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那須川天心「武尊選手はすごいテクニックがある選手」― 武尊引退試合 vs ロッタン戦に込めた想いと業界への警鐘

那須川天心「武尊選手はすごいテクニックがある選手」― 武尊引退試合 vs ロッタン戦に込めた想いと業界への警鐘

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プロボクサーの那須川天心が4月29日の武尊引退試合を前にU-NEXTのYouTube格闘技チャンネルのインタビューに応じた。かつて「トラウマ」と呼んだ武尊について率直な感情を語り、ロッタンには「ナメている雰囲気」があると分析。キック業界への警鐘も鳴らしている。

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U-NEXTのインタビューに応じた天心の異例の発言

プロボクサーの那須川天心が28日までに、翌29日に有明アリーナで開催される「ONE SAMURAI 1」を全試合ライブ配信するU-NEXTのYouTube格闘技チャンネルに出演した。メインイベントで引退試合に臨む武尊とロッタン・ジットムアンノンのONEフライ級キックボクシング暫定世界王座戦を前に、かつてのライバルへの率直な想いを語っている。

対戦カードはONEフライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦。会場は東京・有明アリーナ。29日13時15分よりU-NEXTが独占ライブ配信し、同日22時からフジテレビ系列でディレイ放送される番組名は「U-NEXT presents ONE SAMURAI 1 ~武尊引退試合 運命のリベンジマッチ~」だ。

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インタビューを受けた理由について、天心は動画内で「武尊選手とも試合をしているし、キックボクシングを作ってきた第一人者だと思うので、最後に少し花を添えられればいいなと思って受けた」と語っている。現在はボクシングに転向した天心だが、キックは「めちゃくちゃ見ている」と明かし、弟・那須川龍心が出場するRISEや元主戦場のK-1も目に入るものはチェックしているという。

「THE MATCH 2022」から4年、交差した2人の軌跡

RISEの天心とK-1の武尊は2010年代のキックボクシング界を牽引した両雄だ。両者の対戦は長年実現せず、団体契約の壁が立ちはだかった。2022年6月19日の「THE MATCH 2022」東京ドーム大会でようやく激突。天心が1ラウンドに左ストレートでダウンを奪い、3ラウンド5-0の判定で勝利した。

試合後、天心はキックを卒業してボクシングへ転向する。武尊は天心へのリベンジの道が閉ざされ、過去に天心を最も追い詰めた相手であるロッタンを次の標的に据え、戦いの舞台をK-1からONEに移した。

2025年3月23日、さいたまスーパーアリーナで行われた「ONE 172」。武尊はロッタンと初対決するも、1ラウンド80秒で左フックを被弾しKO負け。キャリア最大の敗戦だった。そこから立ち直り、引退試合として再戦の舞台に立つ。

天心が語る武尊像とロッタン分析 ― 「テクニックがすごい選手」

天心は動画内で武尊を「本当の意味での全部を背負って戦いに行っているファイター」と評している。自分は「1人のタイプ」、武尊は「全てを巻き込んで、全ての感情と共に、ネガティブな要素も全部取り入れて試合に挑むタイプ」だと分析。例えとして「武尊選手は大きな企業、自分はベンチャー」「ジムも自分でオープンして、みんなで一緒にという感覚の選手。人を信じることがベースの人」と語った。

相手のロッタンについては「破壊力も技術もあるが、本当に強いのは防御や避ける動き、ムエタイの基本技。体が柔らかい選手」と見る。ONEのルールに適応し、KOボーナスや観客を盛り上げる意識から「より攻撃的になった」と変化も指摘。他のムエタイ選手との違いは「パンチの技術が格段にあること」で、「ジャブも突けるし、ボディもアッパーもフックも何でも打てる多彩さ」が一番厄介だという。

武尊の強さの核心はどこにあるのか。「打たれ強さばかり言われるが、武尊選手はテクニックがすごくある選手」と天心は動画内で語っている。三日月蹴りなどで組み立て、そこからパンチにつなぐスタイルは「タイプ的には自分と一緒」だと明かした。

人の心を動かせる理由については「人間味がしっかりあるところ」と分析。「みんな綺麗に見せようとしすぎる。格闘家は社会不適合者なのに、適合しようとしすぎる」とした上で、「武尊選手は自分の弱さや足りない部分も含めて人間性を出すし、信念がぶれない。だから応援される」と続けた。

SNSの批判と「武尊を逃れずやっている」という評価

SNS上では武尊への批判が目立つ時期があった。天心は動画内で「今の時代は起こっている現象しか見ない。文脈を読み取れない人が多い」と苦言を呈している。自分は批判には触れないタイプだと前置きしつつ、「武尊選手はあえて全部触れに行く。中途半端でなく全部やる。最後まで武尊を逃れずやっている」と評価した。

文句を言う人に対しては「なぜここで輝けているのか、この舞台を作ったのは誰なのか、まず自分に聞いてみてから言った方がいい」と語っている。

ロッタンを引退試合の相手に選んだ判断についても「小心証明(初心証明)の本物のファイター」「強い相手と戦うのが本当の格闘家のあるべき姿」と称賛。負けた相手との再戦を「競技的におかしい」と批判する声には「みんなそういう目線で武尊を見ていない。競技を超えた場所にいる。”ONE”という名前より”武尊”という名前の方が強い」と反論した。

業界への警鐘 ― 「正直、夢があるかと言ったらない」

引退試合への想いとして、天心は「武尊選手には思い詰めてほしくない」「勝とうが負けようが、本当にやって良かったと思える試合をしてほしい」と述べている。

武尊がいなくなることでキック界は一度落ち着くだろうと予測した上で、「これは占いみたいに聞いてほしい」と前置き。「正直、夢があるかと言ったらない。選手の問題ではなく、団体のトップがしっかりしないと。MMAなど他競技に流れる選手が多い時点でキックボクシングに夢がないと言われているようなもの」と業界のあり方にも踏み込んだ。

「最後のピースが武尊選手だなと思っている」。そう天心は語っている。

試合展開の予想は明言を避けた。「今回のロッタンに関しては、今までと違ってチャンスがあると思う。試合前から少し舐めている感じ、”1、2ラウンドはボクシングだけで戦う”という宣言もそう。そういう時って決まりやすい。武尊選手はその隙を突く力を持っている」。変なものを背負わず、ロッタンだけに集中してほしい――そうエールを送った。

なお、ロッタンは3月30日、都内の宝生能楽堂で開催された 『ONE SAMURAI 1キックオフカンファレンス』で 『やれることはやってきたし、武尊選手のスタイルは入念に調べてきました。 彼のスタイルは知り尽くしています』と語った。

トラウマから「ありがとう」へ ― 天心にとっての武尊

インタビューの終盤、天心は武尊について率直な感情をさらけ出した。「当初は本当にトラウマの相手。マジでいなくなってほしいとずっと思っていた。だって俺より輝いていたから」。キックでどれだけ試合をしても武尊はテレビに出ていた。自分にとっての「物差し」だったという。

THE MATCHを経て、ボクシングに転向してから初めて生まれた感情がある。「ありがとう」だ。「人を本当に許せた時が、強くなった証だと思う。武尊選手が何を言っても変な感情がなくなった。本当に戦えてよかったと思えたし、呪縛から解放された」と語った。

キックボクシングの外側に行ったからこそ見える景色がある。「武尊選手が1人で頑張っているように見える。ライバルがいたから格闘技は盛り上がるし、ストーリーが生まれる。武尊選手がいたからこそ大きい大会もできた。手伝えることはないかな、という気持ちになった。だから報われてほしい」。

そして天心はこう結んだ。「日本のキックボクシング=武尊だと思っている。キックボクシングの一つの終わる瞬間を見届ける。文句を言わず、キック業界にいる人、キックをずっと見てきた人は見届ける義務があると思う」――。

4月29日、有明アリーナ。武尊とロッタンの再戦のゴングが鳴る。

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[文/構成 by 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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