iPS心筋シート『リハート』、承認後初の手術を大阪で実施 元の価格5320万円、患者本人によると保険と高額療養費制度で10万円前後

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iPS細胞から作った心筋シート「リハート」を使う手術が29日、大阪けいさつ病院(大阪市)で行われた。3月の条件・期限付き承認と9月1日の保険適用を経て、治験ではなく通常の治療として患者に使われたのは初めて。患者は重い心不全の50代女性で、術後の容体は安定している。元の価格は5320万円だが、女性によると保険と高額療養費制度を使い、負担は10万円前後になる見通しだ。
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29日午前、約50分で終わった手術
開発元で大阪大学発のベンチャー企業「クオリプス」(大阪市)の発表によると、手術は29日午前11時15分ごろに始まり、約50分で終わった。執刀したのは、リハートの開発に携わってきた大阪大学の澤芳樹氏だ。
リハートは、iPS細胞から作った心筋細胞をシート状に加工した再生医療製品だ。胸に小さな穴をあけ、心臓の表面にシートを直接貼る。MBSニュースは、傷が小さく手術時間も短いため体への負担を軽くできると伝えた。
患者は心筋梗塞を起こしたあと、重い心不全に苦しんできた50代の女性。術後の容体は安定しており、順調に回復すれば2週間ほどで退院できる見込みだという。
澤氏は手術後、MBSニュースの取材に「順調に手術できました」と答えた。時事通信には「これは第一歩。患者を助けられるよう、より努力したい」と話している。
「承認後初」とは何が初めてなのか
NHKは「承認後初の手術」、MBSニュースなど他の報道機関は「保険適用後初の手術」と伝えた。表現は違うが、指している出来事は同じだ。
リハートは治験(国の承認を得るための臨床試験)で患者に使われてきた。今年3月6日に厚生労働省が製造販売を承認し、中央社会保険医療協議会(中医協)が7月22日に保険適用を了承、9月1日から公的医療保険の対象となった。29日の手術は、こうした手続きをすべて終えて、一般の診療として初めてリハートを患者に使ったケースにあたる。
読売新聞や日本テレビは、実用化されたiPS細胞の製品を患者に使うのは世界で初めてだと報じた。京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の作製を発表してから、今年でちょうど20年。研究室で生まれた技術が、保険の使える治療として病院に届いた。
ただし、承認は「条件・期限付き」だ。治験の症例数が限られていたため、国は安全性を確認したうえで、有効性は「推定」の段階で承認した。クオリプスは最長7年間で75人分の臨床データを集めて効果を確かめ、本承認を目指すとしている。7年のうちに効果を示せるかどうかが、次の関門になる。
5320万円の治療、患者の負担はなぜ10万円前後なのか
リハートの保険上の価格は5320万円。7月22日に中医協が了承した金額で、iPS細胞を使った再生医療製品の保険適用は、同じ3月に承認されたパーキンソン病の治療用製品「アムシェプリ」に続いて2例目となった。
この金額を患者がそのまま払うわけではない。公的医療保険で窓口負担が原則1〜3割になり、さらに高額療養費制度で、1か月の自己負担に上限がかかる。上限額は年齢や所得によって変わる。
MBSニュースによると、手術を受けた女性は、保険と高額療養費制度を使えば10万円前後で手術を受けられると話している。これはこの女性のケースの目安で、ほかの患者に同じ金額があてはまるとは限らない。実際の負担は、所得区分や入院日数、ほかの医療費によって上下する。
「犬の散歩に思い切り行きたい」患者の願い
手術の前、女性はMBSニュースの取材に、ふだんの暮らしの苦しさを語っていた。
「ちょっとした階段とか坂道とかでもすごく息切れしたり、あとは重いものが持てなくなる。急に大きい音とかもドキドキしてしまうのでそういうのに恐怖を感じたり」
治療のあとにやりたいことを聞かれると、答えは具体的だった。「まず犬の散歩に思い切り行きたい。ママさんバレーをやってたのでそれもやりたい。スキーとか、海に行ったり、やれるだけのことをやりたい」
女性の言葉からは、階段を上る、荷物を持つといった日常の動作が大きな負担になっていたことが分かる。リハートは、虚血性心筋症による重い心不全の患者を対象に、心臓の働きの改善を狙う製品だ。
今後は症例を重ねて効果を確かめる段階へ
澤氏はMBSニュースの取材で、「最初の一歩になりますが、できるだけ早い時間にどんどん普及して、日本はもとより世界の人がこの治療を受けて、同じ病気で苦しむ人が1人でも多く助かってほしい」と語った。
クオリプスは今後も症例を集めて有効性を示すとしている。対象は重い心不全の患者に限られ、心不全の人なら誰でも受けられる治療とは違う。
最初の患者は、順調なら早ければ10月半ばにも退院できる見込みだ。7年間で75人。そのデータが、この治療が本当に効くのかを決める。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]









































































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