坪井智也、プロ5戦目で初黒星も「まだまだ諦めない!」 世界戦でマラジカに1-2判定負け

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WBC世界スーパーフライ級王座決定戦でリカルド・マラジカ(28)=南アフリカ=に1-2の判定で敗れた坪井智也(30)=帝拳=が、9月28日未明に自身のXを更新した。応援への感謝と謝罪をつづり、「まだまだ諦めない!」と現役続行の意思を示している。プロ5戦目で喫した初黒星だった。
9月28日未明、Xで「まだまだ諦めない!」
投稿は9月28日午前2時28分(日本時間)。坪井は「沢山の応援有難うございました。」と書き出し、「かっこいい姿を見せれず大変申し訳ございません。まだまだ諦めない!」と続けた。添えた写真はリングシューズだった。
試合は9月27日、東京・江東区のTOYOTA ARENA TOKYOで行われた。坪井は1回と7回に偶然のバッティングで顔を切り、右まゆ付近には3センチほどの傷を負っている。試合後は病院へ直行し、予定されていた会見は取りやめになった。自分の言葉で胸の内を伝えたのは、このXの投稿が最初だ。
短い文面に、進退をめぐる迷いは見えない。デビューからわずか5戦目での世界挑戦に敗れた直後、坪井が選んだのは次を目指す言葉だった。投稿への「いいね」は9月29日時点で3800件を超えた。
8回まではリード、最後の4回で逆転された12ラウンド
WBC同級1位の坪井と、同級2位のマラジカ。空位の王座をかけた12回戦は、序盤から坪井のアクシデントで始まった。1回、頭同士がぶつかって前頭部を切り、顔は早い段階から血に染まる。
それでも坪井は止まらなかった。素早いステップワークで出入りしながらジャブを突き、高速の連打でマラジカをロープ際へ追い込む場面を何度もつくった。マラジカはジャブとコンビネーションで応戦した。
8回終了時の公開採点は77-75、77-75、76-76。2人のジャッジが坪井を2点リードとし、残る1人はイーブンだった。王座は目の前にあったように見えた。
ただ、坪井は7回にも右目の上を切り、2つの傷を抱えながら戦っていた。
流れは9回から変わる。強引に前へ出る坪井をマラジカは冷静に迎え撃ち、手数を増やしながら正確なパンチでポイントを重ねていく。坪井も最後まで前へ出て打ち合いを挑んだが、崩し切るパンチは出なかった。12回を通じてダウンは両者ともなかった。
スコアの内訳
| ジャッジ | 支持した選手 | 採点 |
|---|---|---|
| ネイサン・パーマー(米国) | マラジカ | 116-112 |
| デビッド・サザーランド(米国) | マラジカ | 115-113 |
| フアンカルロス・ペラヨ(メキシコ) | 坪井 | 115-113 |
判定は2-1でマラジカ。坪井から見れば1-2のスプリットだった。ダウンはなく、減点も報じられていない。8回時点の公開採点と最終採点を突き合わせると、9回から12回の4ラウンドの中身が見えてくる。マラジカを支持した2人は、この4ラウンドを全てマラジカにつけた。坪井を支持したペラヨ氏の採点では、終盤4ラウンドの合計が38-38で並び、計算上は2ラウンドずつ分け合った形になる。8回までの貯金を、最後の4ラウンドで一気に吐き出した計算だ。
新王者マラジカ、会見で勝因を「ハート」
マラジカは「マジックマン」の愛称を持つ南アフリカのボクサーで、IBOのスーパーフライ級王者でもある。2018年にプロデビューし、試合前までの戦績は19戦17勝(12KO)2敗。この勝利で戦績は20戦18勝(12KO)2敗となっている。
試合後、マラジカは「会場に来てくれた人たちに感謝したい。いま世界チャンピオンになることが出来ました」と語り、坪井について「とても強い選手でした。大変な試合でした」と続けた。視線はすでに先へ向き、統一王者を目指す考えも口にしている。
「夢に見ていたWBCのベルトを獲得できた」と喜び、試合の運び方を「パズルをはめるように戦っていった。終盤、そのパズルのピースがはまっていった感覚だ」と説明した。会見で、経験豊富な相手に何が上回ったのかと問われると、答えは「ハート」の一言。坪井については「とても経験豊富な強いボクサーだなと、試合をやってみてもそういう印象が残っていますけども、試合をやってくださったことに感謝したいと思います」と敬意を表した。
世界選手権の金メダルから、プロ5戦目の世界挑戦
坪井は静岡県浜松市出身。浜松工業高から日本大へ進み、2014年から2017年まで全日本選手権ライトフライ級で4連覇を果たした。2021年11月、セルビアのベオグラードで開かれた世界選手権でバンタム級を制し、日本男子として初めて世界選手権の金メダルを手にしている。
ところが、五輪には届かなかった。東京五輪は代表から漏れ、パリ五輪も予選を突破できなかった。アマチュアに懸けてきた男は、2025年1月、28歳で帝拳ジムからのプロ転向を発表する。
プロでは2025年3月のデビュー戦を2回TKOで飾り、同年6月の2戦目でWBOアジアパシフィック・バンタム級王座を獲得した。11月には元WBC世界スーパーフライ級王者のカルロス・クアドラス(メキシコ)を8回TKOで退けている。2026年4月11日のペドロ・ゲバラ(メキシコ)戦は、2回に偶然のバッティングでゲバラが倒れて続行不能となり、無効試合になった。
マラジカ戦で勝てば、田中恒成、吉良大弥と並ぶ日本男子最速タイのプロ5戦目での世界王座獲得となるはずだった。静岡県出身者として初の世界王者誕生もかかっていた。7月には長女が生まれ、父親になって初めて迎えた試合でもある。戦績は5戦3勝(2KO)1敗1無効試合となった。
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同じ日の世界戦、Prime Video Boxing 16の結果
坪井の一戦は、4つの世界戦を組んだ「Prime Video Boxing 16」の一つだった。メインのWBC世界バンタム級タイトルマッチでは、王者の井上拓真(大橋)が7回にダウンを喫しながらも那須川天心(帝拳)に3-0で判定勝ちし、王座を守っている。
IBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦では、西田凌佑(六島)がサム・グッドマン(オーストラリア)に0-3で判定負けした。2度のローブローによる減点を受け、陣営はIBFへの提訴に動く考えを示している。WBO世界ミニマム級暫定王座決定戦は松本流星(帝拳)がラッセル・アコスタ(メキシコ)に3-0で判定勝ちし、暫定王座についた。
関連記事:西田凌佑、グッドマンに0-3判定負け ローブローで2度減点、陣営はIBFに提訴する方向
大会は9月27日午後5時から配信された。Prime Video Boxing 16はPrime Videoの独占ライブ配信で、プライム会員は追加料金なしで視聴できた。坪井とマラジカの12回も、この配信で中継されている。
帝拳勢にとっては、那須川と坪井が世界戦で敗れる苦い一日になった。坪井の次戦について、9月29日時点でジムからの発表はない。会見に出られないまま病院へ向かった坪井が、最初にファンへ届けたのは、「まだまだ諦めない!」の一言だった。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]








































































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