大野雄二さん84歳で逝去 輝かしい経歴と「ルパン三世のテーマ」だけじゃない、犬神家などの1200曲の偉業と代表曲を振り返る

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作曲家・ジャズピアニストの大野雄二さんが2026年5月4日、老衰のため逝去した。84歳。所属事務所のオフィスオーガスタが13日に発表した。「ルパン三世のテーマ」や映画「犬神家の一族」「人間の証明」など膨大な楽曲を残し、葬儀は近親者で済ませた。5月30日のビルボードライブ東京公演は本人の意向で予定通り行われる。
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就寝中に安らかに、84歳で旅立った巨匠
作曲家でジャズピアニストの大野雄二さんが、5月4日に老衰のため亡くなった。84歳。所属事務所の株式会社オフィスオーガスタが13日、公式に発表した。
事務所の発表文では「直前まで普段と変わらず過ごしており、就寝中に苦しむことなく安らかに旅立ちました」と最期の様子を伝える。葬儀と告別式は遺族の意向で近親者のみで執り行ったという。後日、お別れの会を開く予定。
5月30日にビルボードライブ東京で予定する大野さんプロデュース公演「Lupintic All Stars Produced by YUJI OHNO」については、生前から本人が準備を進めていたため、予定通り開催する。奇しくも、5月30日は大野さんの85歳の誕生日にあたる日だった。
熱海生まれの少年が「慶應のピアノ三羽烏」と呼ばれるまで
大野さんは1941年5月30日、静岡県熱海市生まれ。父は元衆議院議員の大野市郎で、その次男として育つ。小学校でピアノを始め、慶應義塾高校時代には独学でジャズを学んだ。
慶應義塾大学法学部政治学科に進むと、名門ビッグバンド「ライト・ミュージック・ソサイエティ」に所属する。後に作曲家として一時代を築く筒美京平もこのバンドの先輩格として知られ、大野は学外でも頭角を現す。同時期、ジャズピアニストの鈴木”コルゲン”宏昌、佐藤允彦とともに「慶應のピアノ三羽烏」のひとりに数えられた。前田憲男に師事した経験も大きい。
大学在学中にプロ入りし、藤家虹二クインテットでジャズピアニストとしてデビュー。白木秀雄クインテットを経て自らのトリオを結成する。ここまでが大野さんの第一章だ。
転機は1970年代前半。演奏家として活動を一時休み、作曲家業に専念した。CM音楽を膨大に手がけながら、テレビドラマや映画の劇伴へと活動の幅を広げる。
「犬神家」「人間の証明」「ルパン」、1976〜78年に集中した名作群
1976年、市川崑監督が手がけた角川映画第1弾「犬神家の一族」の音楽を担当。横溝正史原作のおどろおどろしい世界に、ジャズの素養を持つ作曲家が独特の旋律をつけた。これが映画音楽家としての大きな評価につながる。
翌1977年、自身のライフワークとなる仕事が始まる。テレビアニメ「ルパン三世」の第2シリーズで音楽を担当し、世に知られる「ルパン三世のテーマ」が誕生した。同じ1977年には角川映画「人間の証明」、1978年には「野性の証明」、そして日本テレビ系ドラマ「大追跡」と、後世に残る代表作が立て続けに生まれた。
当時の仕事量は尋常ではない。Wikipediaなど各種資料によれば、ルパン三世1シリーズで200曲規模の楽曲を制作し、新シリーズのたびに1日15時間を作曲・編曲に費やしたこともあるという。
その代表的な仕事を整理すると、こうなる。
| 年 | 作品 | 区分 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1976 | 犬神家の一族 | 映画音楽 | 市川崑監督・角川映画第1作 |
| 1977 | 人間の証明 | 映画音楽 | 主題歌「人間の証明のテーマ」(ジョー山中) |
| 1977 | ルパン三世(PART2) | テレビアニメ | 「ルパン三世のテーマ」誕生 |
| 1978 | 野性の証明 | 映画音楽 | 主題歌「戦士の休息」(町田義人) |
| 1978 | 大追跡 | テレビドラマ | 日本テレビ系・松田優作主演 |
| 1979 | マー姉ちゃん | NHK連続テレビ小説 | 明るいオープニングが印象的 |
| 1982 | スペースコブラ | テレビアニメ | 主題歌「コブラ」を担当(劇中音楽は羽田健太郎) |
| 1980年代〜 | NHK「小さな旅」 | 紀行番組 | 長く愛されるテーマ曲 |
大野さん自身のサウンドの特徴は、リリシズムにあふれたスケールの大きな響きにある。ジャズに根を持つホーンセクションと弦を組み合わせ、複雑な和声とリズムを融け合わせた。日本のフュージョン全盛の先駆けとも評される。
事務所の発表全文と、ライフワークの軌跡
13日に出された発表文には、こうある。
弊社所属作曲家ジャズピアニストの大野雄二が、2026年5月4日 老衰のため永眠いたしました。享年84歳でした。1960年代初頭にジャズピアニストとしてデビューして以来、アニメ「ルパン三世」の音楽をはじめ、数多くの作品を世に送り出し、長年にわたり音楽業界の発展に寄与してまいりました。
弊社所属作曲家ジャズピアニストの大野雄二が、2026年5月4日 老衰のため永眠いたしました。享年84歳でした。1960年代初頭にジャズピアニストとしてデビューして以来、アニメ「ルパン三世」の音楽をはじめ、数多くの作品を世に送り出し、長年にわたり音楽業界の発展に寄与してまいりました。
事務所の言葉どおり、晩年の大野さんは作曲のフィールドを「ルパン三世」とNHK「小さな旅」に絞り、再びプレーヤーに軸足を戻している。2006年に「Yuji Ohno & Lupintic Five」を結成し、2016年には新編成の「Yuji Ohno & Lupintic Six」へと発展。大野雄二トリオでの活動とあわせ、全国のジャズクラブやホール、ロックフェスにまで足を運んだ。
2022年3月に体調を崩して入院。約2年の療養を経て、2024年5月にライブ活動を再開した。ただし復帰後はステージで演奏することはなく、編曲とプロデュースに専念する形をとっていた。
初代ルパン役の声優・山田康雄との親交はよく知られる。山田の死後、一時はルパンの音楽担当を辞すも、翌年には戻った。「ルパンとともに歩む作曲家」という言葉は、誇張ではない。
1977年の「ルパン三世のテーマ」誕生から数えて、ほぼ半世紀。ライフワークと呼ぶにふさわしい長さだ。
SNSは追悼で埋まった、「これがアニメの曲?!」と言われた衝撃
13日昼、訃報が伝わるとXでは大野さんを悼む投稿が一気に並んだ。
あるユーザーは「コブラもルパンも当時はこれがアニメの曲?!
と言われるくらいかっこよくて、本当に大好きでした」と振り返り、神OPと評するアニメ動画を添えた。70年代後半から80年代、テレビアニメの音楽がジャズやフュージョンに彩られた衝撃を覚える世代は多い。
「ルパンⅢ世も犬神家も、そしてNHK小さな旅
の哀愁をおびたテーマも好きでした。朝ドラマー姉ちゃん
のごきげんなスキップを思わせる明るいOPもでしたね」。担当作品の幅広さに改めて気づく投稿もある。
「フルートを使った編曲がとても好きだった」と「小さな旅」の編曲面を惜しむ声、「昔の競輪の入場曲やファンファーレも大野さんが作曲だった」と地方競輪まで仕事が及んだことを思い出す投稿も流れた。
「ショックです…たくさんの名作をありがとうございました」。シンプルな感謝も多い。なぜこれほど長く愛されたのか。
答えは、聞いた人が「これは大野雄二だ」と一聴で分かるサウンドにある。ジャズの語法と分かりやすいフックを両立させた旋律は、世代を越えてもう一度耳に残り続ける。
5月30日、誕生日のステージは予定通り行われる
事務所が発表したとおり、5月30日のビルボードライブ東京公演「Lupintic All Stars Produced by YUJI OHNO」は予定通り開催される。生前に大野さん自身が準備を整えていた公演だ。
その日は、本来なら大野さんの85歳の誕生日にあたる。「お別れの会」については後日、改めて案内するという。
所属事務所はこう結ぶ。
その功績と音楽は、今後も色褪せることなく愛され続けていくものと確信しております。これからも多くの方々の心に大野雄二の音楽が残り続けることを願っております。
その功績と音楽は、今後も色褪せることなく愛され続けていくものと確信しております。これからも多くの方々の心に大野雄二の音楽が残り続けることを願っております。
ピアノに向かい、1日15時間を作曲に注いだ作曲家がいた。残った楽曲は、ルパンとともに、犬神家とともに、小さな旅とともに、これからも鳴り続ける。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]





























































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