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坂本花織、現役最後のフィギア世界選手権で優勝「やり切れた」涙の4度目V

坂本花織、現役最後のフィギア世界選手権で優勝「やり切れた」涙の4度目V

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

フィギュアスケートの世界選手権は27日、チェコ・プラハで女子フリーが行われた。今季限りで現役を退く坂本花織(25)=シスメックス=が合計238.28点の自己ベストで優勝した。世界選手権の制覇は2年ぶり4度目で、日本勢最多記録を更新。2月のミラノ・コルティナ五輪での銀メダルの悔しさを晴らし、有終の美を飾った。

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自己ベスト更新で飾った現役最後の舞台

ショートプログラム首位で迎えた27日のフリー。最終滑走の坂本は「愛の讃歌」のメロディーに乗せ、すべてのジャンプを着氷するノーミスの演技を披露した。フリーの得点は158.97点。合計238.28点とともに自己ベストを4年ぶりに塗り替える圧巻のパフォーマンスだ。

演技を終えた瞬間、両手で力強くガッツポーズを作った。あふれる涙を拭いながら、総立ちの観客席へ向かって何度も手を振る。暫定首位の席で戦況を見つめていた千葉百音(20)=木下グループ=も立ち上がり、涙ぐみながら先輩に拍手を送っていた。千葉は合計228.47点で2位に入り、日本勢がワンツーフィニッシュを決めている。

坂本の世界選手権優勝は2024年大会以来で、通算4度目となる。浅田真央の3度を上回り、日本勢の単独最多記録を打ち立てた。

五輪の悔しさをバネに挑んだプラハのリンク

2月のミラノ・コルティナ五輪で、坂本はフリーの後半にジャンプのミスが出た。優勝したアリサ・リュウ(米国)にわずか1.89点及ばず、銀メダルに終わる。当初は五輪を花道にする青写真を描いていた。

だが、不完全燃焼の思いが彼女を再びリンクへと向かわせる。「オリンピックでやりきれなかった」という心残りを払拭するため、世界選手権への出場を決断した。チェコは2013年に自身が初めてジュニアグランプリシリーズに出場した国でもある。当時の開催地はオストラバで、国際スケート連盟の公式サイトによると、坂本は当時の観客の少なさを振り返りつつ、満員の会場で滑る喜びに触れた。

重圧と戦い続けた4年間だった。2022年に初の世界女王となって以降、常に追われる立場を経験する。自分に求めるレベルも自然と高くなり、苦悩する日々も少なくなかった。

「晴れやかな気持ち」涙とともに語る充実感

重荷を下ろした表情は明るかった。試合後の記者会見で、坂本は今シーズンが想像以上に過酷だったと明かす。

「思った結果にならなかったり、出来にならなかったりっていうことの方が多かった」。サンスポの取材にそう振り返り、最後の金メダル獲得に安堵の表情を見せる。「晴れやかな気持ちで競技から退ける。今はすごく幸せ」と喜びを口にした。

長年指導してきた中野園子コーチも教え子をたたえる。同紙に対し「普通の人ならできない。肝心な時は精神力が強い人」と評価した。自分自身に打ち勝ち、納得のいく終わり方を迎えることが指導者としての最大の願いだったという。

SNSで広がる称賛と後輩スケーターへの影響

歴史的な快挙に、インターネット上でも感動の輪が広がった。X(旧Twitter)では演技直後から関連ワードがトレンド入りする。

「最高のラストダンス」「もらい泣きした」といった投稿が相次いだ。長年のライバルや海外のスケートファンからも、これまでの功績をたたえるメッセージが多数寄せられている。米国代表のアンバー・グレンも、ショートプログラム後の会見で坂本の存在の大きさを称賛していた。

背中を追い続けた後輩たちへの影響も計り知れない。今大会で2位に入った千葉は、合計220点を超える目標を達成した。来季に向けてさらに強くなって戻ってきたいと前を向く。9位となった中井亜美(17)=TOKIOインカラミ=も、五輪からの調整の難しさを経験しつつ、最後まで笑顔で滑り切る強さを見せた。

指導者の道へ進む25歳が残した大きな足跡

次回以降の大会で、リンクに立つ坂本の姿を見ることはもうない。2025年6月の段階で、26歳になる年を区切りとして現役を退く意向を示していた。

今後はインストラクターとして後進の育成に力を注ぐ予定だ。朝日新聞の報道によると、当面はアイスショーなどに出演しながら、最終的には指導者の道へ進むという。長年日本の女子フィギュア界を牽引してきた経験は、次世代の選手たちにとってかけがえのない財産となる。

一つの時代が幕を閉じた。五輪で4つのメダルを獲得し、世界選手権を4度制したスケーターは、自らの手で最高のエンディングを書き上げる。プラハのリンクに響き渡った万雷の拍手は、彼女の新たな門出を祝うエールだ。

[文/構成 by たかなし もか]

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