上地結衣、インフルエンザで「10日間ほどテニスができていなかった」 アジアパラ前の会見で明かす

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
車いすテニス女子の上地結衣(32)=三井住友銀行=が10月15日、名古屋市内で開かれた愛知・名古屋アジアパラ競技大会の車いすテニス日本代表の記者会見に出席した。大会を前にインフルエンザにかかっていたことを明かし、「10日間ほどテニスができていなかった」と語った。体調はある程度戻っているといい、女子シングルスでは大会3連覇がかかる。
「初戦までにしっかりコンディションを整えたい」上地結衣が会見で明かした体調
会見で上地は、大会直前の調整が順調ではなかったことを自ら口にした。インフルエンザにかかり、「10日間ほどテニスができていなかった」と明かした上で、「初戦までにしっかりコンディションを整えたい」と慎重に話している。
一方で、悲観する様子はなかった。「ある程度普段通りの体調に戻すことができている」と現状を説明した。10月13日には、名古屋市内で行われた日本代表の事前合宿の公開練習に男子の小田凱人(東海理化)らとともに参加し、最終調整を進めている。
インフルエンザにかかった時期や症状の詳しい経過について、本人は会見で話した範囲以上のことを明かしていない。テニスから離れた約10日間をどう取り戻すか。残された時間は長くない。
日本初開催のアジアパラ、車いすテニスは10月19日から
愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会は、第5回のアジアパラ競技大会にあたる。アジアパラ競技大会は1975年に始まったフェスピック(極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会)を引き継いで2010年に始まり、日本での開催は今回が初めて。前身のフェスピックは1975年に大分、1989年に神戸で開かれている。10月18日に開会式を行い、閉会式の10月24日まで7日間にわたって開かれる。実施は18競技で、日本からは約280人の選手が全18競技に出場する予定だ。開会式に先立ち、10月16日にはバドミントン、ブラインドサッカー、卓球、車いすバスケットボールの4競技が先行して始まった。
車いすテニスの会場は名古屋市東山公園テニスセンター(名古屋市天白区)だ。1993年の開業以来、多くのテニス大会に使われてきた施設で、今大会に向けて改修された。競技日程は10月19日から10月23日まで。男女のシングルスとダブルスに加え、下肢に加えて上肢にも障害のある選手が出るクアードのシングルスとダブルスも行われる。
大会は大規模な選手村を建設せず、名古屋港ガーデンふ頭(名古屋市港区)に設けたコンテナ型の移動式宿泊施設とホテルに分かれて選手団が滞在する。日本選手団は10月12日からガーデンふ頭への入村を始めており、第一陣は車いすバスケットボール女子の選手たちだった。
上地にとって、日本で迎える初めてのアジアパラになる。「初めての日本での開催ということで、私自身今年の7月にですね、生涯ゴールデンスラムを達成することができて、初めて日本で戦える機会なので、応援してくださったたくさんの方々に一番良いパフォーマンスをお見せできるように頑張りたい」と言葉を重ねた。
7月にウィンブルドン初制覇、生涯ゴールデンスラムを手にした女王
1994年4月24日、兵庫県生まれ。先天性の潜在性二分脊椎症があり、11歳で車いすテニスを始めた。身長143cmの小柄な体で世界と渡り合い、高校3年で出場した2012年のロンドン・パラリンピックでは8強入り。2014年の全仏オープンで四大大会のシングルス初優勝を飾った。
パラリンピックの頂点は遠かった。2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックはシングルスで銅メダル、2021年の東京パラリンピックはシングルスで銀メダル。2024年のパリ・パラリンピックではシングルスとダブルスの2冠に輝き、ダブルスは田中愛美と組んで頂点に立った。
最後に残っていたのがウィンブルドンだ。2022年と2025年はいずれも決勝で敗れ、10度目の挑戦となった2026年7月11日の女子シングルス決勝で、第2シードのディーデ・デフロート(オランダ)を6-0、6-0で破った。1ゲームも落とさない完勝で初優勝。四大大会とパラリンピックをすべて制する「生涯ゴールデンスラム」を日本女子として初めて成し遂げ、女子シングルスではデフロートに続く2人目となった。四大大会のシングルス優勝は通算12度目で、デフロートとの対戦は通算70度目だった。
優勝の瞬間、上地は手で顔を覆って涙を流し、「夢の一つだった。まだ本当に起きたことなのか、信じられない。とても幸せ」と喜びを表した。7月17日に東京都内の日本記者クラブで開いた会見では、ウィンブルドンが最後に残っていたことについて「取らずに競技人生は終われないと思っていた」と明かしている。苦手とする芝のコートを制し、「精神的に不安定な日々があったが、準備してきたことがパフォーマンスにつながった」とも語った。2014年の全仏で四大大会シングルスの初タイトルを取ってから、12年がかりの全制覇となった。9月12日(現地時間)の全米オープン決勝でもデフロートを6-2、1-6、6-3で破り、2年連続4度目の優勝を果たしている。
アジアパラは2018年から連覇中、3連覇がかかる
アジアパラ競技大会での上地の歩みは、すんなり頂点に立ったわけではない。初出場の2010年広州大会は1回戦で敗れ、2014年の仁川大会は準決勝で敗れ、シングルスは銅メダルに終わった。3度目の挑戦となった2018年のジャカルタ大会で初めてシングルスを制し、この優勝で東京パラリンピックのシングルス出場権を手にしている。
続く杭州大会(2023年開催)でも、決勝で中国の朱珍珍を下してシングルスの金メダルを守った。同じ大会では田中と組んだダブルスでも優勝し、仁川、ジャカルタと2大会続いた銀メダルを金に変えている。名古屋で勝てば、女子シングルス3連覇となる。
日本選手団は杭州大会で金42、銀49、銅59の計150個のメダルを獲得した。地元開催の名古屋で、その数字をどこまで伸ばせるか。
「やっと生で見ていただける」地元開催にかける思い
会見で上地は、パラスポーツを取り巻く環境の変化にも触れた。「パラスポーツに対する熱量っていうのは2021年以降、かなり大きくなってくださってるんじゃないかなって思っています」。東京パラリンピックが無観客で開かれた2021年から5年がたち、名古屋の会場では観客の前でプレーできる。
「名古屋でアジア大会が開催されるっていうのは、皆さんのこの期待感といいますか、やっと生で見ていただけるっていう、すごく貴重な機会だと思いますので、そういった皆様の期待に応えられるようなパフォーマンスをしたいなっていうふうに思います」。日本のファンの前で戦える喜びを、上地はそう表現した。
同じ会見では、男子シングルスで2連覇を狙う小田も「いよいよだなという感じ。自分のベストのテニスを見せたいという気持ちが湧き出てきた」と高揚感を口にしている。パリの金メダリスト2人がそろって臨む東山公園テニスセンターでの戦いは、10月19日に始まる。
[文/構成 by スポーツライター TAKU]













































































コメントはこちら