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尾崎将也さん(66)死去に追悼の声「結婚できない男」「梅ちゃん先生」…広告会社を辞めて脚本家になった”遅咲きの天才”の経歴を辿る

尾崎将也さん(66)死去に追悼の声「結婚できない男」「梅ちゃん先生」…広告会社を辞めて脚本家になった”遅咲きの天才”の経歴を辿る

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

脚本家・映画監督の尾崎将也さんが2026年6月2日未明、肺疾患で亡くなった。66歳だった。代表作「結婚できない男」は2006年に平均視聴率17%超を記録し、社会現象となった。NHK朝ドラ「梅ちゃん先生」では2013年に橋田賞を受賞。葬儀はすでに家族葬で執り行われた。

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6月2日未明に肺疾患で急逝、葬儀は家族葬で

脚本家・映画監督の尾崎将也さんが6月2日未明、肺疾患のため亡くなった。66歳だった。所属事務所のアンドリーム(&REAM)が9日、公式サイトで正式に発表した。

「弊社所属の脚本家・映画監督の尾崎将也は、2026年6月2日未明、肺疾患のため逝去しました。尚、葬儀は家族葬にて執り行われました。ここに故人が生前に賜りましたご厚誼に深く感謝しますとともに、謹んでお知らせ申し上げます」

事務所の発表はこう記された。葬儀はすでに遺族のみで終わっている。

訃報が伝わると、「結婚できない男」「梅ちゃん先生」のファンを中心に追悼の声がネット上に広がった。20年近くにわたってテレビドラマを書き続けた脚本家の死を惜しむ声は、発表直後から各メディアのコメント欄にも相次いだ。

広告会社のコピーライターを経て、32歳で脚本家へ転身

尾崎さんは1960年4月17日、兵庫県西宮市に生まれた。六甲高等学校を経て関西学院大学文学部を卒業後、広告会社でコピーライターとして働いた。人を動かす言葉を日々生み出す職業だ。その経験は10年以上に積み重なった。

ただ、広告コピーの枠内だけに収まることはなかった。日本脚本家連盟スクールに通い、本科第55期を修了した。研修科では田上雄ゼミで学び、スクール在籍中に第23回放送脚本新人賞で佳作を受賞している。腕を磨く時間を、仕事と並行して積んだ。

転機は1992年に来た。書き上げた「屋根の上の花火」が第5回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞する。32歳での転身だ。

コピーライターとして鍛えた「余計な言葉を削ぎ落とし、本質を短く伝える」習慣は、ドラマのセリフにそのまま生きた。社会人として10年以上働いた経験が、後に描く「ふつうの人間のリアルな日常」の土台になる。いわば、遠回りこそが本道だった。

「結婚できない男」、平均視聴率17%超で社会現象に

転身から14年後、名前が一気に広まる作品が生まれた。2006年7月にフジテレビ系で放送が始まった「結婚できない男」だ。

阿部寛が演じた建築家・桑野信介は、偏屈で独善的でありながら、根には誠実さを持つ40代の独身男だった。仕事の腕は確かで収入もあるが、自分の生活に他者が踏み込むことを極端に嫌う。「なぜ結婚しないのか」という社会的な問いを正面から拒否するこのキャラクターが、視聴者の心をつかんだ。平均視聴率は17%超を記録した。

尾崎さんの書く主人公は「成長しない」のではなく「変わらない」のだ。周囲の関係性が動いても、主人公の本質は揺れない。それを欠点ではなく個性として描き切った筆力に、視聴者は惹きつけられた。

作品の人気は長続きした。2019年、13年ぶりの続編「まだ結婚できない男」が放送される。40代だった桑野信介は50代になっていた。13年の歳月を経ても変わらない男として帰ってきたその姿に、ファンが沸いたのは言うまでもない。

NHK朝ドラ「梅ちゃん先生」で橋田賞、映画・小説と活躍の場を広げる

2012年には、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の脚本を担当した。昭和の東京下町を舞台に、女性医師として歩む主人公の成長を描いたこの朝ドラは、半年間の長期放送を通じて全国の朝の時間に溶け込んだ。翌2013年、その功績が評価されて橋田賞を受賞している。

ドラマ以外での活動も幅広かった。映画監督として「天国からのエール」「世界は今日から君のもの」「炎上シンデレラ」(2022年11月公開)など複数の作品を手がけた。小説家としても執筆し、著書「3年でプロになれる脚本術」は脚本を目指す人々に読み継がれた本だ。

日本脚本家連盟スクールでは脚本家クラスの部長を務め、後進の指導にあたった。32歳という比較的遅いスタートでデビューした自身の経験をもとに、「社会人として働いた時間は書くことへの財産になる」と説いたという。

直近では、テレビ東京系で2026年から放送中の「元科捜研の主婦」も担当していた。その仕事は途中のまま止まった。

「セリフに体温があった」追悼広がる、残した作品は今も

訃報が発表された9日、SNSや各ニュースサイトのコメント欄に追悼の声が相次いだ。「結婚できない男」「梅ちゃん先生」「特命係長・只野仁」など、思い出の作品をあげながら惜しむ投稿が続いた。人物描写のリアルさや、登場人物のセリフに滲む体温を評価するコメントが多く目立った。

尾崎さんが手がけてきたキャラクターには、一貫した共通点がある。生き方が不器用で、しかし正直な人間たちだ。桑野信介も、梅ちゃんも、只野仁も。社会の中でどこか削れながら自分を保とうとする姿は、見る者の日常と重なった。

広告会社のコピーライターを辞め、30代から脚本家の道を歩んだ男が、テレビドラマの歴史に確かな足跡を残した。66歳での旅立ちだった。

[文/構成 by さとう つづり]

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