ハウスメーカー倒産が9割増 契約中に倒産したら家と支払い済み代金・ローンはどうなるか

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2026年上半期のハウスメーカー倒産件数は118件で、前年同期比87.3%増加した。13年ぶりに100件を超え、建設コスト高騰と人手不足が主要因だ。万が一契約中に倒産しても、住宅完成保証制度と住宅瑕疵担保責任保険で一定の保護が受けられる。ただし支払い済み代金は全額戻らない可能性が高く、ローン返済は続く。
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ハウスメーカー倒産が急増、前年比87.3%増
2026年上半期(1~6月)にハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産件数は118件に達した。東京商工リサーチが7月17日に発表した統計だ。前年同期比87.3%増で、2倍近くに跳ね上がった。業界全体の深刻な経営危機を映し出している。
この数字は単なる増加ではない。1989年以降では、デフレ期の2004年の198件が過去最多だが、上半期で100件を上回ったのは2013年以来13年ぶりだ。この13年間の経営環境の変化の激しさが一つの数字に凝縮されている。
倒産の主要因は建築資材の高騰と人手不足だ。1棟あたりの平均販売価格は既に3000万円台が標準になった一方、金利上昇で購買意欲は冷え込み、受注減少と経営圧迫が悪循環を生み出している。帝国データバンクによると、2025年の建設業全体の倒産件数は前年比6.9%増の2021件で、4年連続で前年を上回った。2013年以来12年ぶりに2000件を超える厳しい状況だ。
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契約中に倒産したら何が起きるか
契約を結んだ後、建築工事の途中でハウスメーカーが倒産した場合、施主が直面する最大の問題は次の3つだ。
**支払ったお金の行方**。契約金や中間金として支払った代金は、会社の資産分配で最後順位に回される。銀行融資、税金、従業員給与が優先され、残ったお金があれば返金される。多くのケースで資材仕入れや下請け業者への支払いに既に使われており、施主への返金はほぼ見込めない。結論から言えば支払い済み代金は全額戻らない前提で考えるべきだ。
**工事は中断される**。倒産時点で現場は工事を中止する。建築会社が破産手続きに入った場合、破産管財人が契約を解除するか続行するか判断する。多くは解除されるため、施主は新たな建築会社を自力で探さねばならない。既に使われた資材は劣化し、新しい会社による施工では追加費用がかかる。完成予定が延びれば、その間の仮住まい費用や子どもの入学に間に合わないといった二次的な被害も発生する。
**住宅ローンは返済し続けなければならない**。倒産で工事が止まっても、ローン返済義務は消えない。つなぎ融資で着工金や中間金を払っていた場合、完成していない家のために金融機関への返済を続ける二重負担が待っている。金融機関に相談すれば一時的な返済猶予や計画変更には応じてもらえるが、返済自体の免除はほぼ認められない。
契約を保護する2つの制度
ハウスメーカー倒産に対しては、2つの保証制度が用意されている。
**住宅完成保証制度**は、倒産時に前払い金と増嵩工事費用を保証するサービスだ。対象は請負金額3600万円までの一戸建て注文住宅で、保証限度額は複雑に見えるが仕組みを理解すれば明確だ。
具体例で説明する。2000万円の契約の場合、前払い金は請負金額の30%(600万円)か1100万円のいずれか低い方で600万円が上限となる。増嵩工事費用は請負金額の10%(200万円)か200万円のいずれか高い方で200万円が上限となる。重要なのは、前払い金と増嵩工事費用を合計した総保証額が、請負金額の30%(600万円)か1100万円のいずれか低い金額を超えないということだ。つまり2000万円の契約では、保証される合計額は最大600万円であり、その内訳が前払い金か増嵩費用かは実際の損失に応じて配分される。
さらに保証会社は工事を引き継ぐ施工会社を紹介してくれる。施主が自力で新しい会社を探す手間が省け、比較的スムーズに工事再開できるのが大きなメリットだ。ただしすべてのハウスメーカーが加入しているわけではなく、契約時に確認が必須だ。保証料は1棟あたり10万円だ。
**住宅瑕疵担保責任保険**は、完成後の不具合に対応する制度だ。新築住宅の建築会社には加入が義務づけられており、柱や梁などの構造部分と雨漏りを防ぐ部分に不具合が生じた場合、保険金から修理費用が支払われる。工事中に倒産しても、着工前に保険に加入していれば、引き継ぎ先の施工会社も同じ保証を利用できる。加えて、完成後10年は法律で建築会社に保証義務がある。倒産後でも、この法的保証と保険でカバーされる仕組みだ。
倒産時の法的対応と破産管財人の役割
倒産時の対応は、破産、民事再生、会社更生のいずれかの手続きに左右される。
破産開始決定が下された場合、破産管財人は請負契約の解除か債務履行(工事続行)かのいずれかを選択できる。施主が管財人に対して解除か履行かを確認する催告をしても、一定期間内に返答がなければ自動的に解除されたものとみなされる。
民事再生や会社更生の場合は、管財人や再生債務者が判断するが、工事が続行される保証はない。契約解除される場合も多い。この場合の前払い金は、破産債権となり、財団不足なら全額支払われない。民事再生・会社更生でも共益債権として再生債権より優先されるが、不足分は弁済されない可能性がある。
施主の選択肢は限定的だ。自分で建築会社に解除意思を伝えるか、倒産手続きを通じて管財人に催告することになる。前者は債務不履行解除などの要件確認が必要で、後者は倒産手続きに沿った対応になる。複雑な法的判断が必要なため、弁護士への相談が推奨される。
2025年5月の新潟市ニコハウス破産事例
2025年5月、新潟市江南区の住宅建築会社「ニコハウス」が事業停止と自己破産を申請した。5月15日に事業を停止し、5月23日に破産手続きが開始された。
複数の施主が被害を受けた。2024年12月に契約した施主夫妻は2000万円を超す契約金を支払ったが、工事は着手直後に停止した。会社からの返金も説明もなく、当初の期待は崩れ去った。ニコハウスのケースは、倒産リスクが「他人事ではない現実」を示している。
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一方で、同じく2026年7月に民事再生法を申請した千代田区のアエラホーム(株)は異なる結果を生んだ。この会社では弁護士や金融機関、コンサルタントが施主の権利保護に奔走した結果、金融や商取引債権者には被害が及ぶものの、施主への波及は防がれた。企業規模や周囲の支援体制が被害の度合いを左右する。
契約時にすべきこと
契約前の確認事項は絞られているが、極めて重要だ。
第一に、住宅完成保証制度への加入の有無を確認することだ。加入している会社は、保証会社の審査を通過した経営安定企業と判断できる。3年間の決算報告書提出による財務内容のチェック、建設業許可の有無、過去3年以上の住宅建設実績5棟以上といった厳しい基準をクリアしている。保証内容と上限額も必ず書面で確認しておく。
第二に、住宅瑕疵担保責任保険がいつ加入されるのかを尋ねることだ。着工前の早い段階で加入され、現場検査を受けることが重要だ。
第三に、契約書に記載されている支払いスケジュールを吟味することだ。異なるハウスメーカー同士の見積もりを比較し、極端に安い条件や不自然な支払い方は避けた方が賢明だ。
倒産リスクが高い会社は、資金繰りの悪化を隠すため、契約時に着工金として総額の50%以上を前払いさせたり、完成予定を無理に短縮したりする傾向がある。支払い条件が標準的か(通常は契約金・中間金・完成金の3分割)、見積もりが相場から極端に外れていないか、工期が現実的か、建築現場が複数あるか、社員の入れ替わりが多くないかといった点を確認する。こうした不自然な条件は要注意だ。
万が一の倒産に備えることは、単なる用心ではなく、マイホーム購入という人生最大級の決断を守るための必須ステップなのだ。
[文/構成 by たかなし もか]



























































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