ジュウリョクピエロ・近藤健介オーナーとは何者か ”馬主デビュー1年3ヶ月”G1勝利の異例記録と知られざる経歴とは 同姓同名でSNS大騒ぎ

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2026年5月24日のオークス(G1)でジュウリョクピエロが5番人気から差し切り優勝。馬主の近藤健介氏は重賞初挑戦がG1制覇という異例の記録を刻んだ。ソフトバンクホークスの近藤健介外野手と同姓同名のため、Xには誤認した投稿が相次いだ。一方、オーナー本人は中日ドラゴンズファンの愛知県出身で、一口馬主としてウインマリリンなどG1馬にも関わってきた人物である。
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重賞初挑戦がG1制覇、「2頭目の所有馬」が打ち立てた記録
2026年5月24日、東京競馬場で第87回オークス(G1、芝2400メートル)が行われた。5番人気のジュウリョクピエロが最後方から馬群を割って伸び、2分25秒6(良)で優勝。2着ドリームコア(C.ルメール)、3着ラフターラインズ(D.レーン)にいずれもクビ差という僅差の決着だった。桜花賞を制して1番人気に支持されたスターアニスは12着に敗れた。
馬主の近藤健介氏にとって、ジュウリョクピエロは個人持ちでは2頭目の所有馬で、この日が重賞初挑戦だった。重賞初出走の舞台がG1で、そのままG1を制する記録が生まれた。スポーツ報知は「所有馬重賞初出走でG1制覇」と伝えている。
netkeibaの馬主データベースを見ても、近藤氏のオーナー戦績は通算3勝(うちGI 1勝・重賞1勝)、そのうちGI・重賞の数字はすべて今回のオークスと前哨戦・忘れな草賞によるもの。馬主登録から短期間でいきなり頂点に立った異例の経歴であることが裏付けられる
「近藤健介オーナー」とは何者か?――愛知出身、税理士、中日ドラゴンズファン
タイトルにもある「近藤健介オーナーとは何者か」――。本人がメディア露出を控えていることもあり、その素顔は競馬ファンにもあまり知られていない。
断片的な情報を総合すると、以下のような人物像が浮かび上がる
出身:愛知県
拠点:現在は滋賀県を拠点としている
年齢:40代中盤
応援球団:中日ドラゴンズファン(同姓同名のソフトバンク・近藤選手とは無関係)
保有資格:税理士、マンション管理士、宅地建物取引士など。不動産や相続、資産管理まで幅広く扱う税理士業を本業とする可能性が高いとされる
勝負服:薄紫、紫ダイヤモンド、袖紫一本輪(netkeiba)
SNS上では、ソフトバンク・近藤健介選手と区別するため「ニセの近藤健介です」と自虐的に名乗っていたことでも知られる。「まだ誤解されている方が…」とプロフィール欄や投稿で自ら混同ネタにする姿が、競馬ファンの一部に親しまれていた。
なお同姓同名のソフトバンク・近藤健介外野手は1993年8月9日生まれの32歳。馬主・近藤健介氏のほうがずっと年上であり、「天才打者・近藤健介が生まれてくるずっとずっと前にはもう近藤健介だった」と冗談めかして語られることもあったようだ。
一口馬主から個人馬主へ――ウインマリリンとの縁、武豊への憧れ
近藤オーナーは個人馬主として華々しいデビューを飾る以前から、一口馬主クラブを通じて競馬に深く関わってきた。
特筆すべきは、香港ヴァーズ(2022年G1)優勝馬ウインマリリンや、マイラーズC(2021年G2)優勝馬ヴァンドギャルドといった重賞・G1級の馬に出資していた実績だ。一口馬主としてはすでに「強運の出資者」だったことになる。
個人馬主として登録したのは2025年初頭。1頭目の所有馬「アサガクル」(牝、父エピファネイア)は2025年2月10日、京都競馬場のダート1800m新馬戦で武豊騎手を背にデビューした。5番人気の支持を受けたが結果は8着。
このデビュー戦の後、近藤オーナーは武豊騎手に勝負服のデザインを褒められたことに感激し、SNSで「乗ってもらえるだけで幸せ」「武豊騎手というのは私にとって特別」とコメント。過去には「武豊カレー」を購入したエピソードも明かしている。
アサガクルはその後JRAでは未勝利のまま佐賀競馬に転厩。2026年5月16日に佐賀で「個人としての馬主初勝利」を挙げ、その8日後にジュウリョクピエロがオークスを制した形となる。1頭目で地方初勝利、2頭目でG1制覇という、まさに絵に描いたような展開だった。
馬主登録は2025年2月のアサガクルデビュー前後。そこからおよそ1年3ヶ月でクラシック制覇という、競馬史でも稀有なスピード出世である。
ダートから芝へ、今村聖奈と刻んだ6戦の軌跡
ジュウリョクピエロは2023年2月26日生まれの牝馬。父オルフェーヴル、母ハッピーヴァリュー(母の父ゼンノロブロイ)という血統で、北海道新ひだか町の飛野牧場が生産した。馬名は公式には「重力+ピエロ」とされるが、Wikipediaにも明記される通り、伊坂幸太郎の同名小説『重力ピエロ』が由来とみる声も多い。栗東の寺島良厩舎に入厩している。
2025年9月28日、阪神競馬場のダート1800メートル新馬戦でデビュー。今村聖奈騎手を背に1番人気に応え、デビュー戦を快勝した。だがその後はダート路線で苦戦が続く。11月3日のJBC2歳優駿(Jpn3、門別ダート1800m)は7着、12月20日の阪神・ポインセチアステークス(OP、ダート1800m)も7着と、いずれも善戦できなかった。
転機は年明け、2026年1月4日の京都・3歳1勝クラス(芝2000m)だった。初めての芝挑戦で7番人気の低評価を覆して快勝。続く4月12日の忘れな草賞(L、阪神芝2000m)でも後方から上がり最速の末脚を駆使してリステッド競走を制した。5戦3勝(中央4戦3勝、地方1戦0勝)の戦績でオークスの優先出走権を獲得し、G1の舞台へ向かった。
近藤オーナー「本当にビックリ」、師弟コンビも初G1
馬主登録からおよそ1年3ヶ月でのG1制覇となった近藤健介氏は、レース後にスポニチの取材に応じた。「女性騎手初のクラシック騎乗ということで、それだけでも記録に残ればという気持ちでした。世の中そんなにうまくいくことはないと思っていたので、本当にビックリです」。率直な驚きがにじむ。
「直線を向いて馬群の中から突き抜けてきた時にはちょっとひるんでしまうのではと思いましたが、最後まで伸びきってくれてましたね」と愛馬の粘りに目を細めた。次走については「この後は決まっていません。国内なのか、それ以外なのか。寺島良調教師と相談して決めます」と語り、方針は白紙のままだ。
鞍上の今村聖奈(22)はJRA所属の女性騎手として初めてクラシック競走に騎乗し、そのまま初制覇を飾った。 「夢を見ているみたいです」が今村の第一声だった。2022年3月に寺島厩舎からデビューし、ルーキーイヤーに51勝をマーク。2023年には開催日における通信機器の不適切使用で30日間の騎乗停止処分を受けた。
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それでも寺島師は弟子を見放さなかった。検量室前、師匠が愛弟子にかけた言葉はひと言「良かった」だけだったという。「今回が駄目でも次があるだろうと思っていたんですけど…。いきなりチャンスをものにして人馬ともに凄かったです」と寺島師は明かした。開業11年目で初G1の頂きに立つ。
「コンちゃん馬主だったの!?」同姓同名でXが騒然
優勝の一報が伝わると、SNSで別の騒ぎが起きた。近藤健介氏がソフトバンクホークスの近藤健介外野手と同姓同名のため、X上に「コンちゃん、馬主だったの?」「オーナーの近藤健介さんってソフトバンクの?」「同姓同名の別人だったんだ。びっくりした」「近藤健介オーナー、おめでとうございます」といった投稿が相次ぐ。デイリースポーツが同日報じた。
混同はこの日が最初ではない。ジュウリョクピエロが新馬戦を制した昨年9月28日にも、馬主情報を管理するXアカウント(@ownersdatabase)が「近藤健介オーナーは同名の福岡ソフトバンクホークス所属の野球選手とは別人です」と注意喚起の投稿を行っていた。 G1制覇でその名が一気に広まり、同じ混乱が再び起きた。
凱旋門賞登録済み、次の舞台は国内か欧州か
オークス制覇で1着賞金1億5000万円が入り、地方競馬分を含む総獲得賞金は2億1337万円に達した。
ジュウリョクピエロはオークスに先立つ5月21日、フランス・パリで10月4日に行われる凱旋門賞(G1、芝2400メートル)への登録を済ませていることが明らかになっていた。
寺島師は「準備だけはしておこうということです。本当はオークスの結果を見てからがよかったんですが、締め切りが早いので(近藤健介)オーナーの了承を得て登録しました。(父が凱旋門賞2着2回のオルフェーヴルで)血統もいいですからね」と説明し、「(出否は)オークスの結果とレースぶりを見てからですね」とコメントしていた。出走の最終決定は近藤オーナーとの協議に委ねられる。
愛知の40代男性、一口馬主歴は長くもサラブレッドの個人所有はわずか2頭目。同姓同名のスター野球選手と取り違えられながら、SNSでは「ニセの近藤健介」を自称してきたオーナーが、突如としてクラシックホースの主となった。父オルフェーヴルが叶えられなかった凱旋門賞制覇という壮大な夢が、今、現実味を帯びて視界に入りつつある。
[文/構成 by さとう つづり]
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