中村莟玉、小手伸也とW主演の舞台『ぽんとぼん』で現代劇初主演 2027年6月に東京・大阪で上演

※この記事には、商品・サービスの広告リンクが含まれています。
時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
歌舞伎俳優の中村莟玉(30)と俳優の小手伸也(52)が、舞台『ぽんとぼん』でW主演を務める。松竹が9月29日に発表した。莟玉にとっては現代劇での初主演。落語家・柳家花緑の半生の実話を基にした作品で、2027年6月に東京・三越劇場と大阪・松下IMPホールで上演する。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
三越劇場100周年の公演、莟玉は識字障害を抱える落語家役
『ぽんとぼん』は、松竹が「ハートフル落語ファンタジーコメディー」とうたうオリジナルストーリーだ。作・演出は保坂萌。東京公演は2027年6月4日から13日まで三越劇場、大阪公演は6月19日の1日だけ松下IMPホールで行う。
莟玉が演じるのは、主人公の落語家・森七生(扇家ましろ)。人には明かさずに識字障害を抱えながら高座に上がる人物で、物語の軸を担う。
小手は2役を受け持つ。七生に恩返しをするために現れたたぬきのぽんたと、七生の兄弟子にあたるベテラン落語家・扇家白次だ。恩返しに現れるたぬきという設定には、古典落語「たぬき」の世界観が織り込まれている。
2人は本作が初共演となる。歌舞伎の若手花形と、テレビでおなじみの個性派が組む座組で、松竹は「テンポの良い会話劇と、賑やかな音楽演出」で描くと説明している。
発表に合わせて公開されたコメントで、莟玉は「三越劇場100周年の記念すべき公演で、現代劇初主演をさせていただけること、とてもありがたくうれしく、身の引き締まる思いです」とつづった。節目の年の劇場で、歌舞伎以外の芝居の真ん中に立つ。
下敷きは柳家花緑の実話、40歳を過ぎて知った識字障害
モデルとなった柳家花緑は、人間国宝・五代目柳家小さんを祖父に持つ落語家だ。22歳で真打に昇進し、戦後最年少の記録をつくった。華やかな経歴の陰で、花緑は長く文字の読み書きに大きな困難を抱えてきた。
自分が発達障害の一種である識字障害(ディスレクシア)だと知ったのは、40歳を過ぎてから。作品は「人間国宝の孫」という重圧と、長年の葛藤を乗り越えていった落語家の歩みを、実話を土台にしたフィクションとして描く。
花緑本人もコメントを寄せた。「この企画を最初に聞いた時、冗談かと思ったんです。自分の人生がお芝居の題材になるなんて信じられない」と明かし、保坂と会って実感がわいたという。さらに「まだお芝居を観ていないのに感動して涙が出てしまいます」と続け、最後は「どんなオチが付くのか是非、劇場へ足をお運び下さい」と落語家らしく締めた。
保坂は「国宝の孫、史上最年少真打、ディスレクシア…」と花緑の経歴を並べたうえで、「落語を始めたばかりの9歳の九ちゃん(花緑師匠)が観ても、今日の日記がハッピーになるような、幅広い世代のお客様に感じてもらえる作品を目指します」と狙いを語った。子どもの頃の花緑にも届く芝居。演出家が掲げた目標は、そこにある。
一般家庭から人間国宝の養子へ、中村莟玉の歩み
中村莟玉は1996年9月12日生まれ、東京都出身。屋号は高砂屋だ。歌舞伎の家の出ではなく、一般家庭から歌舞伎の世界に入った。
2004年3月、7歳で四代目中村梅玉に入門した。2005年1月に国立劇場『御ひいき勧進帳』の富樫の小姓役として本名で初舞台を踏み、翌2006年4月に梅玉の部屋子となる。このとき歌舞伎座で名乗ったのが前名の中村梅丸で、ファンが使う愛称「まるる」もこの名前に由来する。
子役時代から評価は高かった。2009年10月に国立劇場特別賞を受けると、2010年、2011年、2014年と国立劇場奨励賞を3度受賞。2017年9月には名題適任証を取った。
転機は2019年11月に訪れる。人間国宝・中村梅玉の養子となり、歌舞伎座『鬼一法眼三略巻』菊畑の奴虎蔵実は源牛若丸で、初代中村莟玉に改名した。新しい名前は、養祖父にあたる六代目中村歌右衛門の自主公演「莟会(つぼみかい)」から1字、梅玉から1字をもらったものだ。立役(男性の役)と女方の両方を勤め、若手の登竜門とされる「新春浅草歌舞伎」にも毎年のように名を連ねる。
最近は歌舞伎の外にも活躍の場を広げている。2025年には大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に、西村屋に養子入りして2代目となる万次郎役で出演し、主人公・蔦重(横浜流星)のライバル的な役どころを演じた。2026年9月18日公開の映画『八つ墓村』では、金田一耕助(尾上松也)とともに村を調べる岡山県警の矢島巡査部長を演じている。
人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」を原案とした新作歌舞伎では、源氏ゆかりの刀が姿を変えた刀剣男士・髭切を担当している。2025年夏に東京・福岡・京都の3都市で上演した第2弾『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)』で髭切を演じた。この舞台のBlu-rayは、2026年1月28日に税込1万3200円で発売されている。
その先の予定も詰まっている。10月29日には、鈴木おさむ脚本・演出、尾上松也主演の舞台『桶狭間の義経』が大阪で開幕し、仙台、東京、福岡を回る。莟玉も出演者の1人だ。
遅咲きの小手伸也、2026年に舞台初主演を経験したばかり
もう1人の主演、小手伸也は1973年12月25日生まれで神奈川県出身。早稲田大学を卒業後、劇団innerchildを主宰し、作・演出・出演を兼ねながら長く小劇場で活動してきた。
名前が広く知られるようになったのは40代に入ってからだった。2016年の大河ドラマ『真田丸』で塙団右衛門を演じて注目を集め、2018年にはフジテレビの月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(五十嵐役)と『SUITS/スーツ』(蟹江貢役)に続けて出演。どちらもアクの強い役柄で、一気に顔が知られた。2026年1月期のフジテレビ木曜劇場『プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮』では、主演・玉木宏が演じる天音のボスで、調査会社「深山リサーチ」代表の深山俊雄を演じている。
長く舞台に立ってきた小手だが、舞台での初主演は2026年6月から7月の『コテンペスト』だった。シェイクスピアの『テンペスト』を翻案したコメディーで、東京・本多劇場と大阪で上演した。その発表時には「まさかの僕が座長公演?主演で?ちょっと信じられないです」とコメントしている。
『ぽんとぼん』は、そこから1年足らずで迎える主演舞台となる。小手は発表コメントで、ドラマで初代林家三平を演じた際に「高座で師匠のアドリブ話芸を完コピするという無茶な演出を受けた経験と、実は舞台で狸の役を演じた経験もあるので、多分イケると思います(笑)」とおどけた。そのうえで「柳家花緑師匠の実話へのリスペクトと落語の面白さを全力でお届けする舞台にできるよう頑張ります!」と意気込む。
10歳でもらった志ん生のCD、落語との縁が役につながる
莟玉と落語の縁は、10歳の頃にさかのぼる。コメントによると、歌舞伎俳優の中村福助から「世話物の作品に出る時に必ず役に立つからね」と、昭和の名人・古今亭志ん生のCDを贈られたという。世話物は、江戸の町人の暮らしを描く歌舞伎の演目を指す。
「10歳の頃には想像もしなかったお仕事に挑戦することになりました」と莟玉は書く。落語家の役で、しかも現代劇の主演。子どもの頃に聴いたCDが、20年を経て仕事と結びついた。
期待だけを口にしてはいない。「落語を好きになれていてよかった、と思うと同時に今とても怖いです」。正直な言葉を添えたうえで、「素敵な作品になるように懸命に挑みたいと思います」と結んだ。
東京は全13公演、チケットは2027年4月頃に発売予定
松竹の公式ページによると、東京公演の料金は全席指定1万円(税込)。チケットは2027年4月頃に発売する予定で、松竹歌舞伎会の先行販売もある。未就学児は満4歳から1人1枚のチケットが必要だ。
| 日付(2027年) | 昼の部 | 夜の部 |
|---|---|---|
| 6月4日(金) | ― | 15:00 |
| 6月5日(土) | 11:00 | 15:00 |
| 6月6日(日) | 13:00 | ― |
| 6月7日(月) | 休演 | 休演 |
| 6月8日(火) | 13:00 | ― |
| 6月9日(水) | 11:00 | 15:00 |
| 6月10日(木) | 13:00 | ― |
| 6月11日(金) | 11:00 | 15:00 |
| 6月12日(土) | 11:00 | 15:00 |
| 6月13日(日) | 13:00 | ― |
東京は6月4日から13日までの会期中、6月7日を休演日とし、9日間で計13公演を行う。一方、大阪公演の料金と発売日は、9月30日時点で公式ページに載っていない。
歌舞伎で古典を積み重ねてきた30歳と、小劇場で長く腕を磨いてきた52歳。上演まではまだ8カ月以上あり、落語「たぬき」の世界と花緑の実話をどう1本の芝居にまとめるのかは、初共演の2人の手に委ねられる。
[文/構成 by エンタメライター 真柴 ことね]








































































コメントはこちら