今泉悠成、短水路100m平泳ぎで世界ジュニア記録55秒82 長岡大手高校生が大橋信に先着

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
新潟県立長岡大手高等学校3年の今泉悠成(17)=ダッシュ新津=が10月10日、佐賀市のSAGAアクアで開幕した第68回日本選手権(25m)水泳競技大会の男子100m平泳ぎ決勝を55秒82で制した。予選の56秒24に続き、1日で2度、世界ジュニア記録を塗り替えた。アジア大会で平泳ぎ2冠の大橋信(17)=枚方SS=は56秒47で3位。日本記録の55秒77まで、残りは0秒05だった。
前半26秒31で飛び出し、そのまま逃げ切った
25mプールで争う日本選手権の初日、男子100m平泳ぎは予選から今泉が主役だった。予選で世界ジュニア新記録の56秒24を出し、全体トップで決勝へ進む。決勝は4レーン。隣の3レーンには、予選3位(57秒32)の大橋が入った。
スタートから今泉が前に出た。大会の公式記録によると、25mの通過は12秒14、50mは26秒31。50mの時点で2番手の谷口卓(MEIGI)に0秒36、4番手で折り返した大橋には0秒50の差をつけていた。
後半の50mは29秒51。大橋は75mで岡留大和(インターナショナルSC)をかわして3番手に上がったが、今泉との差は50mの0秒50から75mで0秒77に広がった。最後の25mで0秒12詰めたものの、届かなかった。今泉が55秒82でタッチし、谷口が56秒26で2位、大橋は56秒47で3位に入った。大会の新記録一覧には「WJ新」(世界ジュニア新記録)と「高校新」が並ぶ。
決勝の結果は次のとおり(大会公式記録、10月10日)。
| 順位 | 選手 | 所属 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1位(優勝) | 今泉悠成 | ダッシュ新津/長岡大手高校 | 55秒82(世界ジュニア新・高校新) |
| 2位 | 谷口卓 | MEIGI/GSTR-GP | 56秒26 |
| 3位 | 大橋信 | 枚方SS/四條畷学園高 | 56秒47 |
| 4位 | 岡留大和 | インターナショナルSC | 56秒63 |
| 5位 | 大森理央 | 明治大学/フィッツ青葉 | 57秒78 |
| 6位 | 島﨑将太朗 | BLAST WAVE | 57秒86 |
| 7位 | 松本恭太郎 | ドーム巣鴨/宮崎スポ協 | 58秒02 |
| 8位 | 日本雄也 | アクアティック | 58秒05 |
この種目の短水路の世界記録は55秒28、日本記録は55秒77。日本記録は、この決勝を8位で終えた日本(ひのもと)雄也(アクアティック)が、2021年10月の日本選手権(25m)で出したものだ。高校3年生の今泉は、日本のトップ選手が並ぶ決勝で、日本記録とほぼ同じ水準のタイムを出したことになる。
3月の56秒65から、7か月で0秒83縮まった世界ジュニア記録
短水路100m平泳ぎの世界ジュニア記録は、この半年あまりで大きく動いた。
| 時期 | 記録 | 選手 | 大会 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月 | 56秒65 | 大橋信 | 第48回全国JOCジュニアオリンピックカップ春季水泳競技大会 |
| 2026年9月4日 | 56秒35 | 今泉悠成 | 新潟県高等学校秋季県大会(25m) |
| 2026年10月10日 | 56秒24 | 今泉悠成 | 第68回日本選手権(25m) 予選 |
| 2026年10月10日 | 55秒82 | 今泉悠成 | 第68回日本選手権(25m) 決勝 |
3月の時点で記録を持っていたのは大橋だった。3月の全国JOCジュニアオリンピックカップ春季大会で56秒65を出し、同じ大会の200m平泳ぎでも2分1秒24の世界ジュニア新記録をマークしている。
これを9月に破ったのが今泉だ。9月4日の新潟県高等学校秋季県大会で56秒35を出し、2位の選手に6秒以上の差をつけた。それから約1か月。日本選手権では予選で0秒11、決勝でさらに0秒42を削った。9月の56秒35と比べると、前半の50mが0秒23速く、後半の50mも29秒81から29秒51へ縮んでいる。前半で先行し、後半も落とさない。今泉のレースは、9月よりもはっきり形になっていた。
世界ジュニア記録は、国際水泳連盟(World Aquatics)が申請を受けて公認する。2025年8月には、大橋らが出した世界ジュニア記録3件が、まとめて公認された例もある。
同学年のアジア大会2冠に先着
大橋は2009年3月生まれで、大阪府の四條畷学園高等学校に通う3年生。今泉も2009年生まれの高校3年生で、2人は同学年にあたる。
大橋の2026年は、9月の愛知・名古屋アジア大会が大きな舞台だった。100m平泳ぎで中国選手と同着の金メダル。200m平泳ぎでは2分04秒83の世界新記録をマークし、2023年に覃海洋(中国)が出した2分05秒48を0秒65縮め、2冠を手にした。50m平泳ぎの銅、男子と混合の4×100mメドレーリレーの銀を合わせ、メダルは5個に上る。
関連記事:大橋信、アジア大会50m平泳ぎで銅 100m同着金、200m世界新の金に続き平泳ぎ3種目でメダル
その大橋に、短水路の100mで今泉が0秒65先着した。大橋自身も予選の57秒32から決勝で0秒85縮め、3月の世界ジュニア記録56秒65より速いタイムを出している。それでも届かない。地元の新潟日報は、決勝を伝える記事に「今泉悠成、同学年の“目標”に勝利」という見出しを立てた。
ジュニアパンパシ4冠、国スポ優勝から続く上昇
今泉は、長岡市にある新潟県立長岡大手高等学校に通いながら、ダッシュスイミングスクール新津で泳いでいる。この夏から秋にかけて、結果が続いた。
8月にカナダで開かれたジュニアパンパシフィック選手権では、50m平泳ぎ、100m平泳ぎ、男子と混合の4×100mメドレーリレーで優勝し、4冠に輝いた。100m平泳ぎ決勝は59秒98で、決勝で唯一の59秒台だった。50m平泳ぎの優勝タイムは27秒55。8月下旬の全国JOCジュニアオリンピックカップ夏季大会では、長水路の100mで59秒46まで自己ベストを縮めている。
9月11日には、青森県で開かれた第80回国民スポーツ大会の少年男子A200m平泳ぎで、2分8秒12の新潟県記録・県高校記録で優勝した。自己ベストを3秒縮めての優勝だった。
「いつも絶対にベストを出そう、自分ならできると思って試合に挑んでいる」。国スポのレース後、今泉はそう話している。その言葉どおり、9月以降は自己ベストと世界ジュニア記録を続けて塗り替えた。
新潟のテレビ局や新聞は、ジュニアパンパシフィック選手権の4冠から国スポ、日本選手権まで、長岡大手高校の3年生の泳ぎを続けて伝えてきた。
日本選手権は12日まで、日本記録まで0秒05
第68回日本選手権(25m)水泳競技大会は10月12日まで、SAGAアクアで続く。初日は男子100m個人メドレーの牧野航介(ルネサンス港南中央)、男子1500m自由形の田渕海斗(尼崎SS)、女子100m平泳ぎの加藤心冨(スウィン鴻巣)が、そろって短水路の日本新記録で優勝した。
今泉は10月11日の男子50m平泳ぎ、12日の男子200m平泳ぎにもエントリーしている。大会のスタートリストでは、どちらの種目にも大橋の名前がある。
その中で、高校生が200m平泳ぎの世界記録を持つ大橋に先着した100m平泳ぎは、初日のレースでもひときわ目を引いた。3月に56秒65だった世界ジュニア記録は、10月10日の決勝で55秒82まで縮まった。日本記録の55秒77までは、あと0秒05。短水路の100m平泳ぎで、高校生が日本記録に手をかける位置まで来た。
[文/構成 by スポーツライター 南條楓]












































































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