福永壮志とは何者か、経歴を深掘り!英語嫌いからハリウッド監督へ!「日本の普通」から逃れた異色キャリア。
国際舞台での飛躍と独自の作家性
デビュー作から世界が注目
2015年に完成した『リベリアの白い血』は、第65回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品されると、ロサンゼルス映画祭で最高賞を受賞。さらに、インディペンデント・スピリット賞のジョン・カサヴェテス賞にノミネートされるなど、デビュー作にして一躍国際的な注目を集めた。この成功は、映画監督エイヴァ・デュヴァーネイの目に留まり、彼女の配給会社ARRAYによって全米で公開されるという快挙にもつながった。
ルーツへの回帰とアイヌというテーマ
ニューヨークでの活動は、福永監督に自身のルーツを強く意識させた。アメリカ社会におけるネイティブアメリカンへの問題意識の高さに触れたことで、「自分の生まれ育った場所に、アイヌという先住民族がいたのに、何も知らなかったことに恥ずかしいと思った」と語る。この気づきが、次なる作品のテーマを決定づけた。
長編2作目『アイヌモシㇼ』(2020年)では、自身の出身地である北海道に戻り、阿寒湖のアイヌコタンを舞台に、演技経験のないアイヌの人々を起用して映画を制作。「アイヌを題材にアイヌの人が自ら演じる映画を作りたい」という強い信念があった。何度も現地に足を運び、住民との信頼関係を築きながら撮影された本作は、トライベッカ映画祭で審査員特別賞を受賞するなど、再び高い評価を獲得した。
「『当事者しか当事者の映画は作れない』ということをやってしまうと、窮屈な世の中になる。外からの視点だからこそ描けるものは、やはりあって、試行錯誤しながら、歩み寄って描くことで、何かいろいろなものが広がっていく」
非アイヌの監督としてこのテーマを扱うことの繊細さを自覚しつつも、彼は対話を通じて境界線を探り、多様な声が担保されることの重要性を訴える。
『SHOGUN 将軍』への抜擢とハリウッドでの評価
インディペンデント映画での確かな実績は、ハリウッドの目に留まることになる。所属エージェントの推薦をきっかけに、『SHOGUN 将軍』の監督に抜擢された。福永監督はシーズン1の第7話「線香一本の時」を担当。主演・プロデューサーの真田広之からは「英語で演出している姿を見て誇らしかった」と称賛されたという。
同作はエミー賞で作品賞を含む18部門、ゴールデングローブ賞で4部門を受賞。福永監督自身も、アジア人の功績を讃えるGOLD LISTで最優秀監督賞を受賞するなど、その手腕は確固たる評価を得た。その後も『TOKYO VICE』シーズン2の監督を務め、Apple TV+の新作ドラマ『12 12 12』や『SHOGUN 将軍』シーズン2での続投も決定している。
「あるべきだけど作られていない映画を作る」
福永監督の作品には、一貫したテーマがある。それは、移民や先住民族、社会の片隅で生きる人々など、マイノリティの視点を描くことだ。アメリカでのアジア人差別の経験が、その創作の根底にあると本人は語る。
柳田国男の『遠野物語』に着想を得た『山女』(2023年)では18世紀の東北の村社会における差別を、初のドキュメンタリー『アイヌプリ』(2024年)では現代に生きるアイヌの姿を追った。彼の関心は、単なる自己表現ではなく、「全体を見て、まだ足りてないもの、あるべきだけれど作られていないもの」を形にすることにある。
2019年からは日本に拠点を移し、創作活動を続けている。そして2026年1月1日には、女優の長澤まさみとの結婚を発表し、公私ともに新たなステージへと歩みを進めている。英語嫌いの青年が日本の「普通」から飛び出し、世界を舞台に独自の視点で物語を紡ぐ。福永壮志監督の挑戦は、これからも多くの人々の心を揺さぶり続けるだろう。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]
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