大橋信、男子200m平泳ぎで2分00秒12の短水路日本新 瀬戸大也の記録を4年ぶりに更新した四條畷学園高校3年の17歳

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
競泳の大橋信(17)=枚方SS/四條畷学園高=が10月12日、佐賀市で行われた日本選手権(25m)の男子200m平泳ぎ決勝を2分0秒12で制した。瀬戸大也が2022年12月に出した2分0秒35の短水路日本記録を0秒23更新。同じ高校3年の今泉悠成との競り合いを、最後の25mでひっくり返した。
最後の25mで逆転、瀬戸の日本記録を0秒23更新
大会は第68回日本選手権(25m)水泳競技大会で、10月10日から12日までSAGAサンライズパークのSAGAアクアで行われた。25mプールで泳ぐ「短水路」の日本一を決める大会で、12月に北京で開かれる世界選手権(25m)の代表選考会を兼ねている。
最終日の男子200m平泳ぎ決勝。予選3位の2分4秒23で通過した大橋は3レーン、予選1位の2分2秒36を出した今泉悠成(ダッシュ新津/長岡大手高校)は隣の4レーンに入った。
レースは今泉が先手を取った。公式記録の途中時間では、25mから175mまでのすべての通過で今泉が前に出ている。100mは今泉57秒37、大橋57秒43。150mでも今泉1分28秒46に対し大橋1分28秒56と、0秒1の差でぴたりと付いていく展開が続いた。175mの通過でもまだ0秒09のビハインドだった。
勝負を分けたのは最後の25m。大橋はここを15秒81で泳ぎ、今泉の16秒04を0秒23上回った。タッチの差は0秒14だった。
従来の記録は瀬戸が2022年12月16日、オーストラリア・メルボルンの世界選手権(25m)で優勝したときの2分0秒35だった。当時のアジア新記録でもあり、暦の上では4年ぶり、日数にすると約3年10カ月ぶりの更新になる。大会の公式記録には日本新のほか、世界ジュニア新、高校新、アジア新の表記が並ぶ。
2位の今泉も2分0秒26で、従来の日本記録を0秒09上回るタイムだった。高校生2人がそろって2分0秒台前半に入るワンツーフィニッシュとなった。
「勝つっていう自分を信じて」作戦どおりのレース
大橋はレース前から展開を描いていた。
「今泉選手が57秒前半で入るっていうのは分かってましたし、レース前もそういう感じで話していたので、それにずっとついて行って最後、50mで勝つという予定だったので、それがうまくはまった」。レース後、大橋はそう明かした。実際に今泉の100m通過は57秒37で、大橋の読みどおりだった。終盤については「最後の25mとかタッチとかは気持ちがすべて左右すると思うので、勝つっていうその自分を信じて泳ぎました」と語っている。
支えになったのは長水路の世界記録保持者という立場だった。「世界記録を持っているので負けられないというプライドで勝つことができた」と大橋。レース後は今泉と手を合わせて健闘をたたえ合い、「今泉選手に抜かれるのは嫌だし、自分が(日本の平泳ぎを)引っ張りたいと思っている。そうしたプレッシャーからタイムも上がって記録が出るのはとてもありがたい」とライバルへの思いを口にした。
勝利の直後には観客席へ両手を広げ、拍手を求めた。パリ五輪メダリストの松下知之ら先輩から「盛り上げることをしないと人気が出ない」と言われていたといい、「水泳界のためにそういう仕事もしていかないと」とも話した。
100mでは今泉が世界ジュニア新、50mは0秒01差で決勝逃す
大会直前に体調を崩し、万全のコンディションではなかった。
初日10日の100m平泳ぎ決勝では、今泉が55秒82の世界ジュニア新記録で優勝。2位は谷口卓(MEIGI/GSTR-GP)の56秒26で、大橋は予選の57秒32から56秒47まで上げたものの3位に終わった。
関連記事:今泉悠成、短水路100m平泳ぎで世界ジュニア記録55秒82 長岡大手高校生が大橋信に先着
11日の50m平泳ぎは予選9位の26秒64。8位の選手とはわずか0秒01差で、8人で争う決勝に進めなかった。この種目は谷口が25秒43の日本新で制している。
2種目で悔しさを味わった後の最終日、本命の200mで今泉に雪辱を果たした。大橋は「今日の状態でここまでタイムを出したのは自信になる。アジア大会などの調子まで戻せば、世界記録を出すことができる」と胸を張った。この種目の短水路世界記録は1分59秒52で、今回の2分0秒12との差は0秒60だった。
200m平泳ぎ決勝の上位は次のとおり。
| 順位 | 選手(所属) | 記録 |
|---|---|---|
| 1位 | 大橋信(枚方SS/四條畷学園高) | 2分0秒12(日本新) |
| 2位 | 今泉悠成(ダッシュ新津/長岡大手高校) | 2分0秒26 |
| 3位 | 岡留大和(インターナショナルSC) | 2分2秒21 |
| 4位 | 宮崎緒里(浜松商業高校/浜名湖SS) | 2分3秒53 |
| 5位 | 渡辺一平(TOYOTA) | 2分4秒68 |
| 6位 | 深沢大和(東急/TSSあざみ野) | 2分4秒85 |
| 7位 | 大岩真海羽(東洋大学) | 2分5秒56 |
| 8位 | 杉浦凜汰郎(SSC羽根/中央大学) | 2分6秒12 |
3位は予選2位の大学3年生、岡留大和(21)。4位には高校2年の宮崎が入り、上位4人のうち3人を高校生が占めた。世界選手権で3度のメダルを持つ渡辺は5位だった。
同じ大会で日本新が続々、瀬戸本人も出場
佐賀の3日間は記録ラッシュになった。松下は11日の400m個人メドレーで3分54秒33の短水路世界新を出し、大橋と同じ12日には200m個人メドレーでも1分50秒42の日本新。男子100mバタフライでは五味智信(ミキハウス)が48秒58の日本新をマークした。
関連記事:松下知之、男子200m個人メドレーで1分50秒42の短水路日本新 前日は400m個人メドレーで短水路世界記録、東洋大21歳の経歴
400m個人メドレーの後、松下は大橋の名前を挙げて「自分も続いて、長水路の方で世界記録出せるように頑張りたい」と話している。
記録を塗り替えられた瀬戸も、TEAM DAIYAの所属で同じ大会に出ていた。11日の400m個人メドレーは予選14位の4分16秒27で、決勝には進めなかった。12日の200m平泳ぎにもエントリーしていたが、予選は棄権している。
枚方育ち、四條畷学園高校3年の歩み
大橋は2009年3月5日生まれ、大阪府枚方市の出身。所属は地元の枚方スイミングスクール。通う四條畷学園高等学校は大阪府大東市学園町にある私立校で、母体の四條畷学園は1926年(大正15年)に四條畷高等女学校として創立された。2026年はちょうど創立100周年の節目にあたる。
高校2年だった2025年の近畿大会で200m平泳ぎ2分6秒91を出して名前が知られるようになった。2026年3月の日本選手権では100mで58秒67の日本新を出し、50m、200mと合わせて平泳ぎ3冠に輝いた。同年に初めてシニアの日本代表入りした。
8月のパンパシフィック選手権では100mで58秒54の日本新を出して2位、200mは3位。続く9月の愛知・名古屋アジア大会。アジア大会初出場の大橋は9月24日の200m平泳ぎ決勝で2分4秒83を出し、覃海洋(中国)が2023年に作った2分5秒48の世界記録を0秒65更新した。100mと合わせて2冠となり、リレーなどを含めて金2、銀2、銅1の計5個のメダルを手にしている。大会前には新型コロナウイルスに感染していたことも明かし、「今年の夏にあまり良い結果が出なくて、この日本開催でいい結果を出せてすごく嬉しいです」と語っていた。
長水路の世界新から18日後、25mプールでも日本記録に名前を刻んだ。2028年のロサンゼルス五輪へ向けて、大阪の高校3年生の挑戦が続く。
[文/構成 by スポーツライター 南條楓]
















































































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