MEDIA DOGS

マツキタツヤは何をしたのか アクタージュ原作者の経歴と事件から現在までの経緯

マツキタツヤは何をしたのか アクタージュ原作者の経歴と事件から現在までの経緯

マツキタツヤ(松木達哉)は2020年に女子中学生への強制わいせつで有罪判決を受け『アクタージュ』が打ち切りに。2025年には「八ツ波樹」名義で小学館マンガワンから新連載『星霜の心理士』を開始するも、2026年3月に本人と公表され連載一時停止...

マツキタツヤは何をしたのか アクタージュ原作者の経歴と事件から現在までの経緯

マツキタツヤは何をしたのか アクタージュ原作者の経歴と事件から現在までの経緯

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

漫画「アクタージュ act-age」の原作者マツキタツヤ(本名・松木達哉)は、2020年に強制わいせつ事件で逮捕され有罪判決を受けた。これにより同作は連載打ち切りとなり、関連商品は全て展開中止となった。執行猶予期間満了後、同氏は「八ツ波樹」名義で小学館の漫画アプリで活動を再開。2026年3月、別の作家の不祥事をきっかけとした社内調査でこの事実が発覚し、小学館が公表したことで出版社の倫理を問う大きな議論を呼んだ。

↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓

人気漫画の突然の終幕、強制わいせつ事件で有罪判決

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で次代の看板作と目されていた漫画『アクタージュ act-age』。その人気が絶頂に達しようとしていた2020年8月、物語は突然の幕切れを迎えた。原作者のマツキタツヤ(本名・松木達哉、29)=『アクタージュ act-age』原作者=が、強制わいせつの疑いで警視庁に逮捕されたことが発端だった。

産経新聞の報道(2020年12月23日)などによると、事件が起きたのは2020年6月18日夜。松木達哉(29)=『アクタージュ act-age』原作者=は東京都中野区の路上で、自転車で女子中学生を追い抜く際に胸を触った。1件目の約1時間後には、別の路上で、もう一人の女子中学生に同様の行為をしたとされた。1件目の事件は被害者との示談が成立し不起訴処分となったが、2件目の事件で再逮捕・起訴された。

関連記事:マンガワンで何があった?常人仮面の打ち切り理由と配信停止・漫画家引き上げまでの経緯を時系列で解説

事態を重く見た集英社「週刊少年ジャンプ」編集部は、逮捕報道からわずか2日後の8月10日に「アクタージュ」の連載打ち切りを発表。8月11日発売の36・37合併号が最終掲載となった。同編集部は「事件の内容と、『週刊少年ジャンプ』の社会的責任の大きさを深刻に受け止め、このような決断に至りました」との声明を出した。この決定は、作品を支えてきた多くの読者に衝撃を与えた。

一連の措置は連載終了にとどまらない。集英社は8月17日、既刊のコミックス1巻から12巻を無期限の出荷停止とし、電子版も配信を停止。予定されていた13巻以降の新刊発売も中止となった。また、2022年に上演予定だった舞台「アクタージュ act-age 〜銀河鉄道の夜〜」も、企画したホリプロが中止を発表し、作品に関連する全ての展開が白紙に戻る。

関連記事:山本章一氏の漫画家としての経歴と堕天作戦から別名義「一路一」での活動に至る全容

刑事裁判では、2件目の強制わいせつ罪で起訴された松木に対し、東京地方裁判所が2020年12月23日、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。産経新聞の報道によれば、裁判官は「非のない被害者を理不尽にもストレスのはけ口にした」と指摘した。これにより、同作家のキャリアは一度、完全に途絶えた。

マツキタツヤ事件から現在までの経緯

日付出来事詳細
2020年6月18日強制わいせつ事件発生マツキタツヤ(29)=『アクタージュ act-age』原作者=が東京都中野区の路上で女子中学生2名に対しわいせつ行為。
2020年8月8日逮捕警視庁が強制わいせつの疑いでマツキタツヤを逮捕。
2020年8月10日『アクタージュ』連載打ち切り集英社が「週刊少年ジャンプ」での連載終了を発表。
2020年12月23日有罪判決東京地裁が懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡す。
2024年8月29日小学館編集部が接触執行猶予期間満了後、マンガワン編集者がマツキタツヤ名義のXアカウントに面会を打診。
2025年8月6日『星霜の心理士』連載開始「八ツ波樹」名義でマンガワンにて新連載を開始。
2026年3月2日別名義での活動が公表小学館が『星霜の心理士』の原作者がマツキタツヤ本人であることを公表し、連載を一時停止。

別名義で再起、小学館での活動が公に

有罪判決から約5年3カ月が経過した2026年3月2日、事態は新たな局面を迎える。小学館が、同社の漫画アプリ「マンガワン」で連載中の作品「星霜の心理士」の原作者「八ツ波樹(やつなみ みき)」が、マツキタツヤ本人であることを公表したのだ。この発表は、同アプリで連載していた「常人仮面」の原作者・山本章一(別名義・一路一)氏の不祥事を受けて進めていた社内調査の過程で明らかになった。

小学館公式サイトの発表によると、マンガワン編集部がマツキタツヤに接触したのは、執行猶予期間が満了した後の2024年8月だった。編集者がマツキ名義のX(旧Twitter)アカウントに連絡し、面会を打診。同年9月の面会で、編集部は事件に対する反省の姿勢や更生状況を確認した。その際、マツキ本人から「旧ペンネームで活動することによって被害に遭われた方々に事件に関する記憶を呼び起こすことなどを懸念し、二次加害に繋がらない状況での執筆活動を希望」する旨の発言があったという。

これを受け、編集部は「八ツ波樹」というペンネームでの活動を認める判断をした。小学館は起用の理由について、担当心理士が「心的療養、更生が十分になされている」と判断していたことなどを挙げ、「社会復帰を目指すことは否定すべきではないと編集部は判断しています」と説明した。この事実は、編集部内のごく一部でのみ共有されていた。

「星霜の心理士」は2025年8月から連載が始まっていた。しかし、今回の公表と同時に、小学館は同作の更新を一時停止すると発表。一連の原作者起用問題について、外部の専門家による第三者委員会を設置し、判断の妥当性を検証する方針を示した。

二人の作画担当、分かれた対応

一連の経緯の中で、二つの作品で作画を担当した漫画家の立場は対照的だった。

『アクタージュ act-age』で作画を担当した宇佐崎しろ=『アクタージュ act-age』作画=は、事件によって突然代表作を失う形となった。事件発覚後、国内外のファンから宇佐崎を心配する声が相次ぐ。同氏は2020年8月24日、自身のX(旧Twitter)で声明を発表。「作品を惜しむ声が被害に遭われた方に対しての重圧となることは、絶対に避けるべきことです」「被害に遭われた方が声を上げたこと、苦痛を我慢して痴漢行為や性犯罪に対して泣き寝入りしなかったことは決して間違いではありません」と述べ、被害者への配慮を強く求めた。この誠実な対応は多くの支持を集めた。宇佐崎はその後、複数の読切作品を経て、2024年9月から週刊少年ジャンプで『魔男のイチ』(原作:西修)の作画担当として新たな連載を開始している。

一方、『星霜の心理士』で作画を担当する雪平薫=『星霜の心理士』作画=は、小学館によると、原作者の過去や経緯について事前に説明を受けていた。小学館は「世間にこの事実が知られた場合のご自身に降りかかりうる様々なリスクなどをご承知の上」で、雪平が作画依頼を受諾したと説明している。雪平は「漫画(原作)を読んで涙が出たのは生まれてはじめてで、これは自分が描くべき作品だと感じた」と語ったとされ、今回の公表後も連載と作画の継続を希望しているという。

しかし、小学館の「常人仮面」を巡る問題では、作画担当者に原作者の過去が知らされていなかったことが明らかになっており、編集部の対応の一貫性に疑問の声が上がっている。

「被害者配慮」の是非、出版社の倫理が問われる

小学館は、マツキタツヤのペンネーム変更を「被害に遭われた方々への配慮が最大の理由」と説明した。しかし、その判断が結果的に読者を欺く形になったのではないか、との批判は免れない。小学館自身も発表の中で「この方法が本当に『被害者配慮』になっていたのか、被害に遭われた方々をより傷つけてしまうのではないかという点については、マンガワン編集部は更に熟慮すべきだった」と、判断の甘さを認めている。

XなどのSNSでは、小学館の対応に対し「被害者への配慮というならそもそも再起用すべきではない」「読者への裏切りだ」といった厳しい意見が多数投稿された。一方で、「更生の機会を奪うべきではない」という意見もあり、賛否が分かれた。

この問題は、一人の作家の処遇にとどまらない。過去に罪を犯したクリエイターの社会復帰をどう考えるべきか。そして、作品を提供する出版社は、読者や被害者、関係者に対してどのような倫理的責任を負うのか。業界全体に重い問いを投げかける。

今後の行方と第三者委員会の役割

小学館は2026年3月2日、「星霜の心理士」の更新を一時停止すると発表した。今後の連載再開については未定で、設置される第三者委員会の調査結果が大きな判断材料となる。同委員会は、一連の原作者起用のプロセスや編集部の人権意識について検証し、再発防止策を提言する役割を担う。

この問題は出版業界全体に影響を及ぼす。小学館は、一連のマンガワン編集部の問題を受け、3日に開催予定だった第71回(2025年度)小学館漫画賞の贈賞式を延期する決定を1日に発表した。作家の才能と個人の罪、そして出版社の社会的責任。その複雑な関係性が、今、厳しく問われている。

「アクタージュ」という類いまれな才能を描いた作品は、原作者自身の過ちによって未完のまま封印された。そして今、その原作者が別名義で描こうとした新たな物語もまた、過去の事件と出版社の判断によって、その先行きが不透明な状況だ。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ライフハック/実用

More

グルメ

More

エンタメ

More

社会/ニュース

マツキタツヤは何をしたのか アクタージュ原作者の経歴と事件から現在までの経緯

マツキタツヤは何をしたのか アクタージュ原作者の経歴と事件から現在までの経緯

マツキタツヤ(松木達哉)は2020年に女子中学生への強制わいせつで有罪判決を受け『アクタージュ』が打ち切りに。2025年には「八ツ波樹」名義で小学館マンガワンから新連載『星霜の心理士』を開始するも、2026年3月に本人と公表され連載一時停止...
More
Return Top