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中庭健介コーチの経歴とその凄さ 「4回転跳べなくなったら引退」現役時代から青木祐奈・中井亜美を世界へ導く指導者へ

中庭健介コーチの経歴とその凄さ 「4回転跳べなくなったら引退」現役時代から青木祐奈・中井亜美を世界へ導く指導者へ

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現役時代に4回転ジャンプを武器に戦い、引退後は指導者として渡辺倫果、中井亜美、青木祐奈らを世界のトップレベルへ導く中庭健介コーチ。選手の主体性を重んじ、他競技からも学ぶ独自の指導法で、設立わずかのMFアカデミーを日本フィギュア界の「東の雄」へと押し上げた。その軌跡と指導哲学に迫る。

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「東の雄」を率いる名伯楽、中庭健介とは何者か

2021年に千葉県船橋市で産声を上げた「三井不動産アイスパーク船橋」。この新たな氷上の拠点でヘッドコーチを務めるのが、中庭健介(44)氏だ。彼の指導のもと、MFフィギュアスケートアカデミーは設立からわずかな期間で日本フィギュア界の勢力図を塗り替える存在となった。

2022-23シーズンには渡辺倫果がグランプリ(GP)シリーズのスケートカナダで優勝。2025-26シーズンには中井亜美がシニアデビュー戦のGPシリーズでいきなり頂点に立ち、GPファイナルで2位。そして、一度は競技から離れることも考えた青木祐奈が四大陸選手権を制するなど、教え子たちが次々と世界の舞台で結果を残す。

かつては関西や中京地区が中心だった日本のフィギュアスケート界。そこに現れた「東の雄」を率いる中庭氏とは、一体どのような人物なのか。その指導力の源泉は、彼の選手としてのキャリアと、独自の哲学にあった。

「4回転が跳べなくなったら引退」不屈の現役時代

1981年、福岡市に生まれた中庭氏は、小学3年で本格的に競技を始めた。彼の名をフィギュアファンに刻み付けたのは、当時まだ成功者が少なかった4回転ジャンプ。その攻撃的なスタイルを武器に、1999年から12年連続で全日本選手権に出場し、3度の表彰台に上がった。

しかし、その道のりは平坦ではなかった。常に目の前には、一つ年上の本田武史や4歳年下の高橋大輔といった偉大なスケーターたちの背中があった。特に2007年の全日本選手権では、ショートプログラム3位と世界選手権出場に手をかけたが、フリーで逆転され、わずか0.87点差の4位で代表の座を逃した。オリンピック出場も、ついに叶うことはなかった。

「4回転が跳べなくなったら、引退する」。そう公言するほどジャンプにこだわり、若手の台頭という逆風に抗いながら、当時のフィギュア界では異例の30歳近くまで現役を続けた。バンクーバー五輪出場という最大の目標が途絶えた後、2011年1月の冬季国体を最後に、静かに競技人生の幕を下ろした。この不屈の精神と、頂点に届かなかった悔しさが、後の指導者人生の礎となっているそうだ。

転機となった「ゼロからの挑戦」 MFアカデミー設立秘話

引退から3ヶ月後の2011年4月、中庭氏は地元・福岡のパピオアイスアリーナで指導者としての道を歩み始めた。10年にわたり故郷で後進の指導にあたっていた彼に、大きな転機が訪れる。2021年、新設されるMFアカデミーのヘッドコーチ就任の打診だった。

「福岡を出たこともない。一人暮らしを含めてちゃんとできるのか」。30歳手前で指導者になり、地元に根を張ってきた彼にとって、それは大きな決断だった。アカデミー自体も「ゼロから始まるのに、選手が何人来るかもわからない」という手探りの状態。大きな組織を任される重圧と不安の中、彼は新たな挑戦を決意する。

蓋を開けてみれば、彼の指導を求めて渡辺倫果や中井亜美といった有力選手が集結した。アカデミー設立初年度から教え子たちは全日本ジュニア選手権に出場するなど、快進撃が始まる。「初年度から『全』のつく大会に選手を送り込むことができるなんて、思っていなかったです」。中庭氏自身も驚くほどのスピードで、アカデミーは日本のトップ育成拠点へと成長を遂げた。

「主体性」と「信頼関係」 選手を伸ばす中庭流指導術

なぜ、MFアカデミーは短期間でこれほどの成果を上げたのか。その核心は、中庭氏独自の指導哲学にある。彼は自身の経験から「厳しく指導しても選手は伸びなかった」と語り、選手の「主体性」を何よりも大切にする。

「僕は日々の練習で、常に100点を取ってほしいわけじゃないんです。ただ、その日その日の最後までやり抜く、ベストを尽くすっていうことを常に言っています」。教え子の一人、青木祐奈は「自分が落ち込んでしまったり、うまくいかなかったりしたときもポジティブに励ましてくれる」と、その声かけの力に感謝する。失敗を責めるのではなく、次につながる言葉で選手を支えるのが中庭氏のスタイルだ。

彼の探究心はフィギュアスケートの枠に収まらない。野球やサッカーなど、他競技の指導セミナーにも自費で足を運び、「選手のモチベーションをどう上げるか」「最新のスポーツ科学はどう取り入れられているか」をどん欲に吸収し、自身の指導に翻訳する。コーチと選手は上下関係ではなく「信頼関係」だと語る彼のもとには、かつて現役時代に競い合った中田誠人コーチらも集結。「世界一の選手を育てる」という同じ目標に向かうチーム体制が、その躍進を支えている。

2030年から前倒しの夢、ミラノ五輪へ

「我々の目標はあくまでも2030年(の冬季オリンピックに選手を輩出すること)」。アカデミー設立当初、中庭氏はそう考えていた。しかし、選手たちの成長はその想像をはるかに超えるものだった。

2025-26シーズンのGPファイナルでは、指導する中井亜美と渡辺倫果が同じ舞台に立った。シニアデビューの中井が2位と躍進し、渡辺は6位という結果だったが、中庭氏は「僕自身、一番そばで見てきて、今の渡辺倫果がやっぱり最高ですね」と、結果だけでは測れない選手の努力を称えた。その言葉は、選手一人ひとりの個性と状況を深く理解し、寄り添う彼の姿勢を象徴する。

2026年2月、ミラノ・コルティナ五輪。中井亜美はショートプログラムで首位に立つ快挙を成し遂げた。指導者として自身が立てなかった夢の舞台に、今、教え子たちと共に立っている。現役時代の悔しさを知るからこそ、選手の心に寄り添い、その可能性を最大限に引き出す指導ができるのかもしれない。

教え子の中井亜美は日本時間20日午前3時に、金メダルを目指しフリーに挑む。

[文/構成 by さとう つづり]

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寄稿者

さとう つづり
つづり|ライター・編集者 2018年より個人ブログの運営を開始。アフィリエイトライターとして活動後、Webメディアの運営、記事入稿、編集業務に携わる。7年にわたり「読まれる記事」を追求してきた経験を活かし、現在は日常のでの気になるニュースに対してコラムを執筆中。トレンドから日常の機微まで、幅広いテーマを独自の視点で言語化します。

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