朝倉海、UFC初勝利を110秒の失神KOで飾り男泣き スモザーマン戦の左フックとRIZIN王者の経歴

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
朝倉海(32)=JAPAN TOP TEAM=が5月30日、UFCファイトナイト・マカオでキャメロン・スモザーマン(28)=米国=を1R1分50秒でKOし、UFC初勝利を挙げた。バンタム級転向初戦で、約1年半ぶり、UFC3戦目での初白星だ。試合後は涙を流し、「自分の打撃は世界一」と語った。
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537日目の初白星、最後は左フックで沈めた
元RIZINバンタム級王者の朝倉海が、UFCで初めて勝った。5月30日、マカオのギャラクシー・アリーナで開かれたUFCファイトナイト・マカオで、バンタム級のキャメロン・スモザーマンと対戦。1ラウンド1分50秒、左フックからのパウンドでKO勝ちを収めた。UFC3戦目、デビューから537日目の初勝利となった。
立ち上がり、朝倉はキレのある蹴りで間合いを測った。カーフキックを当てて距離をつかむと、パンチを立て続けにヒット。右フックでスモザーマンをグラつかせ、ケージ際まで追い込んだ。最後は左フックでダウンを奪い、鉄槌を落としたところでレフェリーが試合を止めた。スモザーマンは意識を失っていた。
開始からわずか110秒。会場は秒殺KOにどよめいた。公式計量でも入場でも笑顔を見せなかった朝倉が、勝った瞬間に初めて表情を緩めた。
フライ級で2連敗、崖っぷちからのバンタム級転向
朝倉のUFC挑戦は、苦しいスタートだった。2024年6月、RIZINバンタム級王座を返上してUFC行きを表明。同年12月のデビュー戦で、いきなりフライ級王者アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)へのタイトル挑戦という破格の舞台に立った。だが2Rにバックチョークで失神負け。日本人初、アジア人初の男性UFC王者誕生はならなかった。
再起を期した2025年8月の2戦目も、ティム・エリオット(米国)に2Rギロチンチョークでタップアウト負け。フライ級で2連敗を喫した。
転機は階級だった。UFC上海のパフォーマンスインスティテュートで身体能力などを計測した結果、適性階級はバンタム級と判明する。朝倉は当時の心境をこう語った。「UFCに挑戦する時に10キロの減量が当たり前だったので、フライ級がベストかと思っていた。2試合を終えて、減量のキツい時間が長く、ベストじゃないと判断した」。RIZIN時代に戦っていた本来の階級へ戻すと決めた。
チーム体制も変えた。柔術の竹浦正起コーチ、打撃の小倉將裕コーチに加え、UFC参戦経験を持つ元MMAファイターの金原正徳をヘッドコーチに招いた。連敗の間はサブミッションの強化に取り組み、総合力を底上げした。
「もし3連敗してリリースされたら、続けられなかった」
負ければ契約解除もあり得る一戦だった。試合後、朝倉はその重圧を率直に明かした。
リング上のインタビューでは英語で気持ちを語り、涙をこらえきれなかった。「この試合で自分がどれだけ強いかを証明したかった。それを見せられて良かった」。続けて「自分の打撃は世界一だと思っている」と言い切った。次戦については「相手が誰でも、どこでも、いつでも戦う準備はできている。すぐにでも次をやりたい」と前を向いた。
U-NEXTのインタビューでは「本当に安心しました。勝てて良かった」と表情をゆるめた。入場時の心境は「緊張はなかった。冷静に戦うことだけを考えていた」と振り返り、「ここからトップを目指していきたい」と意気込んだ。最後は「今夜はパーティーします」とジョークも飛び出した。
ケージを降りた朝倉を、客席で見守っていた兄・未来が出迎えた。2人は笑顔で抱擁を交わした。UFC日本公式インスタグラムには試合直後の未来の様子が投稿され、「完璧でした。バンタム級チャンピオンになってほしい」と弟をたたえる言葉が並んだ。
相撲少年からRIZIN王者、そしてUFCへ
朝倉海は1993年10月31日、愛知県豊橋市に生まれた。幼いころは兄の未来とともに相撲や空手を学び、格闘技に親しんで育つ。
2013年にプロデビューし、翌14年には前田日明が主宰した「THE OUTSIDER」の55-60キロ級王者になった。17年にRIZIN初参戦。19年には堀口恭司を破って名を上げ、20年に扇久保博正を下して第3代RIZINバンタム級王者に就いた。けがによる長期離脱を経て、23年に第6代王者へ返り咲く。MMA通算戦績は22勝6敗となった。身長173センチ。日本格闘技界のエースとして、その名は広く知られている。
そして24年、王座を返上してUFCへ。世界最高峰の舞台で苦しんだ末、3戦目でようやく自分の強さを証明した。
「3カ月後には戦う」、次の相手はまだ見えない
初勝利の余韻は、すぐに次への決意へ変わった。朝倉は試合後、次戦について「3カ月後には戦う」と早期再戦に意欲を示した。「自分の中ではまだまだ成長できる。ここからトップを目指す」と語っている。
海の初勝利はSNSでトレンド入りした。「動きがすごかった」「泣いた」「長かったけどよかった」「バンタム級を荒らしてほしい」といった反応が相次いだ。フライ級で味わった2連敗の苦しみを知るファンほど、初白星を待ち望んでいた。
バンタム級は、かつて朝倉が日本で頂点に立った階級だ。本来の土俵に戻った日本のエースが、世界の強豪がひしめく階級でどこまで駆け上がるのか。次の一戦が、その答えを示す。
[文/構成 by 橘すろべ]


























































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