大相撲、2027年6月にタイ・バンコク公演を計画と報道 ロンドン、パリに続く3年連続の海外公演

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
日本相撲協会が2027年6月、タイの首都バンコクで大相撲の公演を計画していると9月28日に報じられた。2025年のロンドン、2026年のパリに続く3年連続の海外公演になる。協会は9月29日時点で正式に発表しておらず、秋場所後の定例理事会で承認されれば発表される見通しだ。アジアへの遠征は2013年のジャカルタ巡業以来14年ぶりとなる。
2027年6月第2週が有力、10月上旬には力士が現地でPR
計画を最初に伝えたのは9月28日付の日刊スポーツで、協会がバンコク公演を計画していることが27日に分かったという内容だった。記事によると、日程は2027年6月の第2週が有力で、力士らは2班に分かれて現地入りする予定。会場や公演日数、参加する力士の人数は、報道の段階では明らかになっていない。
背景にはロンドン公演の成功がある。報道では、協会には世界各地から公演の依頼が届き、2027年の開催地としては米国のロサンゼルスやオーストラリアも候補に挙がっていたという。そのうえで、最終的にバンコクで話がまとまった。
公演に先立つ動きもある。2026年10月上旬に一部の力士がバンコクを訪れ、現地で記者会見などを開いて公演をPRする予定だと伝えられた。
ただし、協会はまだ何も発表していない。
ここまでの内容は、いずれも報道で伝えられた計画の段階の話だ。日本相撲協会の公式サイトの「協会からのお知らせ」には、9月29日時点でバンコク公演に関する告知は載っていない。ロンドン公演とパリ公演のときは、協会が開催地・日程・会場をそろえた「開催に関するお知らせ」を公式サイトに出していた。バンコクの正式な日程と会場も、協会の発表を待つ必要がある。
2027年は日本とタイの修好140周年
なぜタイなのか。
鍵になるのが外交の節目だ。外務省は、日本とタイが2027年に修好140周年を迎えると案内しており、両国では記念のロゴマークを公募するなど、周年に向けた準備が進む。バンコク公演はこの140周年の記念事業としても行われると報じられた。
タイと大相撲の接点として名前が挙がったのが、音羽山部屋の三段目力士、象竜(21)だ。協会の力士プロフィールでは出身地は長野県長野市だが、報道によると母がタイ人で、タイで育った。象竜は現地での大相撲の受け止め方について「(大相撲は)みんな知っているが、意味は分からない」と語っている。名前は知られていても、取組の中身や作法まではまだ伝わっていない。バンコク公演は、そうした層に相撲そのものを見てもらう場にもなる。
音羽山部屋は元横綱鶴竜の音羽山親方が率いる部屋で、象竜は2024年3月場所が初土俵。2026年9月場所では西三段目18枚目で6勝1敗の成績を残した。
ロンドンは34年ぶり、パリは31年ぶり 満員が続いた欧州公演
3年連続の流れは、2025年秋のロンドンから始まる。
ロンドン公演(2025年10月)
ロンドン公演は2025年10月15日から19日までの5日間、英国の歴史ある演奏会場ロイヤル・アルバート・ホールで開かれた。ロンドンでの大相撲公演は1991年以来34年ぶりで、協会の海外公演としても2005年の米ラスベガス以来20年ぶりだった。会場は連日満員となり、千秋楽には横綱豊昇龍が同じ横綱の大の里との全勝対決を制し、5戦全勝で優勝した。
豊昇龍は「けがしないことを一番にしていたが、優勝しちゃいました。うれしいです」と笑顔を見せ、「いろんなところから来たお客さんが温かく迎えてくれた」と現地の歓迎ぶりを喜んだ。殊勲賞は翔猿、敢闘賞は高安、技能賞と観客賞は宇良が受けている。
1991年のロンドン公演でロイヤル・アルバート・ホールの大会を制したのが、現役時代の横綱北勝海、現在の八角理事長だった。協会が開催を告知した際、八角理事長は「日本相撲協会が再びロンドンの舞台で伝統ある大相撲を披露できることを大変嬉しく思います。本大会を通じて、日本の文化を世界に広めることに貢献したい」とコメントを寄せている。
パリ公演(2026年6月)
翌2026年は6月13日と14日の2日間、パリのアコー・アリーナで公演を開いた。パリでの開催は1986年、1995年に続いて3度目で、31年ぶり。1986年の初のパリ公演は、相撲好きで知られた当時のパリ市長ジャック・シラク氏(のちの大統領)の招きで実現したものだった。
会場は2日間とも満員御礼となり、2日間で約2万5000人が詰めかけた。フランスの国営放送の視聴率は14%に達したという。取組は幕内力士のトーナメント形式で行われ、初日は大関琴桜が優勝。千秋楽のトーナメントは横綱豊昇龍が決勝で小結高安を下して制し、琴桜と豊昇龍による総合優勝決定戦を琴桜が寄り切りで制した。
パリ公演の開催を告知した際、八角理事長は「2026年に三度目のパリ公演を開催できることに、新たな喜びと強い責任を感じております」とコメントし、フランスとの長い縁に感謝を示していた。本場所の優勝力士には、長年にわたりフランスから「日仏友好杯」が贈られている。
1965年のソ連から始まった海外公演の歴史
協会の海外公演は、1965年に当時のソ連のモスクワとハバロフスクで開いたのが最初だった。国際親善を目的とした「公演」はロンドン公演の前までに13度開かれており、2025年のロンドンが14度目、2026年のパリが15度目にあたる。力士は「裸の親善大使」とも呼ばれ、相手国との文化交流を担ってきた。
| 年 | 開催都市 |
|---|---|
| 1965年 | モスクワ、ハバロフスク(ソ連) |
| 1973年 | 北京、上海(中国) |
| 1981年 | メキシコシティ |
| 1985年 | ニューヨーク |
| 1986年 | パリ |
| 1990年 | サンパウロ |
| 1991年 | ロンドン |
| 1995年 | ウィーン、パリ |
| 1997年 | メルボルン、シドニー |
| 1998年 | バンクーバー |
| 2004年 | ソウル、釜山(韓国) |
| 2004年 | 北京、上海(中国) |
| 2005年 | ラスベガス |
| 2025年 | ロンドン |
| 2026年 | パリ |
表はこれまでの海外公演15度の一覧で、1995年のウィーン、パリは1度の公演として数えている。アジアでは1973年と2004年に中国、2004年に韓国で公演を開いた。2005年のラスベガスから2025年のロンドンまでは、20年にわたって海外公演が途絶えていた。
公演とは別に、興行の色合いが強い海外巡業もある。直近のアジアでの遠征は2013年8月のインドネシア・ジャカルタ巡業で、初日の24日には7200人を超える観衆が集まった。トーナメントでは大関稀勢の里が準決勝で横綱白鵬を、決勝で横綱日馬富士を破って優勝している。
実現すればアジア遠征は14年ぶり、正式発表は理事会後
バンコク公演が報道どおりに決まれば、欧州2都市で続いた海外公演の舞台がアジアに移る。アジアでの公演は2004年のソウル・釜山、北京・上海以来となる。ロンドンとパリはいずれも過去に公演を開いた土地への「再訪」だった。一方、タイは日本との修好140周年という節目の年に迎える新しい舞台になる。
日程は6月の第2週が有力視される。6月は5月場所と7月場所の間にあたり、2026年のパリ公演も6月中旬に組まれていた。
協会の正式な発表は、秋場所後の定例理事会での承認が前提になる。会場や公演の形式、参加する力士の顔ぶれ、チケットの販売方法は、発表を待って初めて分かる。10月上旬に予定される現地でのPRが、計画を具体的に示す最初の場になりそうだ。
[文/構成 by スポーツライター 南條楓]








































































コメントはこちら