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依田謙一がジブリ新社長に就任へ 読売新聞から日テレを経た経歴と手腕とは

依田謙一がジブリ新社長に就任へ 読売新聞から日テレを経た経歴と手腕とは

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スタジオジブリは2026年5月14日、代表取締役社長の福田博之が退任し、後任に取締役の依田謙一(51)が就任すると発表した。就任日は6月22日の株主総会後を予定する。依田は読売新聞から日本テレビに転じ、舞台「となりのトトロ」ロンドン公演や「金曜ロードショーとジブリ展」のプロデューサーとして手腕を発揮してきた人物だ。

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日テレ社長の兼務体制に区切り、「現場に近い」新トップへ

スタジオジブリは5月14日、公式サイトで社長交代を発表した。日本テレビホールディングス代表取締役社長の福田博之が兼務してきたジブリ社長の座を退き、後任に現取締役の依田謙一が就く。6月22日開催予定の株主総会終結後に正式就任する。

公式発表では交代の理由をこう説明する。「日本テレビとスタジオジブリの業務協力関係に一定の成果を得ることができました」。その上で「より現場に近いレベルで共同して様々な取り組みを模索していきます」と記した。福田は取締役として残留し、その他の役員構成に変更はない。

なぜ今なのか。

2023年10月、日本テレビはジブリの議決権42.3%を取得し子会社化した。背景にあったのは後継者問題だ。宮崎駿監督が当時82歳、プロデューサーの鈴木敏夫が75歳。長男の宮崎吾朗も「ジブリは1人の人間が背負うには大きな存在になりすぎた」と後継を固辞していた。長年のパートナーである日テレが経営面を引き受ける形で、創作活動を守る道を選ぶ。

子会社化から約2年半が経つ。日テレ社長が兼務する体制は、バックアップの仕組みづくりに一定の役割を果たした。次の段階として、ジブリの現場を熟知する実務者にバトンを渡す判断だ。

読売新聞15年、日テレ転身後にジブリの”主担当”へ

依田謙一は1974年8月14日生まれ。早稲田大学では広告研究会に所属し、テレビプロデューサーの佐久間宣行と同期だった。1999年4月に読売新聞東京本社へ入社する。約15年間を新聞社で過ごした後、2014年12月に日本テレビへ移った。

日テレではコンサート、展覧会、舞台といったイベント事業を手がける。中でも大きな転機となったのが、舞台「となりのトトロ」のプロデュースだ。久石譲がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、英国の名門ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)と日テレが共同制作したこの舞台は、2022年10月にロンドンのバービカン劇場で初演を迎える。全118回で13万3000枚のチケットが完売した。

2023年4月、英国演劇界で最も権威あるローレンス・オリビエ賞で最多6冠を達成。最優秀作品賞、演出賞、衣装デザイン賞、舞台美術賞、照明デザイン賞、音響デザイン賞を総なめにする。依田は受賞に際し「久石譲さんの音楽と、宮崎駿さんの映画は、これまでもこれからも私たちの誇りです」とコメントを寄せた。

2025年3月にはウェストエンドで無期限ロングラン公演が開幕。依田は「日本で生まれた作品が無期限ロングランに挑めることは光栄」と語っている。日本発のアニメ作品が英国の舞台で長期公演を続ける。その道筋をつけたのが依田だった。

「金曜ロードショーとジブリ展」全国巡回の仕掛け人

依田は舞台に加え、「金曜ロードショーとジブリ展」のプロデューサーも務める。2023年6月に東京・寺田倉庫で始まったこの展覧会は、ジブリ作品の歴史を金曜ロードショーの放送とともに振り返る構成だ。全国各地を巡回し、2026年5月時点では愛媛で開催している。

依田は読売新聞の取材に「ジブリ作品には時代時代に抱えていた課題が鏡のように映っている」と語った。展覧会のコンセプトについては「一番最初に考えたのが楽しんでもらうこと」と明かす。堅苦しい回顧展ではなく、体験型の展示で幅広い層を引き込む狙いがある。

ラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」(TOKYO FM)にも制作スタッフとして長年関わり、ゲスト出演も重ねてきた。鈴木との距離の近さは、ジブリの内部事情を知る人物として依田が選ばれた理由の一つだろう。

新体制の役員構成と鈴木・宮崎の立場

6月22日以降の役員構成は以下の通りだ。

役職氏名備考
代表取締役議長鈴木敏夫映画プロデューサー
代表取締役社長依田謙一日本テレビ コンテンツ戦略本部事業局
代表取締役副社長中島清文ジブリパーク副社長
取締役名誉会長宮崎駿アニメーション映画監督
常務取締役宮崎吾朗アニメーション映画監督、ジブリパーク監督
取締役杉山美邦日テレHD代表取締役会長
取締役福田博之日テレHD代表取締役社長
取締役村瀬拓男弁護士
監査役吉江優介日テレ社長室経営企画部

鈴木敏夫は代表取締役議長として引き続き経営の中枢に残る。宮崎駿は取締役名誉会長。創作の柱である2人の立場は変わらない。依田が担うのは、あくまで経営と事業の実務だ。

佐久間宣行「18からの友達がジブリの社長になる未来とかあんだなー」

社長交代の発表を受け、テレビプロデューサーの佐久間宣行(50)が自身のXを更新した。「18からの友達がジブリの社長になる未来とかあんだなー」。早稲田大学の広告研究会で出会った同期への率直な感慨がにじむ。

佐久間は以前から依田との関係を公言してきた。ラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」にも依田とともにゲスト出演し、「ジブリLOVEまみれ」と題した恒例企画で毎年トークを繰り広げる。2人の交友は30年以上に及ぶ。

Xでは「汗まみれでもお馴染みの依田さんが社長就任かぁ」といった投稿も見られた。ラジオのリスナーにとって、依田は声で知る存在だ。その人物がジブリのトップに立つことへの親しみが広がる。

短編新作にIMAX上映、新社長を待つ課題と展望

依田が社長に就任する2026年夏、ジブリには複数のプロジェクトが控える。宮崎吾朗監督の短編アニメ「魔女の谷の夜」が7月8日からジブリパークで上映を開始する。「魔女の宅急便」の4KデジタルリマスターIMAX上映も6月19日に始まる予定だ。

舞台「となりのトトロ」のロンドン公演は2026年8月まで延長が決まっている。「金曜ロードショーとジブリ展」の全国巡回も続く。依田がプロデューサーとして育ててきた事業を、今度は社長として統括する立場になる。

ジブリが抱える課題は明確だ。宮崎駿は85歳、鈴木敏夫は77歳。創業者世代からの移行をどう進めるか。日テレとの協力関係をどこまで深めるか。IP展開と創作活動のバランスをどう取るか。読売新聞で15年、日テレで12年。メディアの現場を歩いてきた51歳の新社長が、その答えを出す番だ。

[文/構成 by さとう つづり]

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