富山空港、愛称を「富山高山すし空港」に変更 旧「きときと空港」から刷新も「ぴんと来ない」の声

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富山県の新田八朗知事は7月8日、富山空港の愛称を「富山きときと空港」から「富山高山すし空港」に変更すると発表した。インバウンド誘客を狙い、世界的に認知される「すし」と隣県の人気観光地「高山」を組み合わせた。ただ他県の地名を冠するのは国内2例目の異例策で、公募なしの決定プロセスへの批判も上がる。
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知事が定例会見で発表、英語名は「Toyama-Takayama Sushi Airport」
富山県の新田八朗知事は8日の定例記者会見で、富山空港(富山市)の新しい愛称を「富山高山すし空港」に変更すると発表した。英語表記は「Toyama-Takayama Sushi Airport」。
愛称に他県の地名を盛り込む例は珍しく、島根県益田市の石見空港が「萩・石見空港」として山口県の地名を取り入れた例に次ぐ、国内2例目だ。
新田知事は会見で「大変厳しい状況のなかで利用者を増やすには、思い切った方法が必要と判断した」と説明。「訪問先を検討するインバウンドの関心を引きつける強力なフックとして富山空港や富山県を知ってもらうきっかけにしたい」と述べた。
旧愛称「きときと」は13年の歴史 利用者はピーク比6割減
「富山きときと空港」の愛称が決まったのは2012年。県の置県130周年記念事業として公募で選ばれ、約13年にわたって使われてきた。「きときと」は富山弁で「新鮮でぴちぴち」を意味する。
ところが、空港を取り巻く状況は年々厳しさを増す。2004年度に約139万2000人だった利用者は、2012年度時点でも94万4559人と健闘していた。しかし2015年の北陸新幹線・金沢延伸や新型コロナウイルス禍による国際線運休が重なり、2025年度の利用者数は37万9306人まで落ち込んだ。旧愛称決定時からの比較で約60%の減少だ。
直近の2025年度は前年度比4.1%減。大連・上海への国際定期便が運休したことが響き、2020年度(コロナ禍)以来5年ぶりに利用者数が減少に転じた。
「すし」と「高山」を採用した理由 民間運営者の一言が発端
愛称変更の発端は、今年4月から富山空港の運営を担う富山エアポートの岡田信一郎社長の提案だった。「インバウンドに人気のある『高山』、寿司といえば富山の『すし』。これを入れることで富山に来ていただこう」と提案し、県の検討が動き出す。
富山県は今年4月、施設の所有権を保持しつつ運営を民間に委ねる「混合型コンセッション」を採用。富山エアポートによる空港運営が始まったばかりのタイミングだった。
「すし」を採用した理由について県は、世界的な認知度と直感的な分かりやすさを挙げる。県が推進するブランド戦略「寿司といえば、富山」の発信強化にもつながるとした。
「高山」については、飛騨高山地域への外国人宿泊客が年間約100万人に上る点を根拠とする。同じく外国人に人気の観光地でありながら、富山県全体の外国人宿泊者数は2025年に約38万7000人と、高山との差は歴然だ。富山空港を「高山への空の玄関口」と位置づけ、インバウンドを取り込もうという狙いがある。
岐阜県の江崎禎英知事は「富山空港に『高山』という名前が付くことで、飛騨高山方面の入口があることを世界に発信することになる」とコメント。高山市の田中明市長も「富山空港を通じたインバウンド誘致は一緒にやらせていただければ」と広域連携への期待を示した。
アンケートで「高山」案の支持はわずか3.4% 批判の声も相次ぐ
世間の反応は厳しい。北日本放送のWEBアンケートでは、「高山」を含む愛称への支持がわずか3.4%にとどまった。「その他」を選んだ回答が66.9%に上り、公募せず県が決めた決定プロセスへの批判が全体の6割近くを占めた。
なぜか。富山と高山という二つの地名が混在することへの違和感が根強い。
愛称変更が報道された段階で富山テレビ(BBT)が県民や空港利用者など313人を対象に実施したアンケートでも、「高山」を含む愛称への支持は全体の4%にとどまった。最も多かったのは「立山空港」(全体の約13%)。「富山きときと空港」のままでいいという回答も「立山」と並んで最多だった。
高山市民からも「富山なのに高山っていうのも違和感がある」「富山は富山、高山は高山」と冷ややかな声が上がる。富山県内からは「高山は違うでしょ。どうして高山なのか、絶対おかしいと思う」という意見も聞かれた。
「きときと」への愛着も根強い。公募によって選ばれた経緯があるだけに、今回の公募なしの決定には「もっと県民の声を聞くべきだった」という批判が集まる。新田知事はこの点について「世界の方々に分かりやすく発信する目的だ」と強調するにとどめた。
直行バスなし・二次交通が課題 「愛称変更は第一歩」
課題は愛称だけではない。富山空港から岐阜県高山市までの直行バスは、コロナ禍以降運行されていない。名前に「高山」を冠しながらも、空港からのアクセス手段が整っていない実情がある。
高山を訪れる外国人観光客の多くは羽田や大阪の空港から移動するルートが一般的で、富山空港を経由するケースはほとんどない。新田知事もこの課題を認め、「飛騨高山方面には直行バスがなく、二次交通の充実に向けて高山市などと連携を進める」と述べた。
一方、岡田社長は「今回の愛称の狙いはインバウンド向け。すしというと『面白い、この県に行ってみよう』と思う可能性がある」と反論する。
新田知事は「愛称の決定は第一歩に過ぎない。変更の効果をさらに大きくするために、取り組みの強化が必要になる」と話した。「ぴんと来ない」の声を受け止めながら、新たな愛称がどれだけの利用者増につながるのか。富山空港の再起をかけた取り組みの本番はこれからだ。
[文/構成 by たかなし もか]



































































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