JR東日本が9月8日から実証実験、米Cartken開発の車体を整理

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
JR東日本が9月4日、新宿駅の地下1階改札内コンコースで移動式ごみ箱ロボットの実証実験を始めると発表した。期間は9月8日から11月20日までの平日で、稼働は10時から17時まで。車体には米Cartkenが開発した自動配送ロボットを使い、運用は三菱電機とメルコモビリティーソリューションズが担う。
平日の10時から17時、4つの改札内を回る
ロボットが走るのは新宿駅地下1階の改札内コンコースで、東、西、中央東、中央西の4エリアを自動で巡回しながらごみを集めていく。稼働時間は10時から17時までだが、状況により変わる場合もあるという。
車体の側面には投入口があり、一般ごみとペットボトルで分かれている。歩いてきたロボットへ、利用者が自分でごみを入れる仕組みだ。
検証するのは4点。センサーなどを使った走行時の安全性、混雑した時間帯の走行で出てくる課題、コンコースを行き交う利用者の移動への影響、そして移動式ごみ箱ロボットの運用そのものが社会に受け入れられるかどうか。JR東日本は駅でのサービス品質を高めると同時に、清掃業務の効率化を目指すと説明する。期間中も既設のごみ箱は通常どおり使えるため、ロボットは置き換えではなく上乗せの扱いだ。巡回中の映像は、実験の分析以外に使わないという。
しんじゅくまをまとった車体、中身は配送ロボット
車体にはJR新宿駅の公式キャラクター「しんじゅくま」のラッピングを施す。しんじゅくまは2025年3月1日生まれのくまで、しっぽの「しんじゅ」がチャームポイントだ。誕生日はJR新宿駅の開業記念日にあたる。山を下りて新宿を冒険していたところ、駅長から帽子をもらって公式キャラクターになった。そんな設定になっている。
見た目はごみ箱でも、走っているのは配送用のロボットだ。Cartkenの機体は屋内と屋外の両方を走れるのが特徴で、日本では料理や日用品を届ける用途で使われてきた。荷物を入れる部分をごみの投入口に置き換え、駅のコンコースへ持ち込む。
Cartkenはグーグル出身者が2019年に創業
Cartkenは2019年に米カリフォルニア州で生まれたロボット企業だ。グーグルの社内プロジェクトで配送ロボット「BookBot」を手がけた技術者らが独立し、AIを使った自動走行ロボットを開発する。CEOはクリスチャン・バーシュで、本社はオークランド、製品開発の拠点はドイツのミュンヘンに置く。
走る速さは大人が歩くのと同じくらいだ。日本での運用では、海外のオペレーターが24時間体制で遠隔から見守る。最大積載量は小型のモデルCが20kg、大容量のモデルEが80kg。日本の公道向けに調整したモデルCは、最高速度を時速5.4kmに抑え、道路交通法の遠隔操作型小型車として歩道を走る。ロボットデリバリー協会の適合審査も通った機体だ。
日本での歩みは意外に長い。2022年1月にはイオンモール常滑でスターバックスの商品を運ぶ実験が始まり、約500mの道のりを熱いコーヒーをこぼさずに届けた。2024年2月にはUber Eats Japan、三菱電機、Cartkenの3社が業務提携を結ぶ。同年11月には、メルコモビリティーソリューションズが調整した機体が、楽天の「楽天無人配送」として東京・晴海周辺を走り始めた。三菱電機は同年7月の資金調達にも出資者として名を連ねている。
駅からごみ箱が減った30年と、清掃の担い手
そもそも、駅にごみ箱は少ない。1995年の地下鉄サリン事件の直後に営団地下鉄が全駅から撤去し、1997年には駅員の目が届く場所へ半数以下に集約して戻した。再び減ったのは2004年のマドリード列車爆破テロの後で、東急、京急、京王が相次いで撤去する。東京メトロは2022年1月16日の営業終了後、全駅からなくした。JR東日本は全社一律で撤去する方針を取らず、エリアごとに安全確保の観点から見直す立場だ。在来線の駅からは減った一方、東京駅のような大きな駅には今も残る。
ごみ箱をどこに置くかとは別に、掃除する人手をどう確保するかという問題も重い。JR東日本グループは高輪ゲートウェイ駅の開業時から、案内・清掃・警備のロボットを試してきた。床を洗うロボットはすでに実務へ入っている。2026年5月には小山駅でヒューマノイドロボットが両毛線の乗り場を案内する実験を行い、同じ月に線路内を自律走行するロボットによる線路点検を進めると発表した。移動式のごみ箱は、その流れの延長線上に置かれた試みだ。
1日66万人が乗る駅で、何を確かめるのか
2024年度のJR東日本のデータで、新宿駅の1日平均乗車人員は66万6809人。同社の駅で最も多く、2位の池袋駅の49万9128人を16万人以上上回った。人の流れが途切れない場所へ、大人の歩く速さのロボットが入っていく。
検証項目に混雑時の走行における課題と、利用者の移動への影響が並ぶ理由も、そこにある。人にぶつからずに走れるか、流れを止めずに済むか、そもそもごみを入れてもらえるか。実際に走らせてみないと分からない。
JR東日本はこの実験を、グループ経営ビジョン「勇翔2034」に沿った取り組みと位置づける。ロボットを使った新しい価値づくりと、働き方の見直しが狙いだ。11月20日までの平日、新宿駅の地下をしんじゅくまが走る。置いてあるごみ箱に、回ってくるごみ箱が加わるのかどうか、約2カ月半の走行が答えを出す。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]






























































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